空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

高齢者こそパソコンを必修にした方がよいのではないかと思う話

今日は比較的真面目な話。

私には介護の必要な身内がいるのですが、頭の働きははっきりしているのでそのへんの苦労はせずにすんでいます。そして、パソコンをやっていたために、メールもなんとか打てるので、うまく字が書けない今となっても、手紙のやりとりは(時間はかかるにしても)出来ているという感じです。

さて、そうなってから介護用品についてもいろいろ調べてみたのですが、極論、この分野ではいろいろな研究が進んでいて、稼働可能な部分のみでパソコンが操作できるなんてものも存在するのですよね。極論、眼球が動けばOKとか。

■参考:日立ケーイーシステムズ【伝の心】概要

そういえば最近も、瞬きのみでパソコンが操作できるもので、本を書き上げたって人がどこかで紹介されていましたね。


さて、今は小学校でもパソコンが必修化されているといいます。たしかに若年層からパソコンの操作に触れておくのは悪いことではありません。しかしながら、本当にパソコンの操作が必要なのは、実はパソコンに全く触れることの出来ていない高齢者ではないかと最近思うのです。

数年前、パソコンを高齢者に売り込むということが、各パソコンメーカーからなされました。しかしながら、売ったらそれまでで、家では大きな箱と化している世帯も数多くあるようです(そういう過程のOSって、今でも98SEとなかのかなあ……)。よく聞く話だと、認知症の防止のために買ったけど、いざとなると何に使ったらいいかわからずにそのまま起きっぱなしになったとか。ちなみにそういう人に教えるボランティアをしている人に聞いたら、本当にマウス移動を上下にしろと言ったら、縦に持ち上げた人がいるとのこと(『あずまんが大王』のちよちゃんと同じ)。でも、今なら何に使えるか、というのが説得できると思います。それは「介護」のため。

現在、ニュースでは毎日のように、要介護人口の増加と介護福祉士の不足などのニュースが流れています。しかし、激務薄給で人が集まるはずもなく、問題解決にはほど遠いのも確かです。結果、自宅療養の介護者は満足な介護を受けられない現状も存在します。でも、これ以上仕事を増やそうものなら、介護事業者がパンクするというのが現状。実際、最近では人手不足と費用不足による倒産も相次いでいるようです。

しかしそこで、その要介護者がパソコンを使えれば、まずは喋れなくても意思疎通が出来るようになりますし、メールも送れます。さらに、我々がネットでしているように、数々の娯楽も楽しめます。そして各介護事業者と連絡が取れるシステムが構築できれば、かなり人手が軽減できるように感じます。たとえば連絡もWebカムとメールを駆使すれば、毎日やりとりが出来ます。緊急時の連絡も同様。また、欲しいものの発注や、めんどくさい行政への申請もこれを通して出来るようになる可能性があります。当然、介護している家族が代わりに使ってもOKですし。そして、介護者も肉体労働者だけではなく、デスクワークのオペレーターでも介護の仕事が出来るのです。

ついでに言えば、最近IT革命の頃からだいぶ落ち込んでいると言われている、IT、そしてパソコンハード、ソフト関係の産業にも活気が出てくることでしょう。何せ、これから高齢者は増える上、必要産業となるのですから。

これのシステム自体は前から言われていますし、システム自体はおそらくはどこかのベンダーがすでに着手していると思うのですが(というか、考えてなかったらいろんな意味でまずいだろ)、使う人が使えないと意味はないですよね。故に、高齢者にはそれを使う体制を整えるため、パソコン講習を必修化したほうがよいのではとか思うのですよね。ちなみに今でも、わざわざ金を払わなくても、自治体などで無料、もしくは低価格で教えてくれるところはあります(公報とかに載っている)。

少なくとも認知症など、脳の働きではなく、頭がはっきりしていて体のどこかが動くならば、これで解決、とはいかずとも、軽減できる問題はいくらでもあると思うのですよね。ただ、これにより高齢者対策費を削るのではなく、あくまで不足を補う形にしないと(つまり、訪問介護の回数などはそのままに、緊急時用の連絡をネットで出来るようにするとかで、現状を落としてはいけない)、ただのオートメーション化になりそうですが。


でも、自宅では寝たきりでも、2ちゃんでAA作ったりブログで激論交わしたり、ネットゲーしたりしている人が大勢出てくる未来は、現代の認識からすれば滑稽に思われるかもしれませんが、今までの寝たきりのイメージと比べてそんな悪いものではないような気がします。