一個人の知識は他の全員が当たり前に共有している知識とは限らないという話

この前こんな文章を書きました。

これについては、予想以上のコメント、ブックマークコメントを頂きました。が、その中には、「常識でしょ?」という意見が多く見られました。これについては別に「うん、知っている人にとってはそうだよね」と思いますし、別に感想としては普通のものだと思われます。また、「今日の文章はつまらなかった」と印象を持たれるのは仕方がないと思います。私の筆力の問題で、よろしければ次回にご期待いただければと思います。ただ、その中に「こんな常識的なこと、いちいち書くな」というニュアンスのものがいくつか含まれているのが散見されました。それは、違うのではないでしょうか。

まず、何故これを書いたかというと、ちょっと前のエントリーに遡ります。

CDの帯を大切に保管しておくための便利な方法 – 空気を読まない中杜カズサ

このエントリーの最後、こんな文章を書きました。

しかしこういったライフハック的なものが希少価値になるのは「この技は他人は知らない!」と断言できる人が少ない故、わざわざ言う人がいないからではないかと。私もこれを最初に書いた時には「みんなやってて今更……とか言われるかもなあ」と思いながら書いてますし、今もそうかもしれないと思っています。

おそらく、私がすごいと思ったこの件も、これを書いた方は知らされるまで当たり前のことと思っていたみたいな感じがあるみたいですし。

■「 2 」か「 9 」で割ってみる – ナイトシフト

そういうわけで、「おそらくみんな知っているだろう」という情報でも改めて聞いてみたりブログに書いてみたりすると、意外と知られていないものかもしれませんよ。「そんなのみんな知ってるよ」という言葉を受けることを恐れずに書いてみては? そうしてネットに蓄積されるお役立ち情報は増えてゆくのですから。

このエントリー、最初に書いた2年前には上に書いたように「そんなの当たり前だよ」と言われると思っていました。しかし書いてみると「これは便利」と評価をしてくれた人が多く、嬉しかった思い出があります。その時に思ったのは、自分にとっての当たり前の知識でも、他の誰かにとってはそれは当たり前の知識とか限らないのだなと。

最近このブログの他に、Timestepsというのをやっていますが、ここでは毎回ネタの選別に頭を使っています。というのは「これ、みんな知ってておもしろくないんじゃね?」とほぼ毎回思ってしまうから。おそらく今まで書いたものの中には、多くの人にとってそう感じられたものも含まれていたかもしれません。ただ、「これはみんな知ってるかもしれないなあ。まあネタないからこれについて書くか」というものでも公開してみると、意外とその経緯を知らなかった人がいたみたいということがあります。

しかし、もしこれを「みんな知っているだろう」と書かなければ、誰かにとってはもしかしたら永遠に知ることのなかったネタかもしれないのですよね。しかしここで書いたことによって、誰かにその方法を広めることが出来たと。それならば、「他人が知っているかもしれないと疑わしいものでも、もし知らない人がそれなりにいる可能性があるものなら書いてみよう」と思いました。そして最初のエントリーも、それが故に書きました。

結果として知っている人が多かったようですが、もし「1本でクロスに縛る」「台の上に半分乗せると便利」「縛り直し可能」のうち、どれかでも気づいていなかった人の知識になっていたのだったら、それは成功だったと思います。

さて、ここで「知っている」と言うこと自体は普通の感想だと思います。ただ、その知っていることで、たまたまそれを知らなかったこと、そしてそれを書いたことに対して嘲笑するのはどうかと思うのです。この傾向を恐れるあまり、本当は多くの人が知り得ない事でも、それを「自分が知っているから、他人も知っているだろう」と思って広まらなくなったとしたら、それは非常にもったいない。

そもそも、今回のネタ自体、そんな常識とか頭の良さとか大層なものではなく、気にしている人、すなわち紐をよく結ぶ人はすぐ気づく可能性があるけど、紐を滅多に結ばない人は、別に気づかなくても不思議ではないと思います。日常の便利な技なんてものは多くがそんなもので、知って慣れればなんてことないけど、知らないと知った瞬間驚くという性質のものではないでしょうか。

『レイトン教授と最後の時間旅行』というゲームがありまして、最近クリアしました(ほかにも2作あって、レイトンシリーズと呼ばれています)。このゲームはNintendoDSのアドベンチャーですが、ところどころにさまざまな「謎解き」が隠されていて、それを進めてゆくというもの。そしてその謎解きは、なぞなぞから4×4パズルといったいろいろなものがあります。ちょっと前のテレビで言えば、『マジカル頭脳パワー』とか『脳内エステ IQサプリ』なんかに出てくるタイプの問題です。さて、実はこのゲームの謎解き、たしかに引っかかるところもあるのですが、クリアしてみて「これは似た問題を出されてもう一度解けるかどうかわからない」というものはほとんどないのですよね。多くはその解き方がわかった瞬間は「ああ〜、なるほどね」と思ってしまうけど、2度目に似たようなものが出てきた時にはあっさりと解けてしまうものがほとんどです。

そして、件のエントリーもそんなものだと思うのですよ。つまり、単純に普段頭をあまり使う必要のなかったところに焦点を当ててまとめたので、知らなかったと思っていた人も普段何回も触れていれば気づいた方も多いでしょうし、全部を知らなかったのではなくて、台の上に乗せると便利だとか、そういった部分を見落としていたので、それをまとめたところに利点を見いだしていただいたのだと思います。

以前、暗証番号ネタを書きました。

盗難されたキャッシュカードを引き出されにくくするための簡単な方法 – 空気を読まない中杜カズサ

ただ、何でこれが知られていなかったか。それは思いつく人がいなかったのではなく、あまり必要ないからそのことについて考える人がいなかったからでしょう。もし、キャッシュカードの盗難が今より多発していたら、これはすでに誰かが考えついて、もっと早く広まっているはずです(そして方法の性質上、盗難をする側もこれに騙されなくなって使えなくなっているはず)。ただ、たまたまなかったものを「知らないとおかしいから」とそれをたまたま知っている人が言うのは、違うのではないかと思うのです。それが社会生活上絶対に知らなければいけないようなものだとしたら話はまた変わってくるでしょうが、これは特に知らなくても生きてゆける生活の知恵です。もちろん生活の知恵でも、誰も我感心する高度なライフハックは存在するでしょうが、そういうものばかりじゃないといけないことはないと思うので。

基本的に私は無知だと思います。他の人が知っていることで知らないことはたくさんあるでしょう。そしてその中には、「常識」と言われているものでも、知らないものがある可能性は十分にあります。しかし、それを知らないままにしておくよりは、数々の私にとっての「当たり前」が出てくる中に、その知らなかった知識を得たいと思うわけです。そして、同じように、何かの知識を持っているけど、何かの知識がちょっと欠けた人のパズルを埋めるため、こういうものでも書いています。

ブックマークのコメントにおいて、『これでホットエントリーなら、自分も』というのがありましたが、私も是非そうしてほしいと思います。今まで書いたように、自分にとっての常識は、必ずしも他人にとっての常識とは限らないのですから。だから自分では常識ではないか、と思っているものでも、とりあえずそれが誰かにとって知らないものであるなら、書く価値はあると思っています。そうすることで知らない人に対しては知識が補完され、それが次の何か、例えばその知識の応用を生み出す元となる可能性だってあるのですから。そして何よりそれを書いて公表することは、すでにその知識がある人の毒になることはないでしょうし。

ちなみに私自身としては、今日の文章が導き出せたこと、そしてコメント、ブックマークコメントなどで、さらに便利な方法、道具などの知識が得られたことで、十分書いた意義はあったと思っています。ただ、何故ここまで注目を浴びることになったのか、というのも考えてしまいます。このブログは文章の出力機械ではなく、個人の書いているただの雑文ですので。

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