先日、『2ちゃんねるの海外企業譲渡のメリットは何か。そして何が変わるのか』のエントリーで、2ちゃんねるが海外に譲渡されたことについて書きましたが、どうやら現状わかっている範囲ではひろゆき氏が2ちゃんねるから手を引くわけではなさそうです。しかしながらこのニュースの第一報を聞いた時、ひろゆき氏が2ちゃんねるを譲渡して、自分は手を引くということに対して驚きはしたものの、その理由もいくつか思い浮かび、ある程度納得してしまいました。で、それは(現時点でわかっている範囲では)外れたと言えるわけですが、これから先ももしかしたらつきまとう問題かもしれないと思うので、ちょっと書いておこうと思います。
さて、何故2ちゃんねるからひろゆき氏が手を引いてもおかしくないと思ったのか。一部では裁判関係のことなどが言われていたような気がしますが、それだけなら今までと大差ないはずです。ただ、これも含めてもうちょっと広い範囲で見て見ると、納得できるだけの理由はありました。それは一頃で言うと「ひろゆき氏が2ちゃんねるに飽きた」から。これは書き込みに失望したとかいう意味ではありません。純粋に2ちゃんねる、というかスレッドフロー型掲示板を運営するということについて飽きたのではないかと思ったのです。
2ちゃんねるが出来てからもうすぐ10年が経とうとしています。たしかに2ちゃんねるは日本で有数の人が集まるサイトとなりました。しかしこの先を考えると現状以上に伸びる可能性はない……とは言いませんが、2000年代前半のように、急上昇する可能性はないと思うのですよね。記者制度、ポイント制度などはあとから付け加えられてそれなりの面白さを出すことに成功しましたが、それからは板の数が増えるといったマイナーチェンジだけで、大きな変化はここ数年起こっていないとも言えます。よく言えばコミュニティサイトとして安定した時代に入ったと言えるのですが、特に大きく新しいことをする余地のない状態になっているのかもしれません。
もちろんこれだけの人が集まっているものなのですから、何かをしようと思えばまだ何か出来る余地はあると思います。でも、それなら2ちゃんねる、すなわちスレッドフロー型掲示板ではなく、資金、技術、アイディアがある限りニコニコ動画のようにほかで始めた方がおもしろいものが作れるのではないかと。しかもひろゆき氏が「新しく○○始めるんで」と言えば、ある程度注目を集めて人を移すことは可能と思われます。そうなると安定してしまったところより新しいことをやってみたいと思っても不思議ではありません。
そして、人間である以上何かをする時間には限界があります。そして2ちゃんねるを運営することが(裁判なども含めて)その時間的足かせになっていると認識した場合、どういう行動に出るでしょうか。もしそれが生活の糧だった場合は多少おもしろくなくても続ける必要はあるでしょうが、ある程度それ以外で収入が保証されている場合、あっさり切り捨ててほかのことをするでしょう。その結果、続けるよりも今売ってしまった方がよいと考えても不思議ではありません。
つまりは今までいくつものホームページやブログが閉鎖してきたのと殆ど同じ理由ではないかと。そのホームページやブログ以外に仕事や家庭やその他娯楽、もしくは他のホームページの運営などで閉鎖されたサイトはたくさんあります。それが今回の場合、規模がとてつもなく大きい2ちゃんねるだったというだけで。先日、megaBBSが閉鎖しましたが、あれの弐編氏のコメントでも、意欲の減退と時間のなさが閉鎖の理由として挙げられていましたし。
しかし2ちゃんねるを必要としている人はいるし、閉鎖すれば混乱も起きる可能性がある。ということで自分がその手を離れても2ちゃんが続くように、他の会社に譲渡した、という可能性を考えていたのですよね。まあ個人の意思は本人以外わかりませんが、こうやって書くと説得力がないわけではないかなと。
しかし考えてみると、ネット上で形式としてはほぼ最初と変わらない形で9年も続いているサイトってのは、かなりすごいような気がします(もちろん内部的にはいろいろ変わっているでしょうが)。2ちゃんねるはこのまま進むのか、それともどこかで大きな転換点がまたあるのか、注目すると面白いかもしれません。
ちなみにもし今後2ちゃんねるが衰退するとしたら、個人的に一番可能性があるのは『オオカミ少年の法則』だと思います。