『スレイヤーズ』というライトノベル小説があるのをご存じの方は、それなりにいらっしゃると思います。何せ、まだライトノベルというものが認知されて間もない時期の作品であるにもかかわらず、相当の人気が出て、且つ何度もテレビアニメ化&アニメ映画化されてますし。おそらく、ライトノベルの歴史の中で一番売れた本であり*1、『ロードス島戦記』*2と並んで、今でも大きな存在感を示しています。そして本編が終わっても、外伝であるはずのシリーズが今でも続いており、最近、数年ぶりにまたアニメ化されたようです。
さて、この作品の主人公であるリナ=インバース。小説を読んでいた方、アニメを見ていた方ならご存じだと思いますが、胸がないのを気にしているという設定で、よくそれを言われては、言った男に何十倍ものしかえし(超呪文の竜破斬などで)をすると言うのがひとつのパターンになっていました。しかし、当時から言われていたことがひとつありました。それが以下のこれ。
■ところでスレイヤーズRのリナ=インバースの胸を見てくれ、こいつをどう思う?
はい、このようにイラストを見た限り、別に小さくはないのですよね。現代におけるさまざまな作品と比べると、大きいとさえ思えてきます。当時はネットがまだ普及してませんでしたが、これについては投稿雑誌などいろいろなところで言われていました。しかし、これには理由があるのですよね。
上の写真は、当時富士見書房から出た、マンガ版『スレイヤーズ』の特集増刊である『まるごとスレイヤーズ』。裏表紙の広告が、『スレイヤーズ』第一作目のアニメ告知ですからおそらくテレビアニメ直前の、相当古いものになります。ちなみにコミックドラゴンに掲載されていたマンガ版には、『ロストユニバース』キャラデザの義仲翔子先生版があるのですが、こちらは同作品のキャラデザ担当のあらいずみるい先生が担当されたものです。
で、コミックはやや原作よりラブコメ&お色気要素が多くなっていたりします(もっともこのあとのアニメではこの路線が強くなりますが)。
ここでスペシャル対談として、原作者の神坂一先生とあらいずみるい先生の対談があるのですが、ここで、神坂先生が、イラストを見たときの第一印象として、「リナの胸なんでこんなにあるんだ? っていうのがありました(爆笑)」と書かれています。それに対してのあらいずみ先生の返答をまとめるとこんな感じ。
・最初に『ドラゴンマガジン』に掲載された『白魔術都市の王子』を読んだ。そしてそこだけのキャライラストだと思ってリナを描いた(おそらくここでは、「リナが貧乳」という設定は書かれていなかった)。
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・しかし、そのあと文庫本編の話が来た。しかしそれを読んでみると、胸ないわズボンはいてるわで違うぞおー、ってことになった。
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・そこで当時の担当に相談したら、「いや、今時はこれくらいがペチャパイなんだよ」と返された。
ついでにそこで、『少年マガジン』の『彼女はデリケート』を持ち出される(これは当時マガジンに連載されていた漫画で、ラブコメ路線の走りみたいな作品でしたが、やけに登場人物の胸がみんな大きい)。それで「あれはあれでペチャパイということになっているんだ。だからリナはこれで十分ペチャパイだ!」と説得された。故にそのまま行くことになった。
という感じみたいです。ちなみに『彼女はデリケート』とは、古いので画像がありませんでした。カジワラタケシ氏は、現在にしまきとおる名義で成年誌などで活動されているとのこと(代表作『BLUE EYES』)。
リナ=インバース - Wikipediaには、これの理由として「担当の趣味」と書いてありましたが、ここから来ているのではないかと。ついでにそのあとでナーガの胸が滅茶苦茶大きいのは、そこからのインフレかと。
そういう事情があったみたいで、あの世界ではあのサイズで貧乳ということになっているらしいです。
今回、またアニメ化されてもおそらくはあれで貧乳ということにされるでしょう。じゃないと、強烈な個性のひとつがなくなるため。