前回『行列の長さから販売数の比較を行うことは出来ないという話』で、行列の長さが必ずしも売り上げ数に比例するわけではないというのを書きました。
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そこで、コミケの行列の長さを出しましたが、あれだけの列を作るコミケの超大手サークルというのがどれだけ売れているのか、というのが気になりますね。もちろんそんなのはサークルによって、また状況によって変わるので確定は出来ませんが一応決まっている数字でおおざっぱなものを割り出すことはある程度出来ると思います。ですので今日はそれをやってみましょう。ただ、計算はあくまで私の思うところの予想ではじき出したものなので、あまり本気に取らずに数学的なネタとして見ていただいたほうがよいでしょう。
まず、参考とさせていただいたサイト。
別に儲ける方法というのではなくて、本当に同人誌で儲けられるのか、という分析をされています、そこで注目したいのはこの部分。
イベントは10時〜16時です。6時間あります。360分ですね。
ということは「1分間に1冊」売れれば、「360冊」売れることになります。
さて、ここからは考えられるMAXで売り上げを考えていこうと思います。まず、ひとりが一分間に売れる数はいくらか。これこそサークルによるでしょうが、計算しやすいので10秒としましょう(おそらくこれもかなり条件が重ならないと無理だと思いますけど)。となると、上の360にさらに6をかけて2160。ただ、大手の場合はひとりで売り子をすることはあまりなく、複数のカウンターを作ります。つまり昨日のエントリーで言うところの窓口の数を増やす、ですね。ですが人数的、机のスペース的におそらく4人が限界だと思いますので2160×4=8640。ただし、事実上これだけの速さで360分売り続けるのは物理的に不可能です。実際は13〜15時までには販売終了になるところも多いので、さばける人数はこれよりももっと低くなるでしょう。
しかし、これはひとり1冊で、且つ販売物も1種類の場合です。実際には販売物が複数、そして共同購入*1などで複数差使う場合も多々あるでしょう*2。するとその分だけ倍数がつくことになります。例えば販売物が2種類の場合は×2になりますね。ただひとりがいくつ買うのかはこれこそ全部違うので計算は不可能です。それでもまあ2冊限定がかかっているとして、×2としておきます。
まとめますと、8640×2×2=34560冊。だけど前述のように列をこれだけの速さでずっとさばけるサークルはまずないですし、必ずしも一人が2冊買うとも限りません。これは理論上の最大値で、これだけ売り上げるサークルは現実的には「ない」と断言してよいのではないでしょうか。たしかに品を複数種類作ればそれだけ倍数になりますが、2種類以上作れる人はあまりいないと思います。無理して量産すれば質が下がって、購入者を減らすことにもなるでしょうし(実際、オフセットの新刊3冊っていうサークルは小数かと)。
それに加え、前回のエントリーで書いた「スペース(置き場)の問題」と、「持ち込み数制限」があるので、コミケの内部規定は知りませんが、おそらく2万冊持ち込んでいるサークル自体ないと思います。1万でもかなり怪しいかと(ひとつの段ボールに100冊入るとしても、1万冊なら100箱ですし)。
たまに「大手は1回のコミケで数千万を売り上げる」なんて(出所がさっぱりわからない噂としての)話を聞くことがありますけど、上の話からそれは最大級の大手でもかなり困難なのではないかと。特に新刊1冊なんて場合には。単価が高くすれば利益も上がるしれませんが、それはあくまで理論上のことです。実際、単価が高いと買う数を絞る、もしくはどうしても欲しい人以外は買わない、その結果余りまで出てしまうという現象はよく聞かれます。
さて、しかし作り手にとって重要なのは売上高ではなくて(いや、それももちろん大切ですが。人によっては一番)、「どれだけの人に読まれたか」ということになるでしょう。つまり読者数ですね。これを上の数字から割り出すとすれば、新刊の数は除外されるけど、その1種類の販売数は活きるので、8640×2=17280となります(面倒なので中古販売や貸し借りは除外)。まあこれも導き出し方からわかるようにかなりいいかげんなので、まあだいたい1万半ばとしておきます。
さて、この1万半ばというひとつの同人誌における読者数の最大値と思われる数字は高いのでしょうか、それとも低いのでしょうか。