さて、この前のエントリーで「声優がいらなくなる時代というのは来るのか」という話題を取り上げました。で、その時書けませんでしたが、もうひとつ、「漫画家のアシスタント」も同じように提起されていました
結論から申しますと「アシスタントを使わない人も出てくる。しかし全部が全部そうなることはない」と思います。
理由としてあげられるもののはまず『手間の問題』。結局パソコンを使っても、手間は縮小できるものの完全になくなるわけではありません。まあ1ヶ月1本と可だったら可能かもしれませんが、やはり週刊とかなら最低でもそれなりにパソコンを使える人員1人は必要ではないかと思います。
そして『作画以外の協力者としてのアシスタント』というものの価値。個人的には手間よりこっちのほうが大きいと思います。
アシスタントを使わずに、パソコンを使って全部描き上げるという方式は、すでにいくらかの漫画家がやっています。有名どころでは山本直樹氏など。たしかにアシスタントがいなければ、人間関係のマイナス点からは解放されます。しかしそれは同時に相談する人間もいなくなるわけです。もちろんそのほうがいいという漫画家さんもいるでしょうが、全員が全員そうとは限りません。
『ゴルゴ13』のさいとうたかを氏は、すでに作品を「さいとうプロ作品」として、脚本や作画を分担して作成し、さいとうたかを氏は監督的立場(統括&一部執筆)ということを公言しています。ほかにもプロダクション形式をとっている漫画家は多いですが、そう言ってなくても事実上そうしている漫画家は多いのではないでしょうか(ちなみにアメコミの場合、そういうスタジオ製作風のものの方が普通らしいですね)。完全分業制じゃなくても、ネタや構図を相談する、ということはしている方は多いと思われます。100%一人でやって、アシスタントはそれを指示通り描くだけ、というのは少数派かもと思うのです。となると、たとえパソコンが普及しようが、そういう役目の人を欲している場合、最低1人はアシスタントが必要なのではないかと。つかやっぱり一人で作業してると煮詰まるんですよね。もちろん人によっては1人のほうが気楽という人もいるのでしょうし、そういう人でPCスキルをすでに持っている人は、もうアシスタントなしで作業をしているのではないかと。
他にも、リンク先ではアシスタント外注が生まれるかという提起もされておりますが、これも一部では生まれる可能性もあるけど全部が全部そうなるわけではないと思います。というのはやはり外注ってのはもらった金額以上のことを大きく逸脱してはやれないわけですね。というか金額を超えた場合、一定以上の無料サービスを超えたらやりたくてもやれないのです。そうしないとそっちが時間的、経済的に大損をしてしまうので。ものを作る仕事に就いている人間が製品が悪いまま世に送りたいなんて思っていない当然ですので、アニメの作画崩壊を見ても、現場が「こんな未完成な作品出したくないのにもう時間が……」と苦悩したんだなあという気苦労が見えてしまうのですよね(中には本当に愛が無くて作業的なところもあるらしいですが)。予算と進捗の管理は重要です。
と、話が逸れましたが、そんなことがあるのでアシスタント外注はよほど漫画家にはお金が、そしてそういった会社には信頼がストックされないと本流にはならないかと思います。更に言えば、近くにいて作業の意思疎通が図れないのは大きなマイナスでしょう。漫画での外注作業があまりないのは、この意思疎通の迅速さが計れるか計れないかが大きいと思います。
そんなわけでただ、やはりアシスタントがいなくなることはないとは思います。しかしその仕事内容は声優同様に変化する可能性は高いと思います。そしてやはりパソコンの割合が多くなってくるのは避けられない気がします。
まあ、今でも常にアシスタント募集というのは雑誌の柱に書かれているくらい足りないみたいないので、パソコンが人手不足の解消になるのならそれはそれでいいのではないでしょうか。あと、新人漫画家の場合アシスタンド代を負担しなければならないけど単行本が出る前では採算が取れないという問題も解決できるのではよいのではないかと。
最後にちょっと思ったこと。ゲームは技術が進歩すると逆に開発に人手がかかるようになりましたね。それと同じ現象は、漫画にも起こりえるのでしょうか?