「最高のアクセス数」はブログをプラスにするか、マイナスにするか

※今日の文章には『アフター0』の「最高の晩餐」のネタバレがあります。


アフター0』の中には、ラストが必ずしも明るいものではなく、暗いものもあります。その中で特徴的なもののひとつは「最高の晩餐」という話。
これは、ある惑星に地球より進んだ生命体が発見され、コンタクトの末両者の初会談となります。そこでは現実の会談のように晩餐会が行われますが、そこに地球とその惑星で一番のシェフが互いに料理を作ります。結果は大成功で、後日、地球のシェフは異星人のシェフを家に招いて、お互いに料理を作りあいます。そこで二人とも相手の料理に大感動。曰く「私たちの悩み……つまり自分の料理の真価を理解するためには、自分と同じ能力を持たねばならない。……しかし地球にも、クラン・クラム(異星人の惑星)にもそんな自分物は存在しなかった」と。つまり、お互いがその世界で至高の存在であったからこそ、その相手の料理が理解できたというわけで。しかし時間が来て、その異星人は自分の星にしぶしぶ帰って行きます。
そして数ヶ月後、地球のシェフに送られてきた映像(通信はいつでも可能だが、お互いの物理移動は1年のうち一定期間しかできないという設定)は、やせ細ってベッドで倒れているその異星人。その異星人は、なんと地球のシェフの料理が味覚刺激を全て乗っ取ってしまい、それより劣る自分の星の食べ物を全て受け付けなくなってしまったのだと言う。そして数ヶ月後にゲートが開くまで、私は待つことが出来るのでしょうか……と。そしてその映像を見たのは、地球上の美味しそうな料理を目の前に並べられても、異星人のシェフと同じように何の感慨も湧かなくなり、やせ細って鼻から管をつけている地球のシェフだった。そしてつぶやいた言葉、「あなたも私もお互い……宇宙最高の味を知ってしまったがゆえの悲劇でしょうか……??」


さて、いきなりダークなSFではじめましたが、この「最高のものを知ってしまうと、それより下に興味が湧かなくなる」という現象、何も料理に限ったことではありませんね。『コミックマスターJ』というマンガがありましたが、あれも至高のマンガが出てきて、現在活動しているマンガ家がそれの出来に対して自分のマンガに絶望して書けなくなるなんてものが出てきますし。

まあ幸いなことに、このSFみたいに、全てを受け付けなくなるまで圧倒的なものというのは、今のところ現実に存在しませんが(まあある意味麻薬の刺激とかそうかもしれないけど、あれは常習性が付加しているので微妙に違うでしょうね)。ま、あとは人間には「飽きる」というある意味自己防衛のための機能がついているってのもありますし。


でも、一度上を見てしまうと、なかなか下がれないってのはよくあることです。そしてそれは、ブログやサイトの運営にも言えそうな気がします。そこで上下するものは「アクセス数」。

一度何らかの原因でアクセスが増えてしまうと、それを落としたくない心理が働いてしまうと思うのはわりと自然でしょう。まあただこんな話もあるので、一概には言えないかもしれませんが。ですが、アクセス数は一時期盛り上がっても、すぐに下がります。それはまあ当然と言えます。アクセス数が急に上がる場合は、たいていどこか(ニュースサイトなど)に紹介された場合でしょうが、そのネタだけでずっと引っ張るのは無理です。なあ作品系(例えば脳内メーカーなど)なら長期間引っ張れるでしょうが、人間が飽きる以上、必ずアクセス数は下がります。おそらくは、新しくどこかで紹介されない限りはその最高アクセス数からだんだんと下がってゆき、それ以前の数値プラスちょっと程度のアクセス数に戻ることでしょう。

しかし急に上がった人は、その最高地点から下がり続けるのを何日も見続けるわけです。こういうことにある程度慣れている人ならこういうものだと達観でき、そのアクセスが増えた日が特別で、それだけでも読んでくれたことをラッキーと思えるでしょうが、もしかしたらサイトを開設したばかりの人はそう思えないかもしれません。

実は私もそれに似たような心理状態は味わいました。それはブログを開設したばかりの頃(ちなみにここともGMブログとも別のところです)、ニュースサイトさんに紹介していただいたおかげで、アクセス数がそれまでの10倍、いやたしかそれまでが100未満だったからそれ以上のアクセスとなりました。しかし、次の日からは当然ですがだんだんと下がってゆきます。それでちょっとした焦りを感じてしまったこともありますが、どうすればいいのかわかりませんでした。そして1回そのニュースとなったエントリーと同じようなものを書いたりもしました。まあ当然二番煎じがウケるはずはなく。ただ、それがあったおかげでよく考えることが出来て、「まあそういうものだよね」と思うことが出来、そして今日のネタにもすることが出来ましたが。

この紹介されてアクセス数が増える現象自体は、ブログ以前からあるのですよね。古くは「ちゆショック」(2001年あたりで最高のアクセス数を誇ったテキストサイトちゆ12歳で紹介され、サーバが落ちるくらいにアクセスが殺到すること)なんてものもありましたね。わたしもサイト(ブログ以前にやっていたもの)設立当初は正直それにあこがれていました。ですが、実際になってみて、こういう気持も味わった、という話です。

まあこういったケースは、人間上に上がることは嬉しくても、下がることは嬉しくないという、当然の心理故のものですよね。そしてそれは読まれることを意識しているならば当然ブログでもあるのではないかと。

個人的に思うのは、アクセス数はわりと水モノだと思います。自分で書いた文章が他人にとって面白いか面白くないかっていうのは、自分では非常に分かりにくいものですから。実際、このブログで書いたものも、じっくり考えて書いて自分ではこれはいい! と思っても反応がいまいちだったり、逆に軽く指の動くまま思うまま書いてもアクセス数が多い場合もありますので。正直、運もかなりあるんじゃないかなあと思います。というか私も最初に運良くニュースサイトさんに発見していただいたおかげで、それなりに見てもらうきっかけになっているというのもあると思うので。だからきっと、見つけてないところですごく面白い文章を書いている人もいるんだろうなあと思います。


さて、このアクセスが急に増えるという現象においてなんだかネガティブなことばかり書いてきた感じがありますが、全部がそんなわけはないです。むしろ純粋に自分の書いたものが紹介してもらえば、多くの人は嬉しいと思います(でもmixiの祭りとかだと全く逆でしょうが)。それはアクセスが増えるという点以外に、自分のエントリーを読んでもらったんだ、というところで特に。その意味ではコメントやトラバでも同様です(というわけで、ここで多忙故にコメントレスしきれてないのをおわびいたします)。ただ、そのアクセス数を意識しすぎるようになってしまい、ウケ狙いの個性のない文章になってしまうのはまずいのではないかということですね。それはまるで、ギャンブルで大穴当てた人がまた大穴につぎ込んで破産するみたいな。
まあ、どっちにしても個人の気の持ちようが大切なのではないかと。でもアクセス数を増やそうと思ってそっちに特化して書くのも、それはそれでアリでしょうね。

まあいろいろ書いてきましたが、サイト運営の目的なんて人に迷惑をかけない限りは個人の自由だと思います。ただ、私のスタンスとしては、好き勝手にやっていきたいなあと思った今日この頃。こんなブログですが、読んでいただけるのでしたらよろしくお願いしますということで。