空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

実家の家具類を処分するにあたり大変だったもの

 前回、家の解体について書いたので、せっかくですから中身、すなわち家具などの処理についても書いてゆこうと思います。

 私の実家が解体を開始したのは、今年初め。決定したのは昨年夏頃ですが、そこから期限までに「家の中をほぼ空にする」というミッションが発生しました。しかし、まだ先だと思って仕事もあるので先延ばしにしていたら、ギリギリでかなりの地獄を見ることになりました。それは自分の怠慢が主な理由ですが、思ったよりも処理が進まない理由もありました。

 

手を付ける前の状況

 私の実家は昭和初期に建てられた相当古い家で、住んでいたのは祖父、祖母の代から。そのため亡き両親のものはもちろんとして、すでに私の生前に亡くなっていた祖父、祖母の遺品どころか、さらにはそれ以上と思われる品物まで出て来ました。それこそ戦前の品物まで(これは一応保存してあるので、機会があれば写真でも載せます)。つまり押し入れなど置く場所がそこそこあったので、つい捨てずにおきっぱなしにしておいたものがかなりあったのです。そのツケが全部今、私に回ってきた形になります。しかし現実として、解体日までにカラにしなければいけません。

 正直「ある程度家具を残しておいても、家と一緒に解体してくれるんじゃないかな」という期待もあったのですが、どうやら今は安全面などでダメ、ガラスがついているものは特にNGという話でした。

 

捨てられるものはどんどん出したけど…

 実家の自治体である練馬区のゴミ収集の種類については、無料のものとして、可燃ゴミ(週2回)、容器包装プラスチック(週1回)、不燃ゴミ(月2回)、ビン、カン、古紙(週1回)があります。さらに持ち込みならば回収してくれるものもあります。それに加えて、有料の粗大ゴミがあります。こちらは予約制で、1番安いもので400円、大きなものでは2000円くらいになります(センターへの持ち込みだと半額)。だいたい30cm以上だと粗大ゴミ扱いになるようです。
 再生資源系に出せるものはゴミではなくできるだけそちらに出すように始めていったのが秋頃。仕事との並行でしたが、捨てられるものは遠慮なく捨ててゆきました。

 しかしながら、捨てるのを後回しにしてしまい、その結果最後のほうで処理に忙殺されたものがあります。

 

心理的に処理が進まなかったもの

まず、心理的に処理が進まなかったものがあります。

日用品の遺品

 最たるものは両親の遺品。もう大半のものは誰も使わず、捨てられるものは捨てたり形見分けしてしまったそれの残りになるのですが、逆に言うと今まで捨てるきっかけがなかったものなので捨てがたい状態になってしまっていました。主にはフォーマルな衣服やカバンといったもの(さすがに経年劣化したものは捨てましたが)。さらに愛用していた日用品。ただ、もう使うことはないでしょうし、量も多いので、期限が迫ってきたら一部を除いてはこれも機会だと捨ててしまうことにしました。

 

価値がありそうだなと思ってしまった古いもの

 古い家なので、道具としても古いものが大量に出てきます。それこそ祖母の代の品物など。そしてそれらがどういうものが具体的にわからず「もしかしたら価値があるかも」と思ってしまい捨てられないままなものがけっこうありました。これも昭和の時代の衣服類や日用品など。これはニュースでたまに流れる、古い家から昔の貴重な物が見つかったというニュースも影響しているかもしれません。そのためこれも手を付けるのが遅れてしまいました。

 ただいざ時間がなくなり本格的に調べてみると、もう経年劣化が激しいものが多く、布類は虫食いがあったりカビがついているものもありました。さらにそれらの品物についてはある程度画像検索してみたのですが、どうも昭和くらいの古さではよくありふれていて価値があるものとは言えなかったので、これも捨ててしまうことに。
 また本、それもまだJANコードがついていないような時代の古本も大量にあったのですが、これももう価値以前に紙がヤケてしまっていて、ヤフオクなどで売却した少数以外の大半は捨ててしまいました。一応シリーズで揃っていたものは検索かけて値段確認しましたが、予想通りたいした価格にはならなかったので。

 自分の持っているものは思った以上に価値があると錯覚してしまいがちですが、実際は思い出とかはともかくとして金銭的な価値があるものは希、というのはなんでも鑑定団に限らずよくある話でしょう。

 ちなみにこんな石膏像もありました。これも売るか、それでなくとも学校の美術室にでも引き取ってもらいたかったのですが、結局廃棄することになりました。

 

書類、手紙

 けっこう困ったのが、書類関係。さらに手紙。すでに故人のものであり、すでに金融関連などの相続にかかわる処理は終わっているはずなので大半は処分していいはずですが、中に重要なものが書いているケースもありえるため、一応確認しなくてはなりません。まあやっぱり9割9部捨てていいものだったのですが、ただ古い紙の束から旧家の家の設計図が出て来たので、これが一度に捨てる行為を拘束してしまった感があります。
 あとは手紙ですね。これも捨てていい、というか故人的には捨ててしまったほうがいいのかもしれませんが、人脈の繋がりを探るものを一応とっておかないと、自分が知らない縁(友人関係など)の人が突然出てくるみたいな可能性もあります。
しかしこれは数が多く、見るのに時間がかかってしまったせいで、最後までもつれこむことになりました。

 ちなみにアルバムなど写真については持ってきてあります。親のものだけではなく、祖父母の代のものも風景などが何かしらの資料になるかもと思ったので(個人的な興味もあります)。そのうち時間ができたら、スキャナで取り込んでから廃棄しようと思っています。

 

物理的に処理に困ったもの

 ここまで書いたのは主に心理的なものですが、物理的に処理が困難だったものがあります。それは大きな家具。
 通常のゴミで出せないサイズのものは粗大ゴミで出すしかありません。うちの区では出す時には電話かサイトで予約をして、指定の日(だいたい2週間後から空きがあるが、年末は一ヶ月後まで空きがなかった)に家の入口まで搬出する形です。そこで出したのは、布団、ラック、椅子、石油ストーブ、小型の机、電子レンジ、石油缶など。
ただ、タンスや本棚などは搬出が大変です。多くの場合原則作業はひとりでしたので、それなりに労力がいりました。ただ、もう家にもそれらにも傷をつけていい前提なので、引きずるように出せば不可能ではないものは多かったです。

 ただ、小型ではひとつ400円、大きなものだと1000円以上になり、しかも数が多かったので、地味に経済的にも痛かったです。ここで「もしかしたらジモティーあたりでタダで持っていってくれる人いるかも」と思ってしまったのが、これらの処分が遅れてしまう理由にもなりました。

ただ、それでもこれらは安い方だと後で知ることになりますがそれは後述。

 

特に処理が困難だったもの

 そして以下、特に処理に困ったものとその理由を具体的に。

リサイクル家電

 家電リサイクル法により、粗大ゴミでは収集してくれないものが存在します。それがエアコン、冷蔵庫、洗濯機、パソコンなど。

 これらは買ったところがわかるとそこまで難しくないのかもしれませんが、実家に置いてあるったものは20年は昔のナショナル製の20年は昔のもので、両親亡き今購入先も不明です(一件はわかっていたけど、町の家電屋ですでになくなっていた)。 となると専用のサイトから申し込む必要があります。そこだけでも手間ですが、料金がかなりかかります。こちらのサイトから参照すると、大きさやメーカーにもよりますが、リサイクル料に運搬回収料(こっちのほうが高い場合が多い)の合算で、大型冷蔵庫なら8,730円、洗濯機なら6,530円、エアコンだと4,990円、テレビ(家の物置にブラウン管が放置されていた)だと6,470円。さらにここにエアコンの取り外し費用まで加わります。家にあったのがエアコン3台、(廃棄する)テレビ1台、大型冷蔵庫一台、小型冷凍庫1台あったので、トータルで4~5万にもなってしまいます。これらの品物についての処分はかなり面倒で金がかかるので、捨てたくても庭などに放置している家というのもそれなりにあるのではないでしょうか。

 これも値段と手間、さらに家にいる最後まで使うものだったことで処理が遅れてしまいました。しかしギリギリで親族の知り合いで町の家電店がエアコンの取り外しつきでまとめて回収してくれるという話がついたので、そこに頼むことができ、搬出に親族の力を借りて協力することで前述の価格の合計よりは安くなりました。

消火器

 隠れて面倒だったのか消火器。いつ買ったのかわからない古いものがあり、庭に放置していたのでこれも処分する必要があったのですが、これも自治体での回収はできず、専門の回収業者に頼まないといけないということでした。
 これも回収センターなどに頼まないと行けないかなと思っていたのですが、運がいいことに近くで回収してくれる自治体認定の業者があったので、そこに持ち込むことに。一本1000円×3でした。
 ただ、これについては暴発のリスクもあったので放置せず、早めに処理をしておいた方がよかったというのが反省点です。

 

着物

 前述のように衣服は処分しましたが、困ったのが着物。
 なにしろ価値が全くわかりません。そして見た目豪華なので、思いきって捨てることもできないでいました(さすがに足袋や襦袢は捨てましたが)。
 たしかにネットを見れば買取りなどの広告は多いのですが、それらに依頼するのは以下のような問題があり躊躇します。

 つまりこの手の買取りを依頼して家に上げてしまっても着物が本命ではなく、貴金属を探してそちらの売却を迫るというもの。たいした貴金属はない家でも。面倒なことになるのは避けたいので、その手のものに頼めませんでした。本などの買取りも依頼しなかったのも、価値がないと思ったのと同様にこの理由があります。

 実はこちら、まだ全部は処理出来ていません。明らかに劣化したものを除いてはまだ親族の家に保存してもらっています。捨てるにしろあげるにしろそのうち処分方法を考えないといけないでしょう。

 

運び出せなかった家具

 前述のように家具も粗大ゴミで出せるものは出してしまいましたが、最後まで出せなかったのがあります。大型の食器棚、本棚、ベッド、学習机といった、自力搬出が不可能なもの。知り合いに搬出の手助けを頼むことも考えましたが、これらの多くが二階にあり、事故リスクが高いため頼むこと躊躇されます。
 これの搬出には最後まで困り、且つタイムリミットが迫っていたのもあり、最後は建築会社を通した引っ越し業者から紹介された廃品回収業者に依頼することになりました。
 正直ギリギリの依頼だったのですが、そこまでになってしまったのはコスト的ににできるだけ自力の処理をしたかったこともありますが、それ以上にこの手の業者で悪徳なところの噂をよく聞いていたため、依頼するのに躊躇していました。相場もわかりませんでしたし。

■参考

 

 ただ、ギリギリなので大手の紹介としてもう信じるしかないと依頼。

 結果として、トラック一台分回収で、作業は4人で2時間くらい。料金はだいたい7万。二階からの大型家具の搬出という重作業含め、引っ越し料金とほぼ同等で、且つそこに廃品処理費用の合算と考えれば、相場くらいかなと納得しています。
 ただ、家庭から自治体回収に出す粗大ゴミが有料とはいえ業務廃棄に比べてどれだけ安いのかも実感することにはなりました。

 

処分するものはできるだけ早いうちのほうがいい

 困難なものも一応処理が追いつき、なんとか期限内に家の中を空にすることはできました。ただ実はそのために私の私物については手つかずなものが多く、とりあえず箱に詰めて仮住まいにもってゆこうという形に。結果、今仮住まいがダンボールで埋まっています。これらは折を見て選別処分しておりますが、はたして再度の引っ越しまでに開けられるかどうか……。

 

 現在住家もしくは実家にこのように使わないけど心理的、もしくは手間や費用の問題でものを溜めてしまっている方は多いのではないでしょうか。しかし、将来的に解体や引っ越しが予想される場合、それこそ早めに処理した方がよいと思われます。そうしないとどんどん溜まってゆきますし、さらに粗大ゴミなどの回収の費用はどんどん上がっています。また、放置することにより、その品物が劣化してとても再利用できなくなることや、ものによっては最悪の場合事故に繋がることもありえます。
 有料回収だけではなく、ジモティーや譲渡なども検討し今のうちに処分した方が安くあがり、何より安心をえられると思います。

 ……まあ、そう理想通りに行けば苦労しないし、自分もこんなに慌てることはなかったとは思いますが。