ヤングサンデー休刊で、そこで掲載されているマンガがどうなるのかに注目が集まっています。
■マンガがあればいーのだ。 「ヤングサンデー」に掲載された名作・傑作を挙げてみる
しかしこういった、雑誌休刊or廃刊時に移籍するマンガのことを「渡り鳥連載」という言葉を使って説明しているところがありました。
■雑誌を変えて漫画の連載を続けることを「渡り鳥連載」というらしい - [ 悠 々 日 記 ]
私もこの言葉は初耳だったので、まあ日経が名付けたのかもしれません(別にかまいませんが)。でも、リンク先で書かれている「ハチミツとクローバー」(「CUTiE Comic」→「ヤングユー」→「コーラス」)だけではなく、このような「渡り鳥連載」は、今までいくつも存在しました。
マンガが雑誌を移る場合というのはいくつもあり、少年ジャンプからウルトラジャンプ(例:『バスタード!!』)、もしくは週刊少年マガジンからマガジンスペシャル(例:『ぱすてる』『おれはキャプテン』)に移るように、その雑誌戦略の上で移動する場合*1、『コミックコンプ』から『電撃コミックGAO!』(例:『銀河戦国群雄伝ライ』)、エニックス各誌からマッグガーデン(例:『AQUA』→『ARIA』)、一迅舎各誌(例:『破天荒遊戯』)に移行したようにお家騒動の影響を受ける場合、あと最近では『トリコロ』『ジンキ』など何らかの都合で連載作がそのまま移行する場合もありますね。
まあ戦略上の移動はともかく、その他はかなり不測の事態なものですよね。その中でも一番の不測の事態、雑誌の休刊で移行したものというのはかなり多いです。最近だと『電撃コミックGAO!』が休刊となり、一部作品が『電撃大王』に移行しましたね。ですが、中には3つ以上の複数の雑誌を渡り歩くというものも存在します。そういったものを私が知る範囲で書いてみようと思います。ただ、一部潰れていない雑誌を挟んでいる場合もあります(ヤングキングアワーズなど)
『宇宙家族カールビンソン』あさりよしとお
掲載誌:「プチアップルパイ」→「少年キャプテン」→「アフタヌーン」
かつて隠れた名作を数多く生み出した『少年キャプテン』という雑誌がありました。田丸浩史が『超兄貴』を、島本和彦が『逆境ナイン』を、ほか永野のりこ、唐沢なをき、星里もちるがまだ若手の時代に描いていたという、今考えるとかなりのラインナップ。最近完結した『トライガン』が連載を始めたのもここです。その中でこのあさりよしとお作品は、かなりの熱心なファンを生み出しました。そしてアフタヌーン移籍後は暫くお休み中ですが、そのうち復活してほしいです。
宇宙家族カールビンソン (1) (講談社漫画文庫) : あさり よしとお
『銀河英雄伝説』田中芳樹・道原かつみ
掲載誌:「少年キャプテン」→「Noël」→「Chara」→「月刊コミックリュウ」
有名なSF小説のコミカライズ。ですが、これも長い。主に徳間書店のマンガ雑誌を渡り歩いています。
銀河英雄伝説(1) (Chara COMICS) : 田中芳樹,道原かつみ
『恋愛ディストーション』犬上すくね
掲載誌:「ヤングキングアワーズ」→「ヤングキングアワーズLITE」→「レディースコミックMay」→「YK増刊・アワーズプラス」
ネット上でもファンが多い犬上すくねさんの代表作であるこの作品も、かなり放浪しています。ご本人が後書きで「雑誌クラッシャーですか私は」って言っているくらいですし。一度は連載が終了しましたが、なんとか復活。話が進むごとにおもしろくなってきているので、このまま続いて欲しいです。というか今終わられたら、解決しないことが多すぎるので。
恋愛ディストーション(1) (サンデーGXコミックス) : 犬上すくね
『イグドラシル』おちよしひこ
掲載誌:「コミックGENKI」→「コミックコンプ」→「コミック鉄人」
角川お家騒動後、メインがことごとく抜けてぼろぼろになったコミックコンプを支えた貴重な作品。ですがこれも化なり不幸で、載るごとに掲載誌が潰れていくという。気に入っていた作品なんですけどねえ……ちなみに「コミック鉄人」で『風の惑星ゼファー』として掲載され、そこで休刊した後は事実上の打ち切り。もったいないなあ……ちなみに氏の他の作品でも絵はいいし、話もわりといいものが多いのに、すぐに掲載誌が打ちきりになる不運の方。私にとっては整った活躍の場を与えて頂きたい方です。
■関連:角川書店お家騒動とそこで創刊された『電撃コミックGAO!』 | 空気を読まずにマンガを読む
『超人ロック』聖悠紀
掲載誌:「週刊少年キング」→「月刊OUT」→「MEGU」→「マガジンZERO」→「ヤングキングアワーズ」→「アワーズプラス」→「コミックフラッパー」 さらに途中専門誌「超人ロックSpecial」を含む
キングオブ渡り鳥。まあかなり長い連載なのですが、移った回数6回というすごいもの。まあそれで打ち切りにならず乗り越えるのは、この作品の魅力でしょうか。ちなみにOUT掲載時代は、よく同雑誌のネタにされていたらしいです。
超人ロック 完全版 (1)炎の虎 : 聖悠紀
連載続けていられるだけよいかも
このように、出版社を飛び越えてまで掲載されるという作品がわりとあるのですよね。そのほかには竹本泉作品もやけに雑誌が変わるのがありますし、あの名作『火の鳥』も、「漫画少年」「少女クラブ」「COM」「マンガ少年」「野性時代」と多くの雑誌に連載されたようです。
でも、考えてみれば多くの連載は休刊時に打ち切られるのですし、こうやって移れただけでもかなり立派だと思えます。それを数回やっているのならなおさら(まあ当然不幸でもありますが)。
だけど、雑誌を移るということは「ハチミツとクローバー」のあとがきにも書かれているように、かなりマンガ家さんにとってかなりストレスになるみたいです。それはそうですよね。今までその雑誌の一部として貢献してきたのに、それがなくなってしまうのですから。
となると、単行本派な私でも、ものすごく好きでなくなってほしくないマンガの掲載誌は買い支えた方がいいのかなと思ったりします。
*1:まあバスタードは漫画家的都合が大きいような。