現在は連載が中断しているようですが、進行がスローながらも芳文社時代から現在の電撃大王連載まで人気のある萌え系4コマ漫画『トリコロ』。この前発売された、未収録集のついた特装版(『トリコロMW-1056』)もあっという間に売り切れて話題になりましたね。
さて、この作品の作者である海藍氏の作品で単行本化されているものは『トリコロ』以外にもあります。それがこの『特ダネ三面キャプターズ』。
特ダネ三面キャプターズ 1 (1) (まんがタイムKRコミックス)
これは、芳文社時代に『トリコロ』とほぼ同時に芳文社の雑誌『まんがタイムラブリー』に連載されていた作品で、連載は2004年から止まっていたのですが、2006年に一時的復活し、単行本が出されました(その後また休載)。ちなみに同じ時期の作品には、トリコロMW-1056の特装版の本に収録されている『ママはトラブル標準装備!』というのもあります。
テイストとしては、だいたいトリコロと同じ感じ。しかしトリコロが家庭主体なのに対してこちらは学園、そして文字通り新聞部が主体です。ただ、部活動はあくまでネタにすぎず、主にはその部員&先生が巻き起こす出来事が主体です。そしてギャグからいい話までそろっているという感じ。
レギュラーキャラクターも似たような感じです。騒動系の秋山みずほ、冷静系の冴木たから、そしてちみっ子振り回され、無意識に撃沈台詞を吐く小田とみか、三十路を気にしつつ、同僚の先生が気になっている三沢美里先生。しかし、海藍作品には珍しい人が1人。それは部員の風間慎太。つまりレギュラーの中に男性がいるのですよね。これはほかの海藍作品ではかなり珍しことです(『トリコロ』なんて、レギュラーじゃなくても警官と宅配員以外ほとんど男性が出てこないし)。おまけに、この風間慎太は小田とみかの幼なじみで、明らかにとみかは慎太に恋心を持っています。そしてそれに絡む話もわりと出てきます。トリコロでも女性同士の愛情というか好感的なものはありますが、ここまでストレートに恋愛系が前に出ているものはないですよね(『ママはトラブル標準装備!』の末期にはそうなるかな?ってのもありましたけど)。ま、もちろんそれは海藍氏の作風通りベタベタしているとかではなく、話の合間に出てくるほのかなものなのですがそれがまたいいのですよ。ちなみにそれらしくなると、みずほやたからにツッコまれるというのもパターン。もしかしたら掲載誌が『まんがタイムラブリー』であったのとも関係あるかもしれませんが、幼なじみ系の話がわりと好きな自分にとっては、なかなか良い感じでした。ちなみに三沢先生の方もたまにそういう話があります(で、やっぱり生徒にツッコまれると)。しかし海藍氏っていうのは、トリコロのお母さんにしても、ママはトラブル標準装備のママにしても、年輩(だいたい30前後)の女性を好感の持てるキャラに描くってのがうまいですね。
というわけで、トリコロ氏が好きで、そういったほのかな恋愛系の話も好きという人は読まれてみるのをおすすめします。
しかしこれ、ずっと休載になっているのですが、トリコロも休載気味な今では無理にとしても、そのうち復活して欲しいと思います。できれば『ママはトラブル標準装備!』も。