空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

アメブロのコメント&ペタ推奨は、企業戦略故のものではないかと思った話

先日書かれたアメブロの広報さんのエントリーが、ちょっと話題になっています。

2人に1人はAmeba(アメブロ)?!

さて、これに関しては、はてブやらあちこちのサイトさんなどでいろいろツッコまれています。ひとつは、「2人に1人」というのが数字のマジックだという点。そしてもう一つは以下の点。

当社でお勧めしているブログアクセス数UPのポイントとしては、3つ

・ 積極的に色々な人のブログの読者になる。
・見たブログにはコメントをつける。
・ ペタをつける。

基本的にブログのマナーとして、
読者になってもらったら、自分も読者になったり、
コメントをもらったら、「コメント返し」を、
「ペタ」をつけてもらったら「ペタ返し」をしに行くというマナーがあります

 ※引用部分に機種依存文字があったので、ちょっと手を加えさせてもらいました。

つまり、コメント返し、ペタ返しをマナーとして、ブログとして半ば強制している点。

さて、何でこんなことが書かれたのかというのは、ちょっとだけ気になっていましたが、おそらく広報の人があまり考えずに、自分の周辺のことをもとに書いたのだろう、と思っていました。しかし、ふとはてブを眺めていたら以下のエントリーを見つけて、これはもっと深い、アメブロとしての戦略が含まれているのではないか、と思うようになりました。

アメブロの戦略が成功しているのでサイバーエージェントさんが最近注目です

ここでは、あまりブログやネットに詳しくない、一般人の女性の視点からブログを見た時に、「芸能人が書いているから」という理由でアメブロを知っているということが書いてあります。となると、最近のアメブロの主な狙いはこれではないでしょうか。ブログサービスは企業である以上、営利を目的としています。故に、現在のビジネスモデルでは課金はほとんどないため、出来るだけ人を集めて、そこの人及び閲覧者に対しての広告によって収入を得る、というのがスタンダードではないかと。しかし、すでにブログブームというものは終わり、伸びも一昔前ほどは期待できません。故にトップを走っているFC2ブログやライブドアブログには総合ヒット数的にはかなわないこととなります(とはいえこのへんで調べると、たしかにアクティブ数の伸びはありますので、数的に勝とうとしている可能性もあるでしょうが)。なら、そこでどうするか。それは使う人及び見る人をある層に集中させ、その層にアピールできるようにすればいいのではないかと。そしてそれのターゲットが若い女性。しかしこの若い女性というのは、広告業界的にはF1層(20〜34歳の女性)と言われ、昔から広告(購買)ターゲットとして一番美味しい対象と言われているようです。となると、広告代理店でもあるアメブロの運営元、サイバーエージェントがこれを掴むことに集中しているために、芸能人などを使って一般人のF1層への集中アピールを行っているとは考えられないでしょうか。

さて、これはおそらく最近のアメブロにおける芸能人ブログ集中から、予想していた方もいらっしゃるでしょう。では何故、最初の広報のエントリーにおけるコメントやペタ返しマナーにつながるのか。あくまで私の個人的な考えですが、以下のような理由を考えてみました。

芸能人ブログというのは、おそらく3〜5年ベースで考えた場合、ずっとアクセスを持ち続けるとは限りません。実際、アメブロで書いている芸能人でも、なんだかちょっと前に名前出てたけど、最近は見ないなあという人も散見されましたし(ただ、多くの場合カウンタがないので、ヒット数は不明ですが)。余談ですが、Webスカウターでアメブロ上位の芸能人(上地雄輔氏とか)のカウンタ値を調べても、意外と高くはない、そして数値の元になっているRSSも、はてなを見なれている私からとってみれば、そんなに高いわけじゃない。つまりRSSって、ライトユーザーにはやはりあまり使われていないんだなあというのを感じました。

話を戻して、昨今の状況だと芸能人で惹き続けるのには限界があるでしょう。それに、もしこれが金になるとわかれば、芸能プロが独自にサーバを立ててブログを使い、広告収入を得る方向に動き出す可能性もあるわけですから。というか、実際始まってますね。

吉本興業がブログサービス「ラフブロ」開始。約500名の芸能人が参加

だから、飽きられるまでにアメブロとしては、なんとしても女性をつなぎ止めておく必要があります。つまりその手段が、上記のコメント、ペタといった、ソーシャルネットサービス化ではないでしょうか。

つまり、ブログに飽きても、人とのつながりをそこに持ち続けさせることで、それをやめにくくするという、mixiが多くの人にとって長続きしている要因のひとつと思われるものを、ブログに持ち込もうとしているのではないかと。そうすればアメブロは、形を変えたmixiとして、長い間存続し続けることが出来ると考えられていても不思議ではないでしょう。

とはいえ、このブログのSNS化、ほかのところでも推進されているのではないかと思います。たとえばFC2では、数ヶ月前にブロとも申請フォームというのがディフォルトでプラグインに入るようになっていますし。まあ、サーバ代がかさむレンタルブログサービスとしては、mixiの成功を見ているとそうなるのも不思議ではないでしょうね。


さて、そうなると気になってくるのはこのはてなですが、これ、ある意味においてすでに一部においてはSNS化(こう呼ぶのがふさわしいかはともかくとして)に成功しているような感じもします。だって、ひとつのIDでいろいろなものにつながっていますし、ある意味いろいろなSNSよりそれらしい面もあるし。まあ主な購読層は、F1層ではなくM1〜M2という感じがしますが。

ともあれ、ブログサービスというのも、ただ場を与えて広告を表示させるという単純なものではなくなってきているのかな、というのを感じます。これから先、それぞれのブログサービスがどのような特色を打ち出してゆくのか、興味深いです。