行列の長さから販売数の比較を行うことは出来ないという話

年末はコミケに行って、年始から部屋は同人誌でいっぱいという方もいらっしゃることでしょう。さて、コミケに行ったことのある方はもちろん、もしくは行ったことのない方でもネットの情報などで「大手サークルの大行列」なるものを知っておられる方は少なくないと思います。これは、人気のあるサークル(コミケで作品を頒布する方の参加者のこと。個人でもサークルと言う)に対して、購入希望者が文字通り列をなすことです。すごいところだと、横4列で500メートルくらいのものが出来たりします。購入までの待ち時間も1時間とか2時間とか、下手をするとそれ以上になることもあるようです。

さて、ここで根本的な問題。「何故列が出来るのでしょうか」。さてこれは列ならコミケに限ったことではありませんが、並ぶものに対しての需要が多いからでしょう。では何で少年ジャンプの需要は数百万部あるのに行列が出来ないか、これも簡単で、ジャンプは全国のどこの書店やコンビニでも手にはいるのに、同人誌はそこでしか売っていないからです。つまりは、「販売する窓口」の大きさが違うのですね。
とすると、販売する速度が同じだと仮定した場合こんな公式が導き出せるのではないでしょうか。

行列の長さ=販売量全体÷販売窓口の数


これは列単体でも、処理する窓口が2つだった時と4つだった時では待ち時間が約1/2になるってことでわかると思います。銀行のATMとかに並ぶ時によく実感しますよね。だから混んでいるように見えても、ATMの多いところに行った方が結果的に早いと。というか1台しかATMがないと、一人がトラブった時に以上に待たされるんですよね。あといきなり故障とか札切れがよくあるんだよ……


さて、ここでもうおわかりだとは思いますが「行列の長さが必ずしも販売量と比例しているとは限らない」わけですね。しかしこれは窓口の多さだけに限りません。その販売者の処理能力の問題もあります。スーパーのレジで言えば、鬱のが早い人と遅い人みたいに。つまりたとえ同じ販売数でも、処理能力が優れているところは列が少なく、多いところは列が増える、なんてことは多々あるわけです。希に、「牛歩」といって列を意図的に作っているのではないか、と言われるところがありますが、必ずしも悪意ではなくて、それらの考慮が甘くて単に処理能力が遅いだけってのこともあるでしょう。まあ、餃子屋でも意図的にスピードを遅くしているところもあるみたいなので*1、ないとは言いませんけど判断は難しいでしょう。


ただ、前述のコミケの大手サークルが列を作ってしまうのは、どんなに頑張って処理をしていても、それで処理しきれない行列が出来てしまうということが多いみたいです。実際、売っているところを見ていると、ものすごいスピードで処理していることが多いですし。たまに、売り切れる大手サークルに対して「販売数が足りない、もっと持ち込め」と言う人が(主に買えなかった人で)いますが、同人誌を置くスペースだけではなくて処理能力的にももう限界、つまりこれ以上だと開催時間を過ぎる危険性があるという場合も多々あるのですね(たしかこういうことを見越して、コミケ準備会側で搬入数の上限を決めているはずだったと思います)。

ちなみにある行列を作るところから聞いた話ですが、行列を早く処理するためのコツとして、「会計をスムーズにする」、つまり、500円、1000円、2000円などキリのいい値段にして、たとえ複数買われたとしても会計の計算が手間取らないようにする(これは購入者、販売者両方にとって)。それによっての効果は、あまりおつりのでないように出来るいうのがあるようです。あと、会計前に値段を告知しておき、あらかじめサイフから金額を出しておいてもらうというのもよくあるようです。あとは「人の流れをスムーズにする」つまり購入者の流れと購入したものの出る流れをぶつかりあわないように作るということもあるとか。ついでに販売物も工夫して、すぐに手渡せる形になっているとベストだとか。


いろいろ語ってきましたが、今日のような「行列の錯覚」的な話、つまり行列が出来るとなんとなく人気があるように思えてしまうけど、実際はそれで比較することは出来ないっていうのは、まとめてはいないにせよ、多くの人が実感している話だとは思います。実際、こういうことを知っていても行列ができていれば「ん?」と気になりますし。そこで行列に騙されないための思考。それは行列に並んで得られるものから、それにかかる金銭以外に「それに費やした時間」もいっしょに引いて考えるのがいいのではないかと。まあそれが瞬時に判断できれば苦労しないのですけどね。

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*1:昔伊集院光のラジオで、店員からそれを聞いて「それは言っていいの?」と思ったという話がありました。