映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の話。この映画では、背景でいろいろな小ネタがしかけてあり、そのうちのひとつに「歴史は繰り返す」という学説を提唱した人のニュースが流れています(たしか2の未来では、その人がノーベル賞か何かを受賞してましたね)。その言葉通り、続編含めて同じようなシーンが繰り返される(特に街の広場において)というのが演出のひとつとなっており、それが証明されるという形になっています。
で、話は全く変わり、最近のネットでは例大祭以降、なんか同人のことについていろいろ議論されているのを見かけます。わからない人のために言うと、ここで言う例大祭とは同人誌の即売会のひとつで、それも同人シューティングである東方Projectをメインとしたものです。最近、この東方Projectは、ゲームのみならず、こういったマンガ、同人音楽アレンジ、果てはAAや(例・ゆっくりしていってねシリーズ)ニコニコ動画でのMADテーマとしてもつかわれていますよね。特にニコニコは、その日のランキングを見ると、いくつもこのゲームの絵や音楽を使ったものを見るくらい。発端はこの例大祭、かなり混乱があったようです。
■参考:
d.hatena.ne.jp
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そして最近、、ネット上では現在、同人即売会がかかえている様々な問題が出てくるようになりました。いや、正確には例大祭が契機ではなく、もうちょっと前からいろいろ言われていたのですが。先日私が行ったM3もそうですが、たしかに即売会、それも東方関連のものには参加者が増えているので、それの影響もあるのかもしれません。
しかしこれと似たような流れ、どっかで見たことがあるなと私は感じました。それで考えてみるとすぐにわかりました。ああ、これって2000年前後の男性向け同人誌の状況と似ているなと。
2000年より少し前くらい、新しく同人の世界に入ってくる参加者が急激に増えたことがあります。それはエロゲーブランド「Leaf」の作品、「雫」「痕」「ToHeart」のLVNS、(Leaf Visual Novel Series)を皮切りに、同じくエロゲーブランド「Key」の作品(正確にはタクティクスの「ONE」から)が大ブームとなったことより、この分野の同人が急激に増えたことによります。その人気は最高時にはコミックマーケットの東123ホールをほぼ全部「Leaf・Key」ジャンルにしてしまうほどでした。
そんなブームの最中、その発売元のひとつであったLeafが、新作『こみっくパーティー』という同人誌即売会をもとにしたゲームを出し、その勢いで企画されたのが、その『こみっくパーティ−』を実際の同人誌即売会としてやってしまおうという企画、それが通称『リアルこみパ』。それが行われたのが2000年4月23日、場所は東京ビックサイトの東の1ホール。サークルも当時のトップ人気メーカーの主催する即売会だけあって、人気サークルがずらりと並びました。しかし、一般参加者もとんでもない数となってしまい、とても東の1ホールにおさまる量ではありません。その結果、身動きが取れない量の人で混雑し、会場はとんでもないこととなってしまいました。そして、スタッフもそれを裁ききれなかった模様。一説では、一般参加者として遊びに来ていた他の即売会のスタッフが、混乱を避けるためにスタッフとして動かざるを得なかったとも言われています(その辺の事情はネットの伝聞レベルでしかないので、確かめようがないのですが)。
さて、これと今回の例大祭のことが重なるのですね。つまり、主催する側の想定をはるかに越えた来場者があったことで、混乱してしまうという現象。これは明確に誰かが悪いというわけではなく、完全に流行の波が予想を超えてしまったことで起きたと言えるでしょう。そういえば、リアルこみパの時も雨だったような記憶が。*1
で、最初の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の話じゃありませんが、なんか同人は似たような歴史を辿っているのではないかと。すなわち、ある特定ジャンルの人気によって同人の参加者が増え、今回のように予想を超えた混雑が起きるようになる。そして即売会のルールをしらない新参の人がマナー違反をして(徹夜など)問題となる、意識にずれが生じる(「参加者」ではなく「お客様」気分の人が増える)、今まで議論されてきた過程を知らないので、同じ問題がまた提起される(徹夜組問題、大手問題、企業ブース問題、何時からならペナなし問題等々)、そういったことがまた起こっているような気がします。
さて、あちこち見ていると、「最近の新参者はそんなことも知らないで……」みたいな風潮も一部にあります(まあ「参加者はカタログの注意書きを読む」がルールとなっているので、ものによってはそう言いたくなる気持ちはわかりますけどね。特に徹夜とか明確なルール違反は)。しかしこれって、8年前のLeaf、Key時代に入ってきた人たちに言われていたのと同じようなものなのですよね。徹夜にせよ、チケット問題にせよ、大手問題にせよ、委託問題にせよ。おそらく、Leaf・Keyブームよりも前、エヴァやセーラームーンで同人に入ってきた人が増えたときにも、先にいた人は似たようなことを思ったのではないでしょうか。
ただ、ここで後に続く人を非難して排除するだけでは「最近の若いモンは……」と大差なく、発展もしません。ですので、そのことについて何か間違えていた場合は、同人誌即売会でのルールや、何故そうなっているのかを教える必要があるのではないでしょうか。ですので、ネットで行われているこれらの議論は無駄だとは思いません。その議論を多くの人が目にする過程によって、新しい参加者は同人でのルールというモノを学ぶと思いますので。それにもしかしたら全く新しい発想で、即売会が長い間抱えていた問題を解消する糸口になるものが出てくる可能性もありますし。
最後に、同人即売会の参加者となるためのシンプルな条件。それは「自分以外の人(団体・組織)に迷惑をかけないように心がける」。かなり多くのことは、ここに行き着くのだと思います。
例えばコミケなど同人誌即売会のカタログには、いろいろな禁止事項が書かれています。例えば徹夜の禁止。これは近隣住民への迷惑、及び運営する組織に対して迷惑がかかります。万が一徹夜をしていた人に何かあると、会場を貸してもらえなくなるなど、その即売会を主催する人、及びそれを楽しみにしている人に多大な迷惑がかかるのです。また、路上での座り込みも、歩行者の迷惑になるだけではなく、消防署から指定されているところを占領すると、注意を受けて会場の貸し出しに支障を来す場合があります。会場内を走る行為も、非常に危険であり、他者をけがさせることもあります(実際、机がなぎ倒される事件はたまに聞きますね)。また、ここに限りませんが自分でも他人でも怪我人が出た場合は、会場の貸し出しが危うくなる可能性は非常に大きいのです。また、サークルとして参加している場合も、例えば意図的に列を作り出せば(混んでいる会場でも時限コピーなど)、近隣のサークルに迷惑がかかりますよね。
このようなコミケで禁止されていること、マナー違反とされていることのほとんどは、「誰かに何らかの迷惑をかける行為」だと思うのです。ですので、行動に迷ったときはそれが誰かにとって迷惑なのかというのを考えて行動すれば、たいていの場合うまくいくと思います。もちろんそれでもいろいろな行き違いで結果として迷惑をかけることもあるでしょうが、意識するとしないとではだいぶ違うはずです。
ただあまり考えすぎると迷惑ではないことまで消極的になりすぎてつまらなくなるリスクもあるので、そこは加減が必要でしょう。
◆追記
このエントリーでの「歴史が繰り返す」がそれなりに当たっていたら、次に起きるのはイベントを安易に考えるイベント主催者が出てきて、問題を起こしてしまう(緊急&無責任な中止や大混雑)ってことかなあ。そういえばKeyジャンルで名物になった迷惑一般参加者もいたなあ。
*1:まあ読みが甘かったと言われればそれもあるでしょうが、未来を予測できる人はいませんから。ちなみにリアルこみパのほうは、フォローするわけではありませんが、メーカースタッフをサークルとして出さなかったのは大英断だったと思います。もし出ていたら、輪をかけて洒落にならない事態になっていたでしょうから。