空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

『面白い』を的確に使用するのはなかなか難しい

最近、このブログでもたまにマンガや本の感想を書いたりしますよね。うちのブログだけではなく、感想を書くときによく使われる『面白い』。この言葉から思ったことを今日は書いてみようと思います。

goo辞書で「面白い」を和英検索してみると、「interesting; entertaining; amusing; merry; pleasant; delightful; 《こっけいな》funny; 《奇妙な》odd [funny, queer].」という数々の単語が出てきます。そしてこれらは英語の原義的に笑う時、興味をひかれる時など、様々な使い分けがあります。しかし日本語ではどれも単語的には『面白い』である程度まとまってしまうのですよね。これは、非常に便利ではあります。しかし反面、微妙に同じ意味だけど、文章では微妙に場にそぐわないということがよくあります。

例えば、私は犯罪ノンフィクションの本やら文章をよく読むのですが、これの感想を『面白い』と書くと、なんだか間違ってはいないけど、微妙に違うような……という違和感が漂うのですよね。例えば犯人の行動や心理などの文章(無限回廊さんに載っているようなもの)は『面白い』のですが、それを堂々と使うと「不謹慎」と言われるような気がして、使いづらいのですよね。これ、笑う、楽しい意味での『面白い』と、興味を惹くという意味での『面白い』が字面的には同じことによるものなのですよね。しかも、日本で単純に『面白い』と言うと、なんだかゲラゲラ笑う系のおもしろさ、英語で言うところのinterestingを連想してしまう人が多いように思えるので、それを面白いというとなんだか不謹慎に感じてしまうのです。

おそらく似たような経験は、マンガや小説、映画を紹介するサイトの管理人さんで味わったことがある人もいるのではないでしょうか。たとえば怖いマンガ、後味の悪いマンガを紹介する時(最近なら『ヨイコノミライ』とかかな?)、たしかに『面白い』のだけど、なんとなく『面白い』とは少し違うような……と感じることというのを経験した人は、少なからずいるのではないでしょうか。

本当ならば、英語のように一語でそれぞれのニュアンスを言い表せる単語があれば便利なのですが、残念ながら文章になじむ形で最適なものはなかなかありません。それだけ『面白い』という言葉は感想を言い表す言葉として「強い」ものだと言えます。

ですので、多くの人はそれをクリアするための方法として、『面白い』を使うか使わざるかにかかわらず、他の表現を交えるなりして、文章をうまく構成することによってそのニュアンスを正確に導き出そうとしていると感じます。例えば、前述のようなものならば「惹き込まれる」とか。逆に言えば、そここそが感想を個性している、文字通り感想を読むことを『面白い』と思わせる部分なのかもしれません。

でも、『面白い』はこれだけ多様なのに、反対の『つまらない』はたとえどんな形(単調だとか、展開が妙だとか)であれ、ほとんどの人をその一言で納得させてしまうのは不思議なところですね(だからこそ思考停止をしてしまう危険な言葉とも言えるわけですけど)。