空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

マンガ雑誌の広告収入と、普通のマンガ単行本と4コマ漫画単行本の違いの話

さて、昨日いきなりブレーカーが落ちて消えてしまったものをもう一度書きます。

先日、『コミック・ガンボ』が廃刊した理由の一つに、「広告収入が入らなかった」というのがありましたが、事実、現在のコミック雑誌の大半においては、広告がつくことが当たりまえとなっています。よく言われることですが、新聞などでも広告費は全収入の半分近くを占めると言われているので、雑誌でも収入の手段としてそれなりに大きいものだと思われます。

昔から多いのは、スポーツグッズ、ドリンク、ユニクロ、映画、日ペンの美子ちゃんのほかに、ヤング雑誌などで上野クリニック系や記憶術系なんてのがありますね。最近だと出会い系や消費者金融もよく見かけます。マニア系だととらのあなや専門学校が最近多かったり。ちなみに少年誌の裏表紙の裏側には、昔から妙なグッズの通販広告が載っていましたけど、あれ、売れているのかなあ……

さてそんな広告ですが、出版不況のせいなのかものによっては少ない雑誌も存在します。ただ、雑誌である以上全くないのは無いんじゃないかなと思っていたのですが、ありました。それは4コママンガ雑誌『まんがタイムきららキャラット』。

まんがタイムきららキャラット 2018年 01 月号 [雑誌]

これ、たしかに広告はあります。だけど、全部自社広告(他の雑誌とか、単行本の告知とか)なんですよね。ということは、事実上外から入ってくる広告費はゼロということになります(ちなみに兄弟誌の『まんがタイムきらら』には裏表紙と裏表紙の裏にのみ広告有り、『まんがタイムきららフォワード』もキャラットと同じでした)
驚きはそれだけじゃなくて、実はこのキャラット、230ページと薄めですけど、マニア系マンガ雑誌にしては、350円とわりと安めなのですよね(嬉しいですけど)。広告がないのだったら、その分定価から収入を得なければいけないはずなのに、どうしてでしょうか。

これについて、2通りの考え方ができます。すなわち、広告が本当に集まっていないというものと、逆に、広告を載せない方針というもの。まあ後者だとそうするメリットが分かりませんから、おそらく前者だとは思うのですが、でも『ひだまりスケッチ』がアニメ化2期も決定しているのに、裏表紙という絶好の広告ポイントもカラというのも疑問なので、何らかの可能性で後者なことも捨てきれません。

では、どこから収入を得ているのか、となるとこれは明らかに単行本ではないかと。実はここで、この4コマ雑誌ならではの面白い特徴が出てきます。

実は、4コマ系雑誌の単行本を買った方なら分かると思いますが、本の厚さのわりに値段が比較的高めです。平均的な少年誌の単行本が10話分程度(だいたい200ページ弱くらいが)で400円、青年誌(だいたい200ページちょうどくらい)が500円強なのに対し、芳文社の4コマ系はだいたい120ページで800円強です。つまり、ここで採算を取っていると容易に想像が出来ます。ちなみに単行本で採算を取るというのは鈴木みそ氏の『銭』1巻にもありましたね。

ただ、読んでいる方は分かると思うのですが、4コマって意外とこの薄さでも満足度が高いんですよね。というのは、4コマの場合、1ページ当たり普通は2本載ります。というこは、1ページをわりと速く読み流してしまうストーリーマンガに比べて、内容が詰まっているとも言えるわけです(もちろん個別のおもしろさによる違いもありますけど)。実際私の場合、同じページ数だと読む時間は4コマの方が長いのです。ということで、たとえ薄くて高くても、成り立つのではないかと。故に、広告を必死で集めなくても、雑誌自体が潰れずに成り立っているのかもしれません。同時に外からの広告の代わりに、雑誌内で単行本の告知を多くするのも納得できます。

まあ、あとは部数による利益率もあると思うので、まだまだ要因は複雑だと思いますが。あと、広告が集まらないからそうしているのか、もともとそうなのか卵と鶏みたいなところもあると思いますが。

まあ、少年誌や青年誌と、このような4コマ雑誌はモデルが違うんだなあと思ったということです。でも……この論法で考えると、単行本の出ていない作品の原稿料は……まあ邪推でしかないので割愛。

まあ、4コマに抵抗がない人は、350円でそれだけ容量の濃いマンガ雑誌が読めるってことなので、(お気に入りのマンガがあれば)買うと特じゃないかと思った今日この頃。


※ちょっとまとまりきれてないので、あとで加筆するかも。