部屋の奥からこんなのが出てきました。
これはなんぞや、とお思いの方もいるでしょう。というかほとんどの方はそうでしょう(ぐぐってもこれに触れていたのは総務省のページだけでした。しかも1行)。これは私が昔おそらく国勢調査の時期にもらったパンフレットで、題の通り「統計」について描かれています。つまり、国勢調査のアピールパンフレットみたいなものなのです。
監修元は総務庁(現在の総務省)統計局・統計センター、つまりは国勢調査を統轄するところですね。文中の漢字にはすべてルビがふってあることからも、子供向け、それも小学生向けだということがわかります。
さて、表紙の写真や上の写真を見て気づいた方も多いとは思いますが、絵柄が微妙に藤子・F・不二雄先生の絵とは違いますね。実はこれ、別の作家の方なのです。とはいえ、コロコロコミックで連載されていた『ドラえもんの発明教室』で有名なしのだひでお氏の作で、原案は藤子不二雄(AやFの表記がない時代)になっているので、パチモノとは言えないでしょう。実際、当時読んだときにはコロコロコミックを現役で読んでいたこともあって、特に違和感なく読めました。
内容ですが、国勢調査のメインとなる「統計」の重要性について語ったものが主体です。はじめはのび太がご飯を残しているのを、ママが咎めて、「これらは外国から輸入したもので、これらがなくなったらどうなると思う?」というのを説明するために、食糧自給率のグラフを持ち出すという、いかにも学習マンガ。ちなみに出てくる道具は、もしもボックス(輸入のない食卓を見るため)、タイムマシン(人口比を見るために過去の世界に)、催眠グラス(これをかけて、日本を飛行機の運航に例え、統計はそれらの様子を見るメーターだと説明)です。まあ学習マンガらしく多少強引な展開もありますが、基本的には子供が知識をつけるためにはまあ適当なものだと思えます。
最近でこそわりと見るようになった公的機関とマンガとのコラボですが、これは昭和50年代。この時代からあったのかとちょっと感心しました。
でも、藤子不二雄以外の人が藤子マンガを描くことってのは昔のコロコロではよくありましたが、なんだか作品に対しての愛があるように感じます。それは方倉陽二氏の『ドラえもん百科』にも言えることですが。きっとこれから先も藤子不二雄だけではなく、先人のマンガをほかの人が描くことがあるのでしょうが、コンテンツがもともと持っている力に頼るのではなく、愛を持って描いて欲しいなと一読者としてはちょっと思ったりします。