ここ2回ほど、ブログ互助会の性質やそれの持つ危険性ことについて書きました。
そして前回のラストで、「(少なくともそれに対する明確な知識のない者は)たとえメルマガ価格の少額(メルマガ価格)でも、その手の情報商材に手を出してはいけない」ということを書きました。これの理由はそこで書いたように、まずは少し手を出すと更なる効果を求めて高額な物に手を出すきっかけとなるというのがあります。
しかし、さらに言えばここにもうひとつ、それがたとえ無料と謳っていても警戒しなければいけない理由があります。それは「個人情報流出の危険性」
個人情報は高値で取引される
ここ最近個人情報が流出したからと企業がお詫びするケースが増えています。有名なところではベネッセの情報流出。
何故こういった個人情報が狙われるのか。その一番の理由はそれが高値で売れるからです。というのはそういった個人情報をまとめた名簿というものは活用したい人(組織)にとっては非常に重宝されるので、そういったものを扱う「名簿屋」と呼ばれるもの、もしくはそれを欲している組織に売却されるケースが非常に高いと言われています。そして、特定のカテゴリに属したもの、特に年齢や性別、また購入商品などからの趣味のまとまりは、特に高値がつくとも言われています。
そういったものがどういうところに活用されるのかというと、主には広告。そして広告でもその購買対象に届くのが一番よいわけで、ここで特定のカテゴリのものが高い理由があります。つまり化粧品など女性向けの商品ならそれを使う女性の集まっている名簿、健康食品や老人ホーム、お墓等なら高齢者、趣味の商品ならそのままそのカテゴリ、そして先述のベネッセのように子どもの名簿なら塾や教育産業という感じ。さらに子どもの場合その後の成長に合わせて年齢ごとのイベント(七五三や入学式卒業式、受験時など)においても流用出来るのでさらに価値が出ます。そういった意味から考えると、ベネッセの流出は長期間利用される可能性があるという意味で重大でしょう。
しかし、もうひとつそういった名簿が使われる局面があります。それが犯罪行為。とりわけ詐欺や悪徳商法において。具体例で言えば、現在社会問題になっている振り込め詐欺などは、高齢者の名簿のほうは都合がよいでしょうし、エステの悪徳セールスの場合は若い女性をターゲットにしたものになるという感じ。それにより不特定多数にかけるより、効率や費用面でそういった業者の特になるのです。
被害者名簿が利用される
しかしその犯罪行為に使われる名簿の中でも、とりわけ貴重とされているものがあります。それは「詐欺被害者の名簿」。
最近だと、安愚楽牧場における和牛商法とその破綻が問題になりましたが、それは副次的な問題も生み出しました。それは被害者の二次被害。
牧場の経営破綻後、「それを取り返せる」という電話が被害者にかかってくるという出来事がありましたが、それ自体も詐欺であったという事件がありました。これは安愚楽牧場の投資者、すなわち被害者の名簿が漏れていたといわれています。
以下参考。
この手の犯罪被害者に対しての名簿というものはこのような「損失金を取り返せる」などということでよく活用されると言います。しかし損失金などその事件がらみだけではありません。他の詐欺にもよく使われることがあるといいます。というのは詐欺被害に遭った人は、また別の詐欺被害に引っかかることが多いと言われているからです。それはもともとの性格もそうかもしれませんが、一度詐欺に引っかかったことにより、その損失を取り戻すために何かしなければいけないという意識が働くためというのも大きいでしょう。しかし結果としてまた引っかかり、「カモ」にされてしまうケースも多いのです。すなわちそういった名簿が「カモリスト」となってしまうと。
余談ですが、振り込め詐欺など詐欺被害に遭った人を周りが責め立てたりするのは最悪で、あくまで犯罪被害者としてその被害を癒やし、且つ周りがまた詐欺に巻き込まれないように見ていることが大切です。そもそも詐欺はそれに自分は絶対引っかからないと引っかかった人をバカにしている人のほうが、心理的に次の被害者になりやすいので。
情報商材を購入することで渡す個人情報
情報商材の購入の話に戻します。
さて、情報商材を購入する際、何かしらその連絡先を送ることになります。最低でもメールアドレス、もし入金が必要になると決済の都合から実名や口座、連絡先など。
つまるところ「情報商材が欲しいと思った人の個人情報を相手に渡す」ということになるのです。
もちろん購入情報というものはネットで取引する以上すべての商品の売買で渡さないといけないものです。そして漏れれば「購入商品」「趣味」という広告にうってつけのカテゴリが漏れてしまうことになるのでその保全には慎重を期す必要があるでしょう。
しかし残念ながら、そういった情報商材あたりの販売に対しての個人情報管理は、全体としてお世辞にも整っているとは言えないのが実情ではないでしょうか。少なくともユーザーに対してその信用性を裏付けるものの提供は非常に難しいです(これは大企業でさえそうなのですから況んやという感じで)。つまるところそれがどう利用されるのかというのが不明瞭なのです。
つまり、次々に似たような広告が送られてくる可能性があるというのがひとつ(まあこれは大手ショッピングモールでもよくあることですが)。そしてそれは悪意を持つところに渡れば、購入したところだけではなく、名簿でまとめられてあちこちから次々に送られてくる、ということも十分考えられます。むしろそれを狙って無料公開している例もないと言い切れません。
情報商材購入者というリスト
広告が次々送りつけられる可能性だけでも十分ウザイですけど、しかしこと儲け話の情報商材の場合、広告ウザイ以上の甚大な被害を被る危険性が考えられます。
前回書いたように、ブログの儲けというのは非常に不安定で、普通は損をしてゆくことのほうが多いでしょう。つまり前述の詐欺の被害者同様、利益を取り返すためにまた次の、そしてさらに高いものに手を出してしまう危険性があるのです。そうなると当然あちこちから狙われることになると。
ひとことで申しますと、購入して個人情報を渡すと「情報商材を購入するカモ」のリストに入ってしまう可能性があるということです。
Webサービスとの連携による個人情報公開
この手のものは直接住所氏名を直接登録するものはさすがに警戒心が働くかもしれません。しかし、最近はそういったものを入力しなくても「自分が儲け系の情報商材を欲している」と周知してしまうものがあります。
ひとつはブログ。今、ネットを見回すと、実名で「ブログで儲ける」的なものを公開している人がかなりいます。そういったものにつけ込みたい情報商材売りもしくは詐欺、悪徳業者であれば、そういったところを巡回して個人情報を取得するようなことをするのが効率的になるのではと。
そしてもうひとつは、Webサービスからの流出。
このところ、FacebookやnoteなどのWebサービスを使って有料のサロンや有料記事、有料メルマガなどを発行するケースが増えています。その中にはいわゆる「ネットで儲ける系」も数多く見られます。
しかしよく考えてみましょう。そういったサロンやnoteをフォローして、そういったものを購入するということは、「それを欲している」ということを不特定多数にアピールするわけです。誰にも閲覧出来る状態であるなら、それこそ世界中に。便利なことにフォロワーページで一覧にもなっていると。
非公開の場合も、多くの場合仲間内には個人情報が共有されるので、そういった個人情報を取るために潜入しているようなケースも絶対にないとは言い切れないでしょう。
さらにFacebookならその性質上実名ですし、そうでなくても関連づけられている情報から(たとえばTwitter連携していてそこに書かれている情報から)個人情報を割り出すことは不可能とは言えません。
故に、無料でも、そして自分で個人情報を渡していないつもりでも、そういったところから意思を推測されて、広告を送られてきたりその手の名簿に入ってしまう可能性はゼロとは言えないのです。
情報商材に限りませんが、Webサービス、ひいてはネットで公開することというのそういった危険性を持つもので、細心の注意を払う必要があるというのはもっと周知されるべきだと思われます。特に初心者にとっては。
まあ少なくとも興味本位でも試すならば、完全にどこにも関連づけられていない捨てアドでやることをオススメします。そしてFacebookなど個人情報と関連づけられているものの登録が必要な場合はそれ自体購入しない方が安全と思われます。
この手の歴史は繰り返す
ネットにおける儲け話の詐欺や悪徳商法というのは昔から存在します。
ネット史のみならず、歴史は繰り返す傾向にあります。そしてまた同じようにこういうことが起きる可能性は非常高いと思われます。実際問題詐欺事件というのは本当に類似パターンの繰り返しなので(ちなみに豊田商事の元社員が荷担しているケースも多いと聞く)。ということで今日は書きました。
ただ、実際に問題として大きくなるしたらまあ数年後なんでしょうねえ。これらのことが杞憂になればいいのですが、状況や今迄のパターンから楽観視は出来ないと思うので。