こんなスレがありました。
なんか本当に、『デスノート』の世界で行われそうな論議ですな。
さて、このスレを見ていて、『デスノート』の世界である一つの疑問が浮かんできました。それは「何故、国家権力など、キラを反対する勢力は、彼を悪人に仕立て上げなかったのか」ということ。
最近のチベット情勢ではいろいろな情報が錯綜していますが、ここに限らず近年の争いごとでは、情報を使って相手をどう『悪』と多くの人に認識させようとするかが重大な点となっているように思えます(それこそベトナムや湾岸戦争とかも)。そうしないと、直接的にせよ間接的にせよ、敵が増えることとなりますから。しかし、『デスノート』の世界では、偶発的に生じたキラ賛成派、反対派は見受けられても、意図的にキラを悪人に仕立て上げようとする動きというのはあまり見られません。
さて、キラを意図的に悪人にするための動きとはどんなものか。キラが支持を得たのは、犯罪者を罰していたためです。しかし、それは大量殺人でもあります(実際、Lやキラ反対派は、『理由があっても結局は殺人者』として認識していましたね)。ただ、その対象が「悪人」であるために、支持を受けていた、という点があります。逆に言えば、その理由を取りさってしまえば、多くの人にとって悪人となるわけです。
その方法は簡単で、「キラが悪人以外にも大量殺人をしている」という情報を流すだけ。つまり悪を裁くものではなく、単なる大量殺人者で、ことによれば(罪を犯さずに生きている)自分も殺される可能性がある、と多くの人に認識させること。*1そうすれば、恐怖政治にも近いものとなり、内面的な支持者はかなり減るでしょう*2。余談ですが、魅上の殺しすぎ(直接的な犯罪行為をしていない、人を救う力があってもそれを生かそうとしない者とかまで、デスノートに書こうとしていた)をライトが懸念していたのは、上のことを危惧していたという可能性もあります。
国家単位でそういう情報操作をやれば、キラ支持の動きはかなり食い止められたと思うのですが、何故、本編ではあれほどまでに支持者が増え、場合によっては国家も容認するようになってしまったのでしょう。いくつか考えられる理由があります。
★そういう動きはあったけど、工作に失敗した
そういうことをしたけど時、すでに遅し。もうそういった工作でも『それは反キラ勢力の企みだ!』と主張する層がかなりの勢力になってしまっていたということ。
★それによる報復を恐れた
その操作をすることにより、キラに『悪』と認識され、殺されるのを恐れた故に出来なかったという可能性もあります。ただ、Lが「顔と名前をわかっていなければ殺せない」と知った時点からなら、それを国家や情報機関に依頼して出来たかもしれないですけど。もっともLはキラを捕まえることが重要であり、それが世界の人にどう思われようかは二の次だったのかも。
★為政者にも心情的支持をしていたものが多かった&その裏切りを恐れて
為政を構成するのも人間です。となると、キラの悪を裁くという行動に共感していた例も多かったのかも。そうなると、悪に仕立てる工作も、内部からの暴露で防がれてしまう恐れがあります。そしてあとに残るのは、そう言った工作をしたことにより自分の方が『悪』と見られ、キラがよりいっそう神と見られるという流れでしょう。それを恐れてしなかったのかもしれません。もしくは、本当に神の仕業だと思っている国家もあったかも。
こう考えると、あそこまでのキラ崇拝が広まったのは、国家や警察の初動ミスだったと言えるかもしれません。
ま、仮にキラを悪に仕立て上げる情報戦略が立てられたとしても、その時はキラもプロパガンダをする手段を考えていたとは思います(ある程度、キラの存在が認知されたというのが前提ですが)。そういったあの世界の中での情報戦も、見たかったなと思います。