空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

今審議されている法案と成立した法律を解説するサイトがあると面白いと思った話

こんなニュースがありました。

■asahi.com(朝日新聞社):「新法知らない」9割 住宅業者倒産しても補修費 ※リンク切れ

ここでは10月に施行となる「住宅瑕疵(かし)担保履行法」について、9割の人が「知らない」と回答したと書いてあります。この法律の制定された経緯、及び中身は、

新築住宅の建設業者や売り主は、建物の主要構造部などの欠陥について補修や賠償の責任を10年間負う。だが、耐震偽装事件の際に住宅販売業者が倒産してしまい、購入者が被害を被る事態が起きたため、倒産しても一定の補修費が渡るよう、事業者側にあらかじめ保険への加入や保証金の供託を義務づける同法が制定された。10月1日以降に引き渡しとなる住宅が対象。

とのこと。しかし前述のように殆ど知られていないということです。

これによる問題点は、「事業者が保険や供託の義務を怠っているのに購入者が気付かなかったり、倒産した場合に受け取れる補修費に気付かなかったりする」点だということ。まあ知らないといっても、施行まで10ヶ月ある時点できちんと周知不足を調査して、対策を練ろうとしているならそれはよいのではないかと思います。この調査結果も発表したことで、私が知ることが出来たわけですし。

しかし「法の周知不足による問題」というのは、近年かなり目立っている気がします。たとえばPSE法。これは電気機器に数年間の猶予期間をおいて適用されるはずだったのですが、その猶予期間終了直前で「中古の機器についての取り扱いはどうなる」ということが言われ始め、その結果法を解釈すると中古販売が事実上非常に困難になってしまう(いちいち検査をしなければいけない)ので、リサイクルショップなどはやっていけなくなるし、ビンテージ機器は市場からなくなってしまう可能性があるということでネット上から大騒ぎとなり、坂本龍一氏も反対の意向を示すまでとなりました。

電気用品安全法 - Wikipedia
PSE法問題はそれからどうなったのか : Timesteps

このように、成立前、もしくは施行前に適用者(国民)への周知が出来ていなかったために、その問題点が成立直前や施行直前に急に表立ってきて騒ぎになり、混乱することがあります。最近では「国籍法」なんてのがありましたが、あれもネットで調べるとマイナス面の可能性が書いてある反面、それに対しての反論もありましたが、私の場合はあの短時間(1週間ぐらい)でどこまでが正しいのか把握するのには時間が足りなさすぎた気がします。他の人でもそう思った人はいるでしょうが、成立するところまで直前に迫っていたため、成立して問題がそのまま浮き出るより、それについてよく考える時間を得るために反対していた人というのもいるかもと思ったりします。


何故、このようなことが起こるのか。「問題のあり得る法律が成立しようとしているのを、法の制定側が隠している」という悪意的な見解も出来るでしょうが、それを排除して*1善意的に解釈して考えられることは「その法律の周知(広報)が足りない」ということ。つまり、その法律が成立する過程でどのような法律であるかを法の適用者である人に知らせないために、そこからの疑問を成立前に収集できず、成立直前になって、また施行直前に混乱するという感じ。すでに施行されている法律はかなり調べることが容易になりますが、その審議と施行までが重要なのにもかかわらず実際的な周知の穴になっているという感じ。

こういった法律の制定を伝える役目を果たすといえば報道の役目なのですが、この手の法案のニュースというのは、普通のニュース番組ではよほど大きなものしか採りあげられません。ここでもあえて意図的にニュースを選択している可能性以外に考えられるのは、あまりにもその法案の数が多いため、全部を採りあげている時間やスペースがないことかなと。何せ国会の審議中には1日で5件や6件の法律が制定、改正されることもよくありますから。私の知る範囲では、NHKの7時のニュースで「今日成立した法案」を一覧で表示して紹介するくらいですね。その結果、よほど興味のある人じゃなければその法律がどういうものかがわからないと。しかも法の適用者であるにもかかわらず。

これは法律の適用者だけではなく、法律の制定側も悪意でやっているのではない限りは損をすることになります。それで問題点が起きたら、当然その法案を作成し、法を制定した側のミスとなるわけですから。


じゃあ、どのようは法律が今制定されようとしているかとか、最近成立した法律は何かというのを調べるのには一応手段があります。それは各議院のホームページで調べること。

衆議院
参議院

ここには、今審議されているものが掲載され、且つ過去の法案の経過も載っています。

しかしながら、それがどのような法案か、そしてどのような適用を受けるかの解説、そしてどのような問題点、もしくはその対策があるかというのは書いていないのですよね。まあ公的なものなので当然といえば当然ですが。ですがそうなると、それらがわかるところというのはないのですよね。一部の法案は個別に解説してくれる報道機関や個人がいますが、マイナーなものだとそれがないと。だけど、上のように騒ぎになるのっていうのは、そういう注目度の低い法案だったりするのですよね。

そこで、「今審議されている法案と、最近成立した法律を解説するサイト」があると便利だなあと思ったわけです。あくまでどっちかに寄っているというのではなく、なるべく中立的見解でその法律を解説しているサイトがあると、周知も出来るし考えることも出来ると。で、それについての賛成と反対のリンクは両方つけることが出来るとか。

で、何をいわんやとすると、こういうのがまとまったサイト、誰か作らない? って感じです。まあ一人でやるのはプロでも無理でしょうし、偏る可能性があるので、Wikiとかだと便利かもしれない(もし既存ので似たようなのがあれば教えてください)。


つか、法律ってのはそれを考えたり使用するのはプロの場合が多いですが、適用は一般市民も受けるのですから、もうちょっとそれを周知する体制があってもいいのかなと。せっかくネットという便利な道具があるのですし。まあ、最終的には個人的感心がなければどうにもならないとは思いますが。

*1:その可能性が全くないというのではなく、その見解を入れると話が進まなくなるので今日は保留という意味で。