空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

一周して『アメーバなう』を応援したくなった

アメーバのミニブログ的サービス『アメーバなう』が開始されました。

Amebaなう(アメーバなう)

これについては、ちょっと前にも書きましたね。
nakamorikzs.net

さて、現在のところネットの評判を見ていると、Twitterのつもりでフォロー入れたら「貴方は誰ですか」と言われたり、「知り合い以外からのフォローはお断りしてます」と贈られてきたりと、Twitterとは違うその閉鎖性に違和感を覚えられている方が多いようです。なんというか今のところ、アメブロの使用者がそのままアメーバなうを利用している感じなので、その人たちに馴染みが深いと思われてるアメブロのコミュニティやmixi的な文化がそのまま受け継がれているという感じでしょうか。

さて、このようなサービスだと、現Twitter使いの人は否定的見解を持つ人も多いかもしれません。私も自分ではTwitterがある限りおそらく使う必然性はないんじゃないかなあと思ったりします。ただ、今後のWebのことをTwitterも含めよく考えてみると、一周してこのアメーバなうを応援したほうがいいのではないか、と思うようになりました。今日はその理由について書いていこうと思います
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Twitterへ一極集中が起ることによるデメリットの回避

昔から、Webサービスでは類似サービスとの競争に打ち勝ち、トップの座となったコミュニティ要素の強いWebサービスは多数あります。例えば掲示板群における2ちゃんねるや、ネットオークションにおけるヤフオク、ソーシャルネットワークにおけるmixiなど。あと、『ぐるなび』や各種作品評価サイトにも有名どころがありますね。とりわけこれらは人が人を呼ぶ感じなので、人を集められたところはさらに巨大化し、逆に下降線を辿るところはなくなってしまうことが独自の用途がない限りはなくなってしまうことも多いですね。
しかし、晴れて一強となったWebサービスには、その状況に置かれたが故に、それまでになかった問題が生じることが多々あります。例えば広告投稿の増加。それまでは注目される存在ではなかったそのWebサービスの閲覧者が増えた途端、広告媒体として目をつけられ、そこで広告を目的とした行為が多数なされること。2ちゃんねるでも広告コピペが吹き荒れた時期がありましたし、mixiでも何気なくマイミク申請してきた人を登録したら、実は広告目的のアカウントだった、ということがあるようです。さらに昔からある「荒らし」は、その行動を注目されたいという心理によるというのは昔から言われていますので、注目度が高くなった場合そういうものを集めることも多くなります。それらは運営をいする側の努力で防いできましたが、その分運営側の労力は大きくなりますし、どうしても漏れは生じます。そして露骨な広告や荒しではなくても、いわゆる「工作」が行われる可能性があります。つまりとある作品や企業、店舗に対しての支持者や関係者が、そこに肯定的な評価を書き込むという感じ。ある意味潜在的な広告ですね。しかしこれは評価が事実とは異なるものも多く含まれ、結果として狼少年的にそのサイトは嘘が多いというのをイメージづけられサイトの信用性を落としてしまうことにもなりかねません。

このようにWebサービスにおいて一極集中というのは、多数の情報が集まるというメリットとは裏腹に、このようなデメリットがついてきてしまう可能性が高いわけです。実際、Twitterでも広告スパム的なものを見かけることが出てきましたね。*1つまり、Twitterがこれから先一極集中で流行るよりは、Amebaなうやはてなハイクなど、ほかのミニブログサービスに分散化させていったほうがよいと思うのですよね。そうすれば上記のようなデメリットも分散できますし。

あと、サーバーの問題もありますね。今のままの勢いだと、「よくわからないけどとりあえずやってみよう」という人が増えて、結果としてサーバーに負担をかけて一時期多かった鯖落ちがまた多発しそうですし。それで広告が増えるならまだしも、有料とかになったらたまったもんじゃないし。

それと正直、Twitterはあまり過剰のブームとなって欲しくなく、あくまで実用ツールでいて欲しいのですよね。ブームとなるとやがて廃りがやってきます。すると「ブームが終わった古いものだから」と敬遠する人が出てきて、その魅力に関係なく、見捨ててしまう人が出てくると。そういう流行廃りからはTwitterは分離されて欲しいなと思うので、過剰な盛り上がりを避けるために分散させてしまったほうがいいのかなと。

Twitter文化が受け入れられなかった人の受け皿になるかもしれない

アメーバなうは最初に書いたように、どちらかというと閉鎖的なコミュニティのように思われます。なんというか、Twitterだとみんながつぶやきを非公開にしてやっている感じかなと。でも、それでいいと思います。というのは、このようなミニブログを使いたいという人の中には、必ずしも注目され、広くコミュニケーションをとりたいという人がたしかに存在するので。一般的には、書き込んだコメントは注目される程いいと思われることが多いですが、中には出来るだけ限られた人にだけしか見てほしくない、という人も存在します。これはブログでもそうで、アクセス数が増えると励みになるタイプとは逆に、プレッシャーになってブログを閉鎖してしまう人もいました。それはさっきのコトとも関連しますが、閲覧者が多いとそれだけ悪意を巻き込む可能性があるから。たしかに閲覧者が多くなればコミュニケーションの幅は広がりますが、コミュニケーションとは、善意のもので自分にとって気持ちよいものばかりとは限らないので、中には快く思わないものが向けられることもあるでしょう。自分含めわりとネット慣れしている人とか何を言われても気にしない人ならばよいのですが、そうじゃない人はあまり悪意を近づけたくない、と思う人はいるでしょう。それへの賛否はあるでしょうが、そういう人のための受け皿もあってもいいのではないかと。広がりを求めたいなら、すでにTwitterがあるのですし。余談ですが、Twitterは最初に始めたのがそういったネット慣れしている人たちだったから、今のような広がりを持つコミュニティーになったのかなと。

芸能人・有名人枠はアメーバなうでよい気がする

アメーバなうは当初からアメブロ使用の芸能人の参加をアピールしている感じです。ちなみに今『アメーバなう』のトップページを見たら、ホリエモンが禁止文字列を含んだら全部コメが消えたとのpostを入れてました。それにつられてアメーバなうに参加する人もいるでしょう。しかしこれは芸能人やアメーバなう、そしてTwitterにとってもこのアメーバなうがあったほうがよいのでは、と思うのです。

まず、芸能人はかつてのブログ同様、宣伝、広報的役割として、ミニブログを始めるざるを得なくなるところが出てくるでしょう。しかし前述のように、コミュニケーションは善意のものばかりとは限りません。悪意のものも混じる可能性があります。特に芸能人など有名人の場合は、本人の意思とは関係なくその悪意(本人は悪いと思っていないストーカーなども含む)を集めやすい側面もあるでしょう。ただ、だからといってミニブログを宣伝的にやらなければいけないとなったら、そういったものから守る仕組みが欲しいと思うでしょう。それがアメブロの芸能人ブログであったり、このアメーバなうなのだと思います。つまり、芸能人にとってはこのような仕組みはあってもいいのではないかと。それいでTwitterでも同じように芸能人向けサービスをやろうとしていますが、個人的にはそちらはあまり特別待遇にしないで、せいぜい本人確認を証明する、くらいにしたほうがよいのではと思うのです。というのは、やはり芸能人アカウントというのはそれだけで目立ちますし、それを目的とする人もいるでしょう。事実今でも有名人がTwitterをやると、一気にFollowが増えます。その人を目的としてTwitterに参加する人も増えるかもしれません。しかし今の程度ならともかくこれ以上増えると、今まで構築されてきたTwitterの文化、とりわけ無名の人がpostで有名になるようなことがなくなり、そういった魅力が失われるのではないかと。Twitterのそういった既存文化を壊してまで有名人を目立たせるよりは、その役目はアメーバなうに任せてしまえばよいのでは、と思うのです。個人的には無名な人から出される驚くようなpostが好きなので。

まとめ

以上のことをふまえて、Twitterの現状の文化を支持する人はそれを使えばいいし、アメーバなうの文化になりそうなものを支持する人はそっちを使えばいいかと思うのですね。つまり「棲み分け」が出来た方がお互いのためになるのではないかと。ミニブログをやりたい欲求があるからといって、無理にそこの文化に合わせるよりは、自分の好みの文化があるほうにいったほうが気が楽でしょうし。勿論両方やってもかまわないのですから。そして両方がそれぞれの使用者にとって心地よい空間になればよいのではないでしょうか。ですので、『アメーバなう』はむしろ現状では応援したいと思います。

*1:ただ、広報的なものを全否定はしません。それが広告主体のものではなく、企業の社長Twitter、店主Twitterなど、普段の会話に交える感じの広報ならば、その情報を得たいと思う人にとってはアリで、完全排除することはないかなとは思っています(イヤだったらRemoveすればいいですし)