少年ジャンプのアンケートについてちょっと考えてみる

最近このブログで、アンケート周辺について書いていました。

雑誌アンケートの回収率を増やすためには当選者発表欄について考えた方がよいかもしれない
このようなエントリーが。たしかにアンケートを送った方が、作り手、この場合編集部の人は貴重な意見やデータとなるので、ありがたいでしょう(もし送られて困るのだったら、アンケートなんてないはずですしね)。そして雑誌によっては作品についてコメントを寄せると作家さんに届くようですし、そうなれば励みにもなるでしょう。しかしながら、アンケートはその雑誌を買った全員が送るわけではありません。正確な数字はわかりませんが、おそらく雑誌購入者の数%くらいではないかと思われます。かくいう私も、学生時代には買った雑誌のはほぼ絶対送っていましたが*1、ここのところあまり送っていないなあという感じ。
雑誌のアンケート結果は懸賞品によって変わる可能性がある
昨日、このようなエントリーを書きました。これを書いている時に各種マンガ雑誌のアンケート欄を見ていたのですが、それで色々と考えたことがあります。今日はそのうちのひとつを。

前回まではアンケートの氏名公表によってそれを嫌がる人が送らない可能性がある、そして懸賞品の品物によって、作品のアンケート結果まで変わってくる可能性があるというのを書きましたが、もっと大きくそのアンケート結果を変える要素があります。それはアンケートの質問形式。

最近、『バグマン。』において、アンケートのことにも触れられていましたね。すなわち『連載が21本、アンケートの「おもしろい作品」記入欄が3つ、故に投票率は1/7。だから10人に2人入れてくれれば、1/5で人気作品になる』というもの(そして1/7→1/5が大変ということも)。しかし、これをもうちょっと考えてみると、ジャンプにおけるマンガの特質が少しばかり見えてくるような気がします。今号(16号)の少年ジャンプでは、金未来杯のアンケートについて書かれていたことですし、このまま連載あたりまで話が進むと連載時のアンケートについても触れられる気がするので、その前に書いてしまおうと思います。(ただ、あくまで私の考察であり、外れている可能性、ほかの要素が備わってくる可能性もありますが。あと、自分は単行本派なので、すでに雑誌で書かれていたらそれはそれということで)。

バクマン。 1 (1) (ジャンプコミックス) バクマン。 2 (2) (ジャンプコミックス)

さて、前述のように少年ジャンプでは昔から『おもしろかった作品を3つ選ぶ』というアンケートが行われています。裏で補足的なものが行われることもありますが、メインはこれですよね。このアンケート形式、たしかに長年ジャンプで使われているだけあって、トップ人気のあるものを選ぶのには最適でしょう。ただ、これが連載作品全部の人気が正確に出るか、つまり全ての人が「この作品は○点」というのをつけていって、それを集計した時と似たような結果が出るか、というとNOでしょう。それは、ある傾向の作品にとっては、この形式のアンケートは人気が繁栄されにくいから。

では、どのような作品がアンケートで不利なのか。面白くない作品(本当に人気のない作品)は論外ですが、それなりおもしろい作品であってもこのアンケートでは不利なのが、多くの人が5番目くらいにおもしろいと思っている作品。つまり連載作品を並べて順番をつけていった時に、多くの人が3番目以降だけど、その次ぐらいだなと思う作品があったとします。しかしそれはおもしろかったもの3つのアンケートには反映されませんよね。つまり、個人にとっての4番目以降の作品は、アンケートにとっては最下位の作品までと同じなわけです。となると、みんなが5番目くらいに面白いと思っている作品の平均点は実は高いのに、20人に1人だけがおもしろいと思っている作品よりも得票的には下になってしまう可能性があるのです。もちろん実際はそこまで偏差が出ることはないでしょうが、そうなる可能性もあり得るのです。

つまりは、ジャンプでは好き嫌いが分かれる作品の方が強く、嫌われない作品というのは結果として弱くなりがちなのかもしれません。故に、どうしても派手な作品が集まるという感じ。

では、みんなが5番目くらいに面白いと思う作品とはどんなものか。それは派手さはないけど、とりあえず読んでしまうような作品かなと。例を挙げれば、この前マンガブログで書いた『恐竜大紀行』とかも、5番目とは言いませんが少なくとも最下位の出来ではなかったかなと。だけど、さすがにあの黄金期(『ドラゴンボール』と『スラムダンク』などが同時にやっていた時期)のジャンプで3番目までには書けなかったため、結果として10週で上に上がれなかったのではないかと。

■参考

かつて週刊少年ジャンプに連載されていた、短期連載にもかかわらず評価の高い『恐竜大紀行』(岸大武郎)について。

つまり、ジャンプはこういった平均安定型に対してどうしても得点が辛く出てしまいがちなのかもしれません(その意味でアニメ化されて目立つ前のこち亀は立派だと思う。とはいってもあれもけっこう派手な作品のような気もしますが)。そういえばほかの少年誌に比べても、全体的に派手な印象の作品が多いですしね。しかし、多くの人の数番目より、読者の誰かにとっての1番を目指さないといけないっていうのは、ある意味少年マンガの主人公的かも、なんてことを思います。

ちなみに10年くらい前、少年サンデーで地味ながら根強い人気を博した『拳児』という作品がありましたが、あれがもしジャンプで連載を開始していたら、幼少時代編(結構地味)で終わっていたかもしれないなんてことを思います。あと、マガジンで多いノンフィクション混じりのもそうかも。ただ、ジャンプがこうだったから、逆にサンデーやマガジン、チャンピオンは長期安定型の作品をやれたのかもしれません。それがそれぞれの雑誌のカラーなんでしょうね。

ちなみにもし、このおもしろいもの3つがおもしろいもの5つとかに変わったとしたら、また、「おもしろくないもの」というマイナス票が(今みたいにたまにではなく、毎回)入ったとしたら、それはジャンプを揺るがすくらいの大事件だと思います。だって、4位と5位が出てくることで、その雑誌の連載陣が変わってしまい、場合によっては雰囲気も変えてしまう可能性だってあるのですから。

ただ、ジャンプがアンケート重視とはいえ、完全に数字の支配下ではなく、最終的には編集の方がそのデータを元にしつつも頭を絞って連載陣を決めていると思います。数字に従ってトップを取れれば、どこも真似するでしょうけど、そう簡単なものではないでしょうし。

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