空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

『アメーバなう』はアメブロを終わらせるか

このようなニュースがありました。

サイバーエージェント、ミニブログ「Amebaなう」開始へ - ニュース:ITpro
藤田晋社長「オリジナル」宣言 直後に「モノマネ」ツイッター : J-CASTニュース

一言で言うと、アメーバがTwitterもどきを作ろうとしているということですな。まあひとつのサービスが流行ったら、それの類似サービスが生まれるというのはWebではよくあったことなのでさして驚きませんが。ただ、多くの場合こういったサービスは一強多弱で先行有利になりがちなので(mixiとか)、このアメーバのサービスがTwitterに対してどこまでいけるかは不明ですが。ただ、現時点では今までアメーバ、特にアメブロが構築してきたものが資産としてあるので、それを生かせればTwitterとは違った需要を拾って(おもに芸能人かな)成功する可能性もあるのではないかと。

■参考:「Amebaなう」はTwitterにとって、かなりの強敵になり得るんではなかろうか : ワークスタイル・メモ


ただ、ここでちょっと気になっていることがあります。それは、この『アメーバなう』の登場により、現在のアメーバの(サイバーエージェントの、ではない)中心となっている「アメーバブログ」の利用、特に書き込みを大幅に縮小させることにならないか、ということです。その理由は、『アメーバなう』がアメブロの需要を吸収してしまうと思われるため。こう書くと、「Twitterはブログを駆逐する」みたいなかつて一部で聞かれたような論に聞こえますが、それとは若干違います。ただし一部は合っているかもしれません。というのは私は前からTwitterがそれまでのWebの何に取って代わるかというのを考えた時、コトノハやはてなハイクといったミニブログと呼ばれるものより、ブログの活用法の一部に代わっているのではないか、と思っていたからです。その活用法とは、「日記ブログ」。

はてなダイアリーとかを中心に見ている人は、日記ブログというと日々思ったことを膨らませて論文のようにしたものを想定しがちかもしれませんが、実際Web全体を見てみれば、本当にただ自分の周りの事を書いた『日記』のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。実際、どのブログサービスでも一番多いカテゴリは「日記」ですし。

そして特にアメブロは、そういった日記ユーザーが特に多いのではと感じます。それは主にネットにあまり詳しくないユーザーが芸能人も多く使っているアメブロを導入口としてブログをやり始めた感じで。そしてそれらの多くは短文+画像という形を非常によく見るので(もちろんそうじゃないものもありますが)。何故なら、芸能人ブログで、若年女性層に人気のある人の多くが、その形式になっているため。そういう人を真似た形式となっても何ら不思議ではありません。ま、人気のあるサイトを真似て新しく始めるというのはフォント替えテキストサイトやちゆフォーマット時代から同じなので、別にライトユーザーがとか女性だからというのではないと思います。つか、アメブロ自体フォーマットが長文を書くのにあまり適してないように思えるのですよね。ページ設定とかテンプレートの広さとか(はてな慣れしちゃってるせいかもしれないけど、横35文字程度ってのは改行すると読みにくい……)。

でも、有名人ならともかく、素人の日常を見るというのは、かなり限られたケースになるのではないかと。おそらく日記を書いたところで、ふと立ち寄る人はいるにしても、一定数以上は増えないのではないかと(つか、それでも増えたら素人ではなく「ネット上の有名人」になってしまいそうだし)。そこにTwitterのような『アメーバなう』が登場し、そこでもアメブロと同じ芸能人が書き出したとなると、アメブロにいた一般人がそちらに移ってしまうのではないでしょうか。というのは、素人の日記ブログよりも、Twitterなりアメーバなうのほうが多くの人に見てもらえる可能性が高いため。だって、一日のhit数が30だとしても、それを超えるFollowerを生み出すのは、さほど難しいことではなく(Follow返ししている人も多いしね)、それが見ている人の数となるなら、見て欲しい人にとってはブログより魅力なものとなるので。中にはhit数を望まず、身内だけの公開にしたいという人もいるでしょうが、そういった人にとっても『アメーバなう』は都合がよいのではないかと。

さて、ここで前からあった「Twitterはブログを駆逐する」論に戻りますが、実際は多少はともかく、全部のブログを駆逐するようなことはありませんでした。というのは、ブログとTwitterは棲み分けが出来ていたからではないかと。それは主にブログは長文でしっかり書く、そしてTwitterでは短文で即時性の高いものを書くという感じで。私もTwitterをやっているからといって、ブログをやめるつもりはありません。しかし前述のような日記ブログに多い短文+画像という形式は、実はTwitterのほうが向いているのではないかとも思えるのです。それは前述のような閲覧者数、それに手軽さにおいて。

芸能人の場合は、営業的な側面もあるでしょうからアメブロを続けるのに損はないかもしれません。しかし手間もかかるわ閲覧者も少ないわといった一般日記ユーザーは、もし『アメーバなう』が流行ると、そちらのみ使用して、ブログをやめてしまう可能性はないでしょうか(これはアメブロだけではなく、ほかのブログサービスで同じような構成で日記を書いているユーザーも同じ事が言えますけどね)。ただ、これは『アメーバなう』があってもなくても、Twitterが普及してしまえば同じでしょう。あくまで個人的な見解ですが、もしかしたら『アメーバなう』は望まれて生まれたWebサービスではなく、本当はないほうがいいけどTwitterがある以上同じなので、それなら他に奪われるよりは、と作ったサービスなのかもと思えてしまいます。


ちなみに今、『アメーバなう』で注目しているところがあります。それは画像の処理の方法。おそらくアメブロ系の使用者(芸能人含む)は、写真の使用需要が高いと思うのですね。で、Twitterでよくやられているように、携帯百景みたいなものの専用リンクを手軽な形で作るのか、それともタイムラインに直接写真(サムネイル含む)を載せてしまうのかということです。もし後者なら、ますますもってアメブロを食ってしまうのではないかと。

あともうひとつ、アメブロを使っていた芸能人が、そのままTwitter的なものを使えるネット知識、というかリテラシーがあるのかなということ。芸能人は必然的にFollowを集めてしまうでしょう。ただ、あまりネットについて慣れていない人がFollowを集めてしまうというのは危険ではないかとも思えるのです。なんというか、ブログなら無視していられるコメントが、そのまま入ってくる感じになりかねないので。たしかにあくまで発信専用と割り切ることも出来ますが、それだったらあまりTwitter的なものの意味がないかなあとも思えます。


とまあいろいろ書いてきました、今の時点で『アメーバなう』の仕様は全然はっきりしてしませんし、あくまで現時点での個人的な推測になります。どんな仕様になるのか、Twitterとはどう違うのか、アメブロを切り捨てることになってしまうのか、それともうまく連携させられて、相乗効果が起きるのか等々興味はあるので注目してみたいと思います。