空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

ネットの規制が全く逆の結果を生み出す可能性

本当はかなりやらなきゃいけないことがあるのですが、ちょっとネタを思いついちゃったので現実逃避的に更新。

このようなニュースを見ました。

 ■総務省:通信、放送1本化へ議論開始…規制拡大など

ネットであちこちを見ていると、どのくらいの規制がかかるのかというのが話題となっています。とりわけ2ちゃんねるはこれにより潰されるのか? なんて話題まで出てきます。正直、まだ論じられたばかりなのでどうなるかは私にもわかりません。ただ、法改正により2ちゃんねるが潰れるようなことになった場合、現状よりもっととんでもないことになる可能性ものではないかと思っています。

以前、この本を読みました。

 2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書 14)
2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書 14)

言うまでもなく、2ちゃんねる管理人のひろゆき氏の本です。このタイトルは(さおだけ屋を真似たとしても)かなり興味をそそられるものです。ではどうして2ちゃんねるは潰れないのかの解答は、一番最初の項に書いてあります。というか、今回の話題に該当する部分はAmazonの該当ページにある「なか見!検索」で見られる部分に書いてあったりしますので、実際に見た方が早いかも。

この本の13ページにあるそれをまとめると、以下のような感じ。()内は私の補足。

・2ちゃんねるは(無秩序なように見えても)コントロールできている存在で、削除依頼があれば消す。
・もし2ちゃんねるが閉鎖されても、需要があるので他の掲示板が作られる。
・もしその掲示板が海外に作られたら日本の法律が適用できない。(国交がない)台湾や北朝鮮なら尚更。
・そんな違法し放題の掲示板が出来るよりは、まだ捜査に協力する2ちゃんとどちらがいいか選べば、どっちがいいかわかるだろう。

私もだいたい同感です。実は、この2ちゃんねるのある状況というのはある意味においては十分規制が効いている状況とも言えるわけです。明確な犯罪行為にはログの提供がありますし、違法なものに対しての削除も可能です。まあそれでも問題はいくつかあるのですが、とりあえず最低限の対処は可能みたいです。まあ自由な故に情報の信用性が狼少年になっている面もあるのですが、それはまた別の問題なので今日は割愛。

しかし、もし規制がかかり、2ちゃんねるその他の掲示板が潰れるようなことになったらどうなるでしょうか。おそらくひろゆき氏の言う通り、誰かが変わりの掲示板を作るでしょう。だって、それだけの需要があれば、広告費だけでもかなりの収入が見込めますから。それは2ちゃんねるほどの大きさとは限りません。1カテゴリ程度のものがいくつも出来る可能性があります。そして一番人の集まるところが覇権をとるでしょう(なんか三國志みたいだな)。

しかしそれを国内法の及ばない外国でやられてしまったら、下手をすると今まで2ちゃんねるで出来たような削除依頼自体が通りにくい、もしくは放っておかれて通らないこともあり得ます。万が一それがどうにかして(国際条約とか? まあかなり難しいでしょうが)規制できたとしても、P2P掲示板という可能性があります。今まではサーバ・クライアント方式の掲示板の方がレスポンスも人の集まりもよかった上、ブラウザ一つできるので必要がありませんでしたが、もしサーバ・クライアント方式での掲示板が規制されてしまった場合、そっちに人が流れる可能性も十分考えられます。そこではもはや管理者が存在しなくなるのですから、誰にも削除が出来ません(よくあるファイル交換ソフトの流出事件と同じ感じ)。そうなると今のような犯罪予告だけでは飽きたらず、内部告発し放題ってなことにもなりかねません。

じゃあP2Pの使用自体を法規制すればいいかというと(制作は海外で作られてしまうと規制できないので)、そうしたらまず合法的に使われているP2Pも崩壊します。それは様々な産業で使われているものも含めて。万が一それもどうにかして法規制するとしても、今はまだ思いつかないけどそれをクリアする技術が出てこないとは限りません。例えばサーバに不正アクセスをしないで全くログを残さない通信手段などというものも生まれる可能性もあります。たしかに今は不可能に見える技術でも、数年後にどうなっているかなんて誰にもわからないでしょう。グヌーテラが生まれる前には、P2Pなんてものは多くの人にとって現実味がなかったわけですから。

完全にするにはネット接続禁止しか手はない気がしますが、もしそれが出来たら言論の自由は有名無実化しているでしょうね(もしくは無名無実化か)。


これは、2ちゃんねるだけに限りません。最近よく問題になる犯罪依頼サイトでも同じことです。こっちも現在は捜査次第ではログを見ることは可能ですが、方法次第ではかなり追うことが困難になってしまう可能性もあります。


つまり、こういった法規制というのは、違法を封じこめようとする目的とは逆に、新しい方法というパンドラの箱開ける行為のようにも思えるのです。そしてそこから飛び出すのは……。もちろんネット上での犯罪行為を野放しにしておけというわけではありません。明確な犯罪行為に対してはそれを抑制する手段を持ち合わせることが重要とは思いますが、それ故に下手な法規制を行うと真逆の結果を生み出すと思うわけです。

だけど、正直今回の規制は殺人依頼とか詐欺、ネズミ講など、明らかに問題だけど、対処が難しいものの規制に止まるんじゃないかなあとも思えます。さすがにそういったことをちゃんと総務省の人はふまえていると思う(思いたい)ので。そうじゃなかった場合が非常に怖いですが。ま、それもふまえてさらに規制出来る方法があるのかもしれませんが。

ともかく、この動向にはいろんな意味で注目してゆきたいと思います。あと、迷惑メールは送信依頼だけで違法なようにさっさと規制してください。