以前、『マンガ雑誌の売り上げを減少させた一因と思われる通勤・通学スタイルの変化』において、キオスクの減少によりマンガ雑誌の部数を減らしているという仮説を立てました。
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今回は逆からのアプローチをしてみたいと思います。つまり、マンガ雑誌が売れなくなることで困っているのはどこかということ。もちろん、本屋や駅売店が困っているのは当然だと思いますが、それ以上に困っているところが存在すると思います。それはコンビニエンスストア。
コンビニの吸引力としての雑誌
コンビニというものは、多くの場合値引きがありません、ということは、安いものを求める場合、スーパーやディスカウントストアに行ったほうが得なわけです。なのに何故、コンビニに人が集まるのか。それはスーパーよりも距離が近いとか、遅くまで開いている、それにある程度のものはここに行けば揃うといった利便性が大きな要因としてあるでしょう。特に弁当やお菓子、飲料などの食料品は、それ故に売れたというところがあるでしょう。そしてそれはマンガ雑誌でも同じです。わざわざ本屋に行くよりも、近いコンビニで買って、ついでにお菓子でも買って読もうという人はそれなりにいたと思われます。特にマンガ雑誌の場合、値引きが一切ありませんから、客はコンビニで買っても、本屋で買っても雑誌だけを見れば同じわけです。
さらに、コンビニがマンガ雑誌を置くのは、必ずしも本が売れなくてもよい、という面もあると思います(もちろん売れるにこしたことはないでしょうが)。それは、例えば立ち読み目的で来た客が、ついでにほかのものを買って行くというパターンもかなり多くあると思われるから。つまり雑誌が売れなくても、結果的にほかのものを買うために来店してくれたのだったらOKというところはあるのではないかと。特に雑誌の場合、再販制度によって、売れなくても返本できますから店側のダメージはほとんどないでしょうし。
マンガ雑誌が売れなくなることはコンビニにダメージを与えるか
では今のマンガ雑誌が売れなくなってきている状況から見てどうでしょうか。つまり、マンガ雑誌を買うためにコンビニに行かなくなったということは、その分客の来店数を減らしているということではないかと。例えば昔は、月曜と水曜は必ずコンビニに行ってた人が、少年誌を読まなくなった途端、そこに行く根拠がなくなり、行く回数が減った、ということは十分あり得ると思えます。それは、ついでにほかのものを買ってもらう機会も減らしているのではないでしょうか。つまりは、コンビニに置いてあるマンガ雑誌の売り上げ減少に伴って、来店数も減り、ひいては売り上げをも減らしているのではないかと思えるのです。
もちろん、買わなくなった人がすべて立ち読みをしていて、そのために変わらず来店しているというのだったら問題はないでしょう。しかし、そうは思えません。小中学生等お金がない人ならともかく、たいていは興味があるなら買う、そうじゃなければ買わないという感じで、立ち読みで済ますということは、そのうち面倒くさくなって読みもしなくなるということにも繋がるのではないでしょうか。実際、私も買っていた→立ち読みですますようになった→買わなくなった(単行本だけでいい)というプロセスを辿ったマンガ雑誌はいくつかあります。
となると、このマンガ雑誌(その他の雑誌にも言えますが)の減少は、コンビニの売り上げ悪化にも繋がる可能性はあると思われます。少なくとも、好転はしていないでしょう。もっとも、今はまだその他の要因や店ごとの事情(近くに本屋やコンビニがあるかとか)のほうがはるかに大きいと思われるので顕在化していませんが、このまま雑誌の不況が続くと、そういったことが目立ってくるのではないかと思われます。
コンビニの新しい模索
では、コンビニはどうするのか。例えば、コンビニ独自の単行本なんてのがひとつだと思います。あれは安価な上、コンビニに行かないとないわけですので、来店の動機に繋がると。そこまでの力はなくても、弁当と一緒に買うというライフスタイルを導く可能性はあるかもしれません。
そういえば最近、コンビニなどでのプライベートブランドなんてのが出てきて、人気を博しています。
■「値上げ」カップめんに大異変 PB躍進、日清、明星など落ち込み
現時点では可能性は低そうですが、これから先、もっとコンビニが力を持ち、雑誌の部数が落ち込んだから、プライベートブランドの雑誌なんてものが出される可能性もあるかもしれません。もっとも、あまりにもリスクが高いので、出るとして『R25』みたいなフリーペーパーかなとも思いますが(それも『コミックガンボ』とか失敗例があるからリスキーでしょうが)。
2015/12/24追記
今見返すと、スマホの圧倒的普及で雑誌自体の訴求力がなくなってしまった感じですね。
そのかわりPBやコーヒーなど新商品で客足を引っ張ってる感じ。