空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

不愉快なCMは意図的なものである可能性

まずはこのニュースから。

「正解はCMのあと」「最新情報はこのあとすぐ」などテレビの山場CMは逆効果 …視聴者の86%が「不愉快」

これはテレビではもうよくあるパターンとして使われてきたものですね。これは正直一視聴者としてみれば、わりと腹が立つものではあります。ついでに言えば、深夜番組のCMの数シーンごとに入ってくるCMも。

では、何故こんなCMが今まで普通に行われてきたのか、ということですが、それに企業やテレビが気付いてなかったと考えることも出来るでしょう。しかし、私はどうもそう思えないのですよね。正直なところ私はテレビ局や広告代理店、それにスポンサー企業の担当者はそのつもりでCMを出していると思っていました。広告が専門の代理店や担当者が気付いていないはずはないと。
では何故、そんなことをし続けてきたのか。その理由は「とにかく(どんな形でも)覚えてもらうものだ」という思想が支配していた、と考えることが出来ます。

これはどういうことか説明するにあたってとあるCMを見たときの反応をおおざっぱに分けてみましょう。

1 視聴者が気持ちよくor面白く見られるCM……好感
2 どちらでもない(中間)……無関心、もしくはそれに近いもの
3 視聴者が不快に思うCM……嫌悪

このうちスポンサーにとっても視聴者にとっても一番いいのはもちろん1ですね。ただ、全部がそうできれば苦労はありません。
で、逆に視聴者にとって一番悪いのはもちろん3ですが、代理店やスポンサーにとってはどれか。実はこれは3よりも2のほうが悪いと思われているのではないでしょうか。

それは2と3のどちらが記憶に残るか、といえば、おそらくは「嫌悪」という形で3のほうが頭には残りやすいのだと思います。つまり、嫌悪感を抱いても、とりあえず人に強く影響する分、「関心」のゾーンには入りますのが、どちらでもないようなものというのは良いも悪いもない分印象が薄く、すぐに「無関心」のゾーンに向かってしまいやすいと。これは「好きなCM」と「嫌いなCM」の頭への浮かびやすさと、「どうでもいいCM」の浮かびやすさの違いでわかるでしょう

CMというものは莫大な金がかかっています。特にゴールデンでは。ならばそれのもとをとるためには、どのような形であれ、目に入って記憶に残ってもらわなければならない。ならば嫌悪感を持たれるのはわかっていても見させる、ということが半ばわざと行われているような気がしてならないのです。つまり、一見消費者の印象を悪くしているような広告でも、その本意である「その製品を知らせる」という目標は果たしているわけで、そういう意味では極論マイナス効果のある広告というのは存在しない
とも言えなくもないです(もちろん限度はありますけどね)。

同じ理屈は視聴率にも言えます。どんな悪評番組でも高ければそれだけ見ている人が多いわけですから。ですので番組内容がどうこうよりも視聴率にこだわると。

「たとえウザがられても、目だたないよりはマシ。そこで好感を得られればなおよし」という”行為の反対は嫌悪ではなく無関心”的思想でこのようなCMが作られ、そして流されてきたように思うのです。ここでAIDMAの法則に強引に当てはめると、Action (行動) をさせる以前の問題として、どんな形であれAttention (注意) とInterest (関心) の段階をクリアしないとダメだという感じで。
あと、軽い嫌悪感なら忘れて、商品名だけが残るってパターンも多かったでしょうしね。

CM含め広告の少ない時代なら普通に流していれば目だちましたが、今はCM以外の広告含めどれだけ注意の段階までもっていくかでも苦労しているんだなあということですね。


ただ、嫌悪を抱くCMの商品が売り上げにどう影響するのかは全くわかりません。上で語ったように普通にCMを流すよりも目立つ分上がっているかも知れませんし、逆に一般的に考えられるように、消費者の反発を招いて本来売れたであろう量から減少している可能性もあります。だけどそれを確かめるためには、それこそそれを見た消費者の回答だけではなく、本当にその消費者がその品物に対しての影響力が未来に対してもないかというところまで調査しなければならないのですから、事実上不可能でしょうね。それで今後も結果はさておき同じようなことが行われるのかもしれません。企業イメージにはプラスではないような気はしますが。

でも、テレビがCMごしにもってくるもののヒキ(魅力)が弱い場合、逆にその嫌悪感でチャンネルを変えられてしまうという可能性も多分にあると思うし、あの方式はやめてくれというのが正直なところ。ちなみに昨日ラジオ(アクセス)で聴いたところ、イギリスではそのようなCMの入れ方は法律で規制されているらしく0%だそうです。アメリカでも日本よりはるかに低いそうで。


ちなみに、ニコニコ動画でもなんかCM枠を入れるらしいですな。

ニコニコ動画、有料動画配信に乗り出す--「時報」は広告枠として販売

ただ、こっちはいきなり時報のタイミングで入ってくるわけで(まあシステム上仕方ありませんが)、それをテレビ番組に置き換えると、場合によっては何の区切りもないところでいきなり中断して、そこに広告が流れてくるわけですよね。それはユーザーによっては先のこのあとすぐCM以上のマイナス広告とならないでしょうか。
それなら映像のはじめか終わりに地方のテレビでたまに見るような5秒CMとかを入れた方がいい気がするのですが。