空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

「サービスが悪いけどうまい店」は存在しない。少なくとも私にとっては

先日ラーメン屋に行ったら、いつまで経っても水が出てこないばかりかカウンターの上に置いた食券を5分くらい経っても取りに来ない。まあ忙しいのかなと思いつつもさすがに「すみませ〜ん」と呼ぶ。まあこれなら別に普通にある得ることで「まあよくあることだから」たいして気にですが、その後に言われた言葉。「いつ座ったんですか?」。さて、その時食ったラーメンの味を思い出しながら書くのが今日の文章。


昔からよく「うまいけど店員の質が良くない」とか「サービスは悪いけど美味い店」なんてのが紹介されることがありますが、私にとってみれば、それは矛盾だと思います。というのは、サービスの悪い店ではうまいと感じないから。
ちなみにここで言うサービスの悪い店とは、何も店員がいたれりつくせりしてくれないということではないです。テンプレート的に存在する「オヤジが無愛想」くらいだったら、サービスのプラス加算はないしにても、マイナスもそんなにないので±0くらいでしょうし。
ですが、先ほどのように店員の顔が接客しているものではない、奥で店員同士で会話していて注文を取りに来ない、混んでいるときに「列を詰めてください」とお願いされるのではなく「列詰めろ」と偉そうに言われる、なんかイレギュラーな注文を言ったら聞こえるようにぶつぶつ言う(あきらかに客が悪くない場合)、食器や机が汚れている、落ちたものを再利用している(いや、これは接客云々以前だよなあ)等、あきらかにこれはどうよ的なマイナスポイントを見つけてしまうと、もはや味以前の問題になります。

私的には、うまいものを食うというのは、言い換えれば「味覚をプラスに刺激するという過程を通して心地よい気分にさせるということ」だと思っています。つまり、「味がよい」というのは過程でしただけど、その目的である心地よい気分にさせる要素に先述のサービスの悪さで気分的マイナスが与えられてしまっては、結局目的を果たしていないのではないかと思うのです。故に、最初に書いた「サービスは悪いけど美味い店」というのは、「サービスが悪い」というところで「美味い」と思わせるところを打ち消しているのですから、この言葉自体矛盾しているのではないかと思ったのです。まあどこから何処までがサービスが悪いのかなんてのは、どっからどこまでが美味しいのかっていうのと同じように、人によって違うと思いますが。

逆に、サービスが良いところではある程度味がまあまあでもそれなりに満足できるのもあると思います(ファミレスとかでもそういう面あるような)。それでも食べ物屋である以上、味が一番のプラス&マイナス要素であるのには変わりないですが、せっかく上げたものをサービスの悪さでマイナスにするのは勿体ないなあと。

ついでに言えば、「安さ」というのは「身銭を切る心地悪さ」をどれだけプラスポイントにしてくれるかでその評価が決まるように思えます。ですので高い店で普通よりちょいと美味い程度の料理だったら腹が立つし、安い店で味もそこそこ、そしてサービスが±0くらいだったら特をしたような気分になると。そういえば、例のミシュランガイドに載った日本の寿司屋が話題になっていますが、あれも値段とそれに見合うサービスのバランスで賛否両論が起きているのではないでしょうか。

MICHELIN GUIDE東京 2008 (2008)

まあでも食べ物屋を「話のネタ」とする人はある程度サービスが悪くてもそれを「ネタ」として消化できるというものがあるので、許容値が広くなるのかも。


まあいろいろ書いてきましたが、これらをわかりやすくまとめると、「接客のマイナスで受ける印象は料理の味を打ち消すから、接客きちんとしないと客減ってくよ〜」ってなとこで。

でも、近年低価格だけではなくて、中堅レベル以上でも店員を派遣やバイト、パートに頼る飲食店は増えていますよね。その中の雇用形態も店によって様々ですので全てが悪いとは言いませんが(というか、中にはこっちが驚くぐらい腰の低い店とか気を遣ってくれる店もあるし)、場所によってはいますよね、前述のようなマイナス店員が。それはただ仕事をこなすだけで、接客なんて最低限の(クビにならない程度の)ことをしていればあとは関係ねえと思っているんじゃないか?と感じてしまう店員。つか、これはその働いているその人にも問題がありますが、たとえ接客に気を遣っても、細かいところで気を遣ってもプラス評価になりにくい現行の制度に問題があるように思うのですけどね。

結局のところ、こういったサービスというのは目に見えないわけで、業績にもそれが影響していると証明していることは出来ないので、対策がほどこしにくい、もしくはスルーしてしまうっていうのが現状なのかも。まあどっちにせよそういったことは客には関係ないわけで、この「見えないマイナスポイント」が蓄積してだんだんとその店を蝕んでいくよいうことがあり得るのでは……なんとなく思い当たる店、ある人もいるのでは?


さて、この「見えないマイナスポイント」というもの、食べ物屋やお店の話だけではなくて、あらゆる場所、そしてネットの世界にもあると思います。長くなったのでそれはまた後日。