空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

アクセス数が増えたことで失ったもの、そして得たもの

このようなエントリーが。

アクセス数50くらいの時期が一番楽しいんじゃないかな。 - おちもなにもないただのにっき。

これに対して、ふたつの思いが頭の中をよぎりました。「うん、その通りだ」という思いと「いや、それは単純に『昔は良かった』という心理と似たようなものではないか」というもの。


おかげさまで、このサイトもアクセス数がかなり増えました(上を見ればきりがなさすぎますが)。たしかに、最初のアクセス数が低い頃と何か変化がなかったかというと、そういうわけではないと思います。では、どんなところが変わったのかを考えてみました。

昔は比較的、今よりも自由に書いていました。おそらく1000人のうち1人しかウケないようなネタとかも。実際ここの前身の『空気を読まないブログ』は、そういったものを防備録がわりに書いておくためと、文章のトレーニング用に作った感じでした。しかしはてなに移転しヒット数が多くなってくると、同じ事を書いているつもりでもやや制約を受けてくるのがわかりました。たとえば、昔ならばここでいきなりSSを書き出したり、個人的な日記を書いた可能性もかなりあります。しかし最近は「それをやっても誰も喜ばんだろ」と、脳内却下してしまうのですよね。あと、いくつかのストックの中からこのネタはウケるんじゃないかなあと推測しながら書くということは出てきました。つまり「見られることを意識」しだしたわけですね(とはいっても必ずしもウケると思ったネタがウケるとは限らず、その逆もかなりありますが)。

たしかに平凡な一市民の日記を見たところで、有名人、もしくは知人向けなら全然構わないのですが、不特定多数に向けようとしたらよほどのネタ人間じゃないと、他人は面白いと思ってくれないでしょうね(すごくどうでもいい余談ですが『闇金ウシジマくん』に出てくるニートの「鬱日記」ってブログ、どのくらいアクセスがあったか知りたい)。なら、大勢に向かって書いているのだったら、それを意識して書くのは悪いことだとは思いません。ただ、その反面、完全に書きたいことというのからは制約を受けているのは否定できません。そう考えるとその制約意識が薄い50ヒットあたりというのが面白いというのは納得できます。

ただ、それではヒット数がそれ以上になったら、ブログは面白くなくなってゆくのかと考えると、NOだと思います。それはヒット数が多くなったことで手に入れたものもあるから。もちろん単純に読者が増えれば嬉しいというのもあります。しかしそういった数値面以外でも、いろいろと得たものがあるのではないかと。例えば、あるエントリーを書いた時に、関連の情報や反論がコメントなりはてブで書かれることがありますが、これは昔ではなしえなかった「新たな視点を得るチャンス」や「間違いを修正できる機会」を手に入れたのではないかとも言えるわけです。もちろんうちのブログに限らず、そういったものの中には気分を害するだけで何の益も生み出さないものもありますが(つまり荒らし)、ネガティブなように見えるコメントも全部ひとくくりにせず、得るものもあるのではないかと。もしくは自分の意図とは全く違う方向で捉えられた際に、そのコメント主、もしくは口を出していないけどそういう意識を持った人に対して誤解を解くチャンスも出来ます。自分がコメント欄を現時点で開けているのは、そこにデメリットよりメリットのほうを見いだしているというのがあります(状況によって変化するでしょうが、少なくとも現時点では)。あと、自分のエントリーをもとにして何か書いてくれたということがあると、非常に嬉しいです。そこから考えが広がったということでもありますから。つまりは、「話題の広がり」は必ずしもコミュニケーションを求める人ではなくても否定的要素ばかりではないと。

あと、こういったエントリーを書けるネタを手に入れられたというのがあるかも。

ただ、ブログに何を求めるのかというのは人によって違うでしょうし、置かれている状況だって違いますから、HIT数が多くなって楽しくなくなったという人がいればそれは正解でしょう。ただ、自分の場合は、楽しいから書いているのであって。でもうちの場合はもともと「空気を読まない」をタイトルにしているように、好き勝手なスタンスで書ける環境だったからかもしれません。ただ、正直最近はあまりアクセス数で一喜一憂しなくなったというのはあります(それでもいきなり万単位になると驚きますが)。なんというか、ここ半年くらい書くことが当たり前で書いていたけど、結局アクセス数はいろいろな要素で大きく変動する水ものだってことを知ってしまったかもしれません。もともと商売を目的としてやっているわけではないので、アクセス数は結果でしかないのかなと。

ま、書いている本人に変化はないのですし、気楽にやればいいのかなと。とはいえ、完全にそう出来れば苦労はしないのでしょうが。


ちなみに、このアクセス数が増えてきたことで失ったものの取り返し方は非常に簡単です。それはブログを新しく作ればいい。それは今までの名前を使ってやや引き継いでも、全くの無名から始めてもかまいません。だけどそこには、自分が今までブログをやってきたノウハウがあるので、以前と比べてどう変わっているかというのを比較しているのも手かもしれないでしょう(もちろん日記とかだけでもかまわないとは思います)。