『祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす』
平家物語の冒頭です。学生の頃にテストに出た人もいるのではないでしょうか。
この言葉、どうも学生の頃から好き、というか気になっている言葉でもあります(ちなみにこの後の「おごれる人も久しからず」も好き、というか座右の銘)。栄枯盛衰は世の常ではありますが、日本ではそれに対する意識がどうも強い感じがするのですよね。
で、日本にはこの栄枯盛衰を利用した面白い、といっては何ですが、変わった呪法があります。それが『官打ち』と呼ばれるもの。
昔のブログでも書いたのですが、(『呪法『官打ち』について』)これは鎌倉時代、3代将軍源実朝に対して後鳥羽上皇が使ったとされるもので、「人間、その人の器に見合う以上の官位を与えることにより、その人の運気を奪い取ってしまい、死に至らしめる」というものです。とはいってもこの現象は科学的にも説明できなくもないです。要は新入社員に重要プロジェクトの統括を任せたらどうなるか。多くの場合、プレッシャーで潰れてしまうような気がします。
まあつまり、急激に立場が上がることによって、キャパシティを成長させる時間がないまま今まで以上の重圧が急に降りかかるが故、破裂してしまうってな感じですね。冷やしていたグラスを急に温めたときのように。
さて、これと同じことは現代にも言えますね。それこそ前述のプロジェクトの様に。そして同時に個人ではなく、法人やその他いろいろなものに言えると思います。原理は同じで、キャパシティ、もしくは守る術を成長させる時間がないままに上がったので、その勢いが止まった時点で急激に落ちてゆくと。まあ言い換えれば元の位置にまで戻るってことですけど、その上がる速度と下がる速度は、なんとなく比例しているように思えます。
近年だと、ライブドアとかかなあやっぱり。あともっと広く見てパチンコ業界とかも近年の急成長と最近の急落を見るに、そんな感じがあるかもと思ってしまいます(保ち続けるかもしれないけど)。
あと、前に書いたこととちょっと関連しますが、芸能人にも似たようなことが言えると思います。つまり保つ術を知らないまま有名になってしまったので、飽きられたときに落ちてゆくのが早いと。ですので私的には、数年大売れした芸能人やアーティストより、中堅で長年やっている人のほうがすごいと勝手に思っています。
まあ、某スポーツの人気みたいに長年保ち続けたものでさえ落ちていくのですが、こっちは急に、というよりはゆるやかに落ちている感じかなと思います。然るに、やはり上がった速度と落ちる速度はこの場合も比例しているのかなあと。
しかしどの場合も、上がったままその場に居続ける人もいますが、そういう人(組織)は実力がある人(組織)が急上昇したんだなあと思っています。
関係あるようで関係ない話ですが、『アルジャーノンに花束を』では、急激に成長した分、急激にもとにもどる描写がありますね。あれは(本人のレポートというのもあって)悲しさを引き立たせます。やはり昇りは嬉しい、下りは悲しいのは何事にとっても常ですね。とはいっても避けられはしないと。いや、避けられるかもしれないけど、文字通り生まれ変わるくらいにならないとダメかなと。
さて、今急上昇しているものの中にも、きっと数年後には急下降をしているものってのは、どの分野でもあり得るのではないでしょうか。そして言ってみれば、ブログも。このブログは現在アクセス数が開設時期の割には増えていますが、わりとニュースサイトさんにとりあげてもらったりで、運の良い面があるのではと思っています。まあ今は、こういった文章でも読んでもらえることを感謝しつつ、確実に読んでもらえるものを長く書いていくしかないよなと、今日の文章を書きながら思った次第。
今日の文章、なんだか何を書きたいのかわからなくなってきたけど、まあ自戒ですね、たぶん。