風呂に入りながらこんなことを考えました。
むかしむかしあるところになんでも願い事をひとつだけかなえてくれるという魔法のランプがありました。しかしそのランプは海の底に沈んでいたため、数百年の間願いをかなえてもらおうとするものもなく、魔法のランプから出てくる魔神は別世界でのんびりと待っていました。
そしてある時、数百年ぶりに魔神は呼び出されます。呼び出したのはあるトレジャーハンター。そして魔神は何百年ぶりかに
「さあ、お前の願いを一つだけ叶えてやろう」
とその男の前で言いました。しかし、このトレジャーハンター、これのために莫大な資産や時間を投入してこれを発見したのです。それは願い事がいくつも叶うのがこのランプだと聞いていたから。ですので願い事が一つだけなんてわけにはいきません。だからもう一度質問します。
「ひとつだけ……なんですか?」
「ああ、ひとつ叶えたら俺は帰る」困ったトレジャーハンター、そこであるひらめきが。そしてその思いついた願いを言いました。
「わたしの願い事を100……いや、無限にしてくれ!」
それを言われて困ったのは魔神。そんなことをすればこの男が死ぬまで永遠に帰れなくなってしまいます。
しかし魔神もまた名案を思いつきます。「わかった、その願いを叶えよう」
トレジャーハンターは大喜び。そして次の願いは何にしようか考えます。しかし、その次に魔神が言った言葉は
「ではさらばだ」。それに焦ったのはトレジャーハンター。どうしてだ、まだ願いを言っていない。どうして、まだ願いは終わっていないのにと聴くと、魔神は言いました。
「俺は願い事をひとつ叶えると言った。そして願い事を無限にするという願いを叶えた。その願いは一つの願いをかなえることによってによって発生した。しかし、『願いはひとつで終了』と最初に言った。ならば、『無限にする』という願いをかなえたとしても、すぐ後には『一つかなえた』ことで願いは『終了』となる。だからそこで『願いを叶える』という行為自体が終わるわけだから、『願いを無限にする』という行為も終わりになるのだ」
「つまりは、ひとつのコンセントにマルチタップをいくつつなげても、もとのコンセントひとつが抜けてしまえばそこには電気は通らない。それと同じだ」
何で数百年閉じこめられていた魔神がコンセントなんて知ってるんだよというツッコミも出来ないまま呆然とするトレジャーハンター。それに背を向けて、魔神は帰ってゆきました。
さあ、この魔神の言い分は正しいか。それとも間違っているか。
俗に言う「願いごとのパラドックス」を論理的な面からちょっと弄ってみました。
ここで次からこれの分析を行う予定でしたが、なんとなく問題にしてみようと思うのでここで止めておきます。誰かが私が今考えついていない面白い答えを出してくれたらいいなあ。
では続きは適当な時に。