空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

税務署では決して喩えなさそうな確定申告の説明

 やっと確定申告を終え、ひとまず重荷がおりました。学生や会社、役所勤めの方には縁がない方も多いでしょうが、本当にこれは面倒くさいものなのですよ。
 しかも、税務署から送られてくる書類は、一応わかりやすく説明してくれようとはしているものの、文字が多くてどこをどうすればいいのか捉えにくいし。

 そこで、今日ふと確定申告書類を作りながらふと頭に思いついた喩え方で、確定申告の簡単な説明をしてみようと思います。
 尚、かなりおおざっぱというか乱暴に書いてあるので、もっと正確且つ詳しく知りたい人は、それこそものの本を読むか、専門の詳しい人(税理士、会社なら経理のひと等)に聞くのが確実です。


 さて、あるところに、毎年ある一定の割合で火山より火山弾が落ちてくるという不思議な山がありました。
 この山が個人の収入金額、そして山の木に燃え移ろうとしている火が税金とします。(ちょっと例えが乱暴ですが)
 この山火事(税金)は山(収入)の割合に対して絶対起こるもので、山が大きければそれだけ燃える割合(納税額)も大きくなります。
 それを消す水が「納税」。つまり山火事で燃えている部分に水をかければ(税金を納めれば)、山火事は鎮火します。そしてその山火事が起きていない状態にするための作業が「確定申告」です。


 しかし、実際の山火事に予防手段があるように、こちらにもたとえ火が山にやってくる前に、なるべく狭い範囲に燃えを抑える手段があります。

 実は火事の範囲は山全体(収入金額)の割合に対してではなく、防火壁を作った外は燃え広がる対象にはなりません。この山の中(収入金額)にあっても防火壁の外にある燃えない部分を「必要経費」、そして燃える可能性のある防火壁の内側の部分を「所得金額」とします。
 火(税金)はその防火壁の内側にやってきますので、必要経費が多ければ多いほど、その範囲は狭くなるわけです。
 ただし、その防火対策に不適切なもの(認められない経費)が混じっていた場合、そこから火が飛び出して一部を燃やしてしまいますのでご注意を。(それが認められるかはそれこそケースバイケースなので、その状況でそれぞれ調べてください)


 さらに、その防火壁の範囲にもさらにもう一回防火壁を作ることが出来ます。それが「控除」。
 控除には全員に適用される基礎控除(今年は38万円)の他、医療費控除、社会保険料控除等のものがあり、それの分がさらに引かれます。


 そして、その2重の防火壁の内側にやっと火がやってきて、一定の範囲を燃やします。ちなみに今年の例だと年収が330万以下だと10%、900万以下だと20%、1800万以下だと30%といった感じですね。

 ですが、この火がやってきた部分には、必ず「燃えない物体」があります。それが「低率減税」。しかし残念ながら、これはニュースで言われているように今年でなくなります。


 さて、現在燃えている部分が個人の課税額となるわけですが、実はこの火事(納税)、前もって対策を施しておくことが出来ます。それが「源泉徴収」です。納税額から、この源泉徴収を引いた値が、消化するべき水の量、すなわち納税額になります。

 収入では、前もって支払い先から税金が税務署に支払われている場合があります。山火事に戻って喩えれば、前もって消化剤をまいておいた感じでしょうか。
 しかし、これはたいていの場合多めに払っているので、場合によっては火を消すどころか消化剤が余ってしまう場合もあります。この消化剤の余りが「還付金」で、それは申告すれば個人に返してもらえるというおいしいものです。
 ただしこれには「源泉徴収票」というものが必要です。アルバイトの人、会社を辞めて1年以内の人は、(元)勤務先から送られてくるこの紙を使って申請すれば、少しばかりお金が返ってくるかもしれませんので、注意していた方がいいですよ。

 あと、要素によっていろいろ控除とか変化がありますが、それはその都度調べてください。


 ちなみに、山の範囲を偽ってその水を消化できるほどかけないのがいわゆる「脱税」、防火壁をなるべく多めに作るのが「虚偽申告」ですね。
 しかしほぼ確実にその火は風(税務署)によって燃え広がります。そしてその火を消すためにもっと多くの水(追徴課税)が必要となることもあります。

 ちなみに「知らなかった」は言い訳にはなりませんのでそのつもりで。 


 ま、こんなことを考えながらやっと終わらせたわけですが、やはり虚偽申告や隠蔽をするよりも、きちんとしたほうが精神的によいかと、とまるで税務署広報のようなことを言って今日はこれまで。