空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

税金の控除がある『寄付』について調べてみた

先日、うちの家族に某公益団体からのダイレクトメールが届きました。その中には寄付のお願いが。さらに次の日、私がAmazonを注文したらその中にも入っていました。さらに次の日にはデパートから親に送ってきたパンフセットの中に入っていたり、同時に送られてきた大学の会報に振り込み用紙が入っていたり。不況のせいもあるのか、最近多くなってきましたね。まあ、病気の人間宛に送られてくると、そちら側では名簿で自動的に送っているだろうとわかっているとはいえ、こっちにとってはあまりいい気分ではなかったりもしますが。

それはさておき、このように巷に溢れまくっている寄付行為、おそらく日本の多くの人は詳しいことがよくわからない人が多いのではないでしょうか。特に「特定の団体に寄付をすれば税金が一部免除される」というのはよく聞きますが(確定申告をしている人ならその項目があるので知っている人は多いでしょう)、実際にはどのような団体に寄付をしたらよいのかという点など。そしてそもそも寄付で税の控除がある寄付先として日本で有名なのが日本赤十字と日本ユニセフだったりしますが、それ以外の団体ではどういうところに寄付をすれば税金が免除されるのかというのは正直あまり知られていないように思えます。その寄付しようとする団体を見て、はじめて「ああ、ここ税金控除あるんだ」って気づく感じかなと。

しかし『寄付』をするからには、そのお金をこういう用途に使って欲しい、というのはあるはずです。なら、このふたつでアピールされていること以外、例えば日本の貧困問題や高齢化問題など社会問題対策の寄付をしたいとか、特定の病気に対しての寄付をしたい、はたまた文化的事業に寄付をしたいという人もいるでしょう。もちろん自分が信用出来る団体なら税控除があるかないかにかかわらず、寄付をするのはよいでしょう。しかし『寄付をしよう』という意思はあるのに、どんなところがあるのかわからず、税控除のあるという理由で知っているところだけになるのは、ぜっかく自分の思想を生かすチャンスでもあるのに勿体ないように思えます。というわけで「税控除のある寄付」について調べてみました。なにぶん自分もよくわからないところを調べていたので、間違いがあったら訂正願います。

寄付金控除とは?

まず「税金に一定の控除がある寄付」について。これはしっかりと国税庁のサイトに書いてあります。

No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)|所得税|国税庁

 特定寄附金とは、次のいずれかに当てはまるものをいいます。
 ただし、学校の入学に関してするもの、寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるもの及び政治資金規正法に違反するものなどは、特定寄附金に該当しません。

(1) 国、地方公共団体に対する寄附金

(2) 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして、財務大臣が指定したもの

イ 広く一般に募集されること
ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること

(3) 所得税法別表第一に掲げる法人その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして、所得税法施行令第217条で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金((1)及び(2)に該当するものを除きます。)
 なお、所得税法施行令第217条で定めるものとは、次の法人をいいます(以下、「特定公益増進法人」といいます。)。

イ 独立行政法人
ロ 地方独立行政法人のうち、一定の業務を主たる目的とするもの
ハ 自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団及び日本赤十字社
ニ 公益社団法人及び公益財団法人
ホ 民法34条の規定により設立された法人のうち一定のもの及び科学技術の研究などを行う特定法人
 (注)旧民法法人の移行登記日の前日までに寄附した場合に限られます
ヘ 私立学校法第3条に規定する学校法人で学校の設置若しくは学校及び専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの又は私立学校法第64条第4項の規定により設立された法人で専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの
ト 社会福祉法人
チ 更生保護法人

(4) 特定公益信託ののうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する一定のものの信託財産とするために支出した金銭

(5) 政治活動に関する寄附金のうち、一定のもの

(6) 認定特定非営利法人(いわゆる認定NPO法人)に対する寄附金のうち、一定のもの

(7) 特定新規中小会社により発行される特定新規株式を払込みにより取得した場合の特定新規株式の取得に要した金額のうち一定の金額(1千万円を限度とします)

(8) 特定地域雇用等促進法人に対する寄附金のうち、一定のもの(平成25年11月30日までに支出するものに限ります。)

国や自治体、それに特定の政治献金(個人がしたもの)もその対象になります。どれくらいなるのか、というと、これも書いてあるところからの引用で以下の通り。

次のいずれか低い金額 − 5千円= 寄附金控除額
イ その年に支出した特定寄附金の額の合計額
ロ その年の総所得金額等の40%相当額

つまり5,001円以上の寄付があれば、確定申告書類の欄には書けるみたいですね。ちなみに寄付した証明(領収書など)が必要なので念のため。

で、全部に触れているととても書ききれないので、このうち日本において一般的な『寄付』のイメージが強いと思われる、(3)の「特定公益増進法人」と、(6)の認定特定非営利法人(いわゆる認定NPO法人)の2つについてもうちょっと掘り下げてみることにします。

特定公益増進法人とは?

前述の通り『教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして、所得税法施行令第217条で定めるものに対する当該法人』とされています。

特定公益増進法人 - Wikipedia

で、具体的にはどんなところか、というのが気になるでしょうが、それは財務省のサイトにきちんとあります。

特定公益増進法人一覧:財務省

上で既に定義されている自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団及び日本赤十字社のほか、様々な団体があります。日本ユニセフ協会もそうです。最近ACのCMや電車の釣り広告でビートたけしが出ている結核予防会もこのうちのひとつですね。上の一覧では分野ごとに分かれている一覧もありますので、自分の意思に合わせて検索しやすいでしょう。ただ、全部の団体で自由に寄付が出来るかとなるとそうでもなく、一口がやけに高額なものや、もともと一般からの募集が見られないところもあります。

認定特定非営利法人(認定NPO法人)とは?

これは『特定非営利活動法人の中で、組織運営及び事業活動が適正であること等の一定の要件を満たすものに対して、個人や法人から受ける寄附金について課税上有利になる等の恩典が受けられる団体として、国税庁長官が認定するもの』とのこと。そして対象となるNPOは、国税庁に記載があります。

認定NPO法人名簿|認定NPO法人制度|国税庁

こちらも最近ACでCMやっていることが多い国境なき医師団日本は、この団体になります。
ちなみにこの認定特定非営利法人については、認定を受けるための条件が厳しいという声もあります。ただ、後述しますがこのNPOを悪用する人が一部にいるのも事実だったりします。

GEN>黄土314>なげきの認定NPO法人 登録日=2005/06/17 21:35

■参考:集団密航助長容疑で逮捕/NPO理事長の肩書悪用―四国新聞社
■参考:明日は吉日:NPO法人制度が悪用される - livedoor Blog(ブログ)

■参考:特定非営利活動法人 - Wikipedia

どうやって寄付をすればいいのか

一番確実なのは、各団体のホームページに行って、そこで寄付の方法を読む、もしくは聞くことかと。領収書のことについても見ておくとベストではないかと(でも寄付の募集があるわりに、詳細まで書いてあるサイトばかりってわけでもないんだよなあ。あまり意思がないのかどうなんだろ?)。
あと、以下のようなサイトもあるようです(ただしここは掲載されている全てが税控除の対象ではないので、個別にご判断を)。

寄付サイト GiveOne(ギブワン)− 信頼できる先駆的NPO/NGOを寄付・募金で応援

あと、本文の主旨からはちょっと外れますが、『寄付』だけで言うなら「クリック募金」というのもありますのでついでに。

クリックで救える命がある。 | dff.jp

その団体は信用出来るのか

さて、おそらく今の日本で寄付金が一定の大きな団体に集まりがりになってしまう大きな理由の一つはこの「寄付する団体が信用出来るかどうかわからない」という問題なのではないでしょうか。前述のように一部の団体がやっている不正などよって、全部の団体が「そのようなことをやっているのではないか」という可能性を疑われてしまい、結果知名度の高いところに安パイとして寄付が集まってしまうと。

募金詐欺 - Wikipedia

しかし、結局は「自分で調べる」ということをしない限りは、規模の大小問わず同じなのではないでしょうか。たとえば寄付の用途が生きていない、寄付者の意図とは別の目的に使われているなんてこともよく聞かれます。思うに『寄付』というのは単に金を渡すだけではなく、その団体が健全なものか、そして寄付金が自分の意思通りに使われるかをきちんと調べることも、寄付という行為の大切な一部なのではないでしょうか。現代、ネット上でいくらでも検索がかけられますし、ホームページでの資料も見られるはずです。それで信用出来るかどうかを自分で判断することが、本当の『寄付』だと思ったりするのです。


さて、今日はとりあえずの税控除のある団体というところからやってみましたが、本当に自分が信用出来て寄付をしたい団体があれば、ほんのちょっとだけ控除される税金とか気にせずに、寄付をするのが最善だと思います。まあ最近大手の寄付先についてネット上でとやかく言われることがありますが、だからといって寄付をどこにもしなくなるという選択は違うと思うので。