空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

スパムエントリーがはてブを利用するのはネットの歴史的には自然という話

このようなエントリーが。

ネット上の「オープンなエロ」が不快

たしかに最近のはてなブックマークトップページやホットエントリーのリストを見ていると、「此頃ハテブニハヤル物 スパム アダルト FX」とでも詠みたくなるくらい、やけにエロ系、それにFXなど儲け系がらみのエントリーが何故か上がっているのを見かけます。パターンとしては、タイトル、ブログネームに『FX』『アフィリエイト』『儲け』とあるもの(特にFXがブログタイトルになっている場合)や、見た目は2chまとめだが、明らかにエロ系(最近、昔だったらエロサイトだったものが2chまとめの形に変わってきてきている気がします)が多い感じですね。そういうのを見てみると、たいてい最初にディフォルトアイコンのあまり見たことのない人(調べてみるとブックマークがやけに片寄っていたり微妙に不自然な人)がコメントなしで3〜5くらいブックマークをしているのですよね。で、そこで止まっている場合も、つられて他の人もブックマークをしている場合もありますが、全体的にコメントが少ないブクマです。

さて、それについてこんなエントリーがありました。

スパム認定されない企業のスパムブクマのやり方

当然確認する術はないので、これが真実かどうかというのはわかりません。ただ、こうなってもおかしくないという土壌は、すでにはてなブックマークの中にあると思います。というのは、インターネットにおける歴史において、過去にも似たようなパターンがいくつも存在したため。
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かつてランキングサイトが歩んだ歴史

ブログが普及したのは2005年前後でしたが、その頃から人気のある記事やブログ本体を集計し、掲載するサイトというのは存在していました。具体的には人気ブログランキングFC2ブログランキングといったところ。これらはブログに設置しているバナーをクリックすることでポイントが加算され、ランキングが変動します。私がブログを始めた時、ブログ設立のためのエントリーとかも調べて読んだのですが、バナー設置とされていましたね。
しかし、現在のランキングを見てみると、かなり多くのカテゴリーで上位になっているのは、タイトルからもアフィリエイト系、FXなどの儲け系、それとアダルトが許されているところではアダルト系などになっていることが多いです。どうしてこうなったかというと、簡単に言えば儲けが絡むところが一番順位を上げることに熱心だから。
前述の通り、クリックすればポイントが上がるのですが、そのテのブログはしつこいくらいに「ここをクリック」というのを表示してきます。中には騙しクリックをさせるところもあります(もちろん規約違反ですが、全部確認する術はないので事実上そのままな感じ)。そしてその熱心な稼ぎ系のサイトが上位に来てしまったわけですね。ちなみに私も最初期につけていたのですが、なんだかつけていても無意味なような気がしたのでやめてしまいました(実際に1日2〜3HITしか来なかったし)。

更にブログが普及するより前の時代にも、「ReadMe!」などサイトの人気を計るところがありましたが、それらでもスパム的なサイトの順位が上がってくることがありました(カウントバナーの複数付けなど)。ただ、当時はアフィリエイトなどネットで設ける手段自体が少なかったのと、絶対数が少なかったので手動で跳ねることが出来たため、そこまで大きな問題にはならなかった気がします。

目立つ=売上げが伸びる可能性があるなら目立とうとするよね

ともあれ、そこに掲載されればアクセス数が見込まれるサイトというのは、アクセス数が集まればそれだけ儲けの可能性に繋がるサイトには魅力的なわけで、可能な限りそこに掲載されるようにする、というのは、運営者のとる手段としては自然でしょう(もちろん許容できるかどうかはまた別問題ですが)。

しかし何もこれはブログに限ったことではありません。たとえば何らかのユーザー投票サイトでも、そこが有名になり売上げに力を持つようになれば、ユーザー以外の人、すなわちその投票される人がユーザーを偽って工作行為を行なって何ら不思議ではありません。かつては飲食店評価サイトのぐるなびが有名になった時、飲食店自らが工作書き込みを行なっていたという例もあるそうです。
そしてネットだけでもありません。ネットが普及する前から、影響力のあるサイトの読者ランキングに組織票を送るようにするという行為は見受けられました(ファミ通あたりでもメーカーが呼びかけてファンクラブユーザーとかに投票させて問題になった例があったような)。つまり、それと同じ歴史をネットの集票サイトが辿り、そしてはてブもそこに到達していると思われます。


はてブの分かれ道

さて、ネットに話を戻して、それらのサイトがどうなるかというと、主に二つ。一つは、それまであったユーザーのできる事を何らかの形で制限して、そのようなスパム的なものを防ぐ。そしてもうひとつは、そういった儲け系の場となってしまい、同時に普通のユーザーがそれに失望して離れていってしまう(その時、何らかの受け皿となる新しいWebサービスが生まれたりする)。ぐるなびなどは前者で認証を厳しくしていましたし、ブログランキングサイトは全般的に儲け系御用達になってしまったような感じがします(そしてそのうちいくつかはサービスを終了。それが原因かどうかはわかりませんが)。


はてブも、ここの分岐点に到達しているのではないかと思われるのです。すなわち、今までより何かの制限を加えるか、それとも自由なまま成り行きに任せるか。しかしたとえスパムといえど自由度を制限することは、何らかの影響を与えてしまうわけです。そもそもスパムとそうじゃないものの基準は人によって違うわけですしね。だから、そのバランスが難しいところでしょう。まあ最善のただ一つの方法なんてあるわけないと思いますので、いくつかの試行錯誤を繰り返し、バランスを取るしかないのかなと思います。まあこれははてな本体の判断を待つしかないかなと。

ま、本来、得たい情報なんて個人個人で違うはずなので、はてブのホットエントリーに表示されるものに頼り切らず、情報を取捨選択する癖を身につけておいたほうがいいのかもしれません。