空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

『リアル鬼ごっこ』文法は何故生まれたのか

『リアル鬼ごっこ』の山田悠介氏といえば、よくネットでも文書表現の問題について触れられていましたね。山本弘さんのとことかで。まあ読んだことはないけど、文書表現を補ってあまりあるネタがあるから売れているんだと思います。広報展開のうまさもあるかな?

で、何でこんな文書表現が生まれてしまうのかというのを考えた結果、ちょいと自身の経験と合わせて思い当たるところがありました。
文書表現について講釈できるような偉い人では全くない私ですが、せっかくだし思ったことを書かせていただきます。

さて、Wikipediaなどで誤りの例として挙げられているのの一つ。

「二人が向かった先は地元で有名なスーパーに足を踏み入れた」

ぱっと見、これのおかしいところは、主語、述語の連結ですね。つまり主語、述語、装飾語が終了しないうちに、また主語と述語が始まっている。
これは一番簡単な修正を加えるなら「二人が向かった先は地元で有名なスーパー。そこに足を踏み入れる」でしょうか。(これでも2文の間がはしょりすぎって感じがしますが。「そしてそこに到着した二人は、さっそく中に足を踏み入れた」とでもすべきかな?まあおかしかったら笑ってくださいませ)


さて、何でこのような連結した文が生まれるか、というと、ちょっと心当たりがあります。
私の場合、文章表現に詰まると文中で書くのを止めて考えてしまうことがあるのです。上の文に例えれば、「二人が向かった先は地元で有名なスーパー」で一旦止めて、また思いついたら続きを書く、というようなこと。
しかし、一度時間をおいてしまうと、前に書いた文章(主語)のことが頭から抜けている場合というのがあるのですよ。つまり、それ以前に「二人が向かった先は地元で有名なスーパー」というのが頭から抜けたまま続きを「足を踏み入れた」って書いてしまうのですね。

タチの悪いことに、頭の中では「スーパーに足を踏み入れた」だけが残ってしまい、連結して文法的におかしい文章を書いた自覚がないというわけです。しかしたいていの場合、その文を見直して「あっ!」となります。でもっていろいろ削ったり2文に分けたりと。
ちなみに最近では上のようなことを防止するために、詰まってもとりあえず1文は書き上がるようにしてします。

「最後の大きな大会では見事全国大会に優勝」 とか「十四年間の間」でも同じ事が言えるかなと。


しかし、それが表に出るのを防止するために「見直し」をするのですね。そしてこれがそのまま出たときの恥ずかしさに悶絶しながら直すと。

余談ですが、ブログの文章では時間の都合上、一発書きをして見直さずに出すことがあるので、後で見ると恥ずかしい表現になっているのでこっそり直す、なんことがあります。(一番多いのは変換ミスですが)
さすがに仕事としてやるものは見直しますけどね。(もしくはどこかで見直しされるのを前提とする。まあこれは時間的によっぽど差し迫っているときの反則ですが)


ただ、一人だとやはりチェックにも限界があります。それは目の前の文章ではなくて、頭の中で正しい表現が出来てしまっている可能性があるためです。しかし普通に出版される本でこのようなことが起こりにくいのは、本人の他にその文章をチェックする編集者が最低1人はいるからでしょう。
ただ、『リアル鬼ごっこ』の流通過程は有名なように自費出版です。ということは、そのチェックをする人がいなかった、という可能性があります。そして、このような誤表現がそのままに出版されてしまったのではないでしょうか。
よく漫画では鬼とか悪魔とか敵のように扱われる編集者ですが、こうして見ると本当はどれだけ重要な存在か、というのがわかりますね。(まあ漫画の方も大半はギャグですけどね)

ちなみに見直しは自分でやると時間的には本文執筆よりもはるかに短い時間で済みますが、精神力は2倍かかると勝手に思ってます。(ひとつ気になると、すごく細かいところまで直さないと気がすまなくなるんですよね……)ですので、他者の力を借りるのはけっこう重要かなと。


そんなわけでこのような文書表現がそのまま出版されてしまった理由は

 ・見直さなかった。もしくは見直しが甘かった
 ・編集者など、他者のチェックがなかったor甘かった
 ・表現の誤りがあっても気づかなかった
 ・意図的(注目を集めるため。結果成功)

のうちのどれか、もしくは複数だと思うのですがどうでしょうか?

あ、でも私の文章の書き方って別に習ったワケじゃないので、この書き方自体が邪道って可能性もありますけど。つか、そのへんはプロの小説家にでも聞かないとなあ……


しかし、これはパソコンにおける執筆による、簡単な文書ずらしや削除、追加などが出来るようになった弊害かも知れませんね。変換ミスなんてものも、原稿用紙の時代には起こってなかったわけですから。



◇おまけ

これを書いている途中でやってしまった文章。
 『ちなみに最近では上のようなことを防止するために、最近では詰まってもとりあえず1文は書き上がるようにしてします』

前の文で書いていた「最近」を書いていたのを見落として、後ろに「最近」を書いて二重表現になってしまったというわけ。一度見直してあわてて消しました。