mixiの規約変更問題について過去の類似事例から考えてみる

ちょっとmixiで騒ぎになっているニュースがあります。

mixi、4月1日より利用規約を改定–日記などについて著作者人格権の行使を禁止

問題となっているのは特にこの部分。

第18条 日記等の情報の使用許諾等
1 本サービスを利用してユーザーが日記等の情報を投稿する場合には、ユーザーは弊社に対して、当該日記等の情報を日本の国内外において無償かつ非独占的に使用する権利(複製、上映、公衆送信、展示、頒布、翻訳、改変等を行うこと)を許諾するものとします。
2 ユーザーは、弊社に対して著作者人格権を行使しないものとします。

しかしネット上のこういった著作権絡みの騒ぎは、今までも度々起こってきた気がします。今日はそれをふまえて、このmixiの件について考えてみたいと思います。

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過去のネットにおける著作権規約改訂騒動

ジオシティーズ規約改定問題

2000年前後、まだブログがなかった時代、無料のHPレンタルスペースとしてトップとなっていたのがジオシティー(現在のYahoo!ジオシティー)でした。ちょうどテキストサイトの流行した頃ですね。しかし、2001年10月、規約が改定され、『アップロードした時点でコンテンツに関するモロモロな権利を無条件にYahooに認めるだけでなく、著作人格権をも行使してはいけない』という風に受け取られる旨のものに変わりました。そこで騒ぎとなり、一部の使用者はほかのスペースに移転するという騒ぎまで起きました。わたしもジオにHPを持っていましたが(別に転載されて困るようなコンテンツはなかったので)そのままにしておきましたが、新しくHPを作るときはなんとなくそれが引っかかってジオ以外にしたのを思い出しました。

■参考:ジオシティーズが新規約で利用者のコンテンツを横取りスラッシュドット
■参考:著作権騒動

ライブドアブログ規約改定問題

ブログがかなりブームになってきた2004年、その11月に『利用規約の一部変更のお知らせ』がなされました。そして以下の部分が問題となります。

本サービスにて作成されている全てのコメントおよびトラックバックを含むウェブログについて、弊社は、利用者への通知なしに無償で利用することができるものとし、利用者は、弊社及び弊社の指定する者に対し、著作権等(著作者人格権の行使も含む)を行使しないものとします。

これで利用者の多かったライブドアブログは騒動になります。そしてまた。移転騒ぎにもなります。その後、ブログ使用率ランキングでトップを走っていたライブドアはFC2に抜かれますが、これがどのくらい影響あったのかは不明です(おそらくはホリエモン逮捕による会社への影響とかの考慮も関係あるので、これだけではないと思いますが)。

ちなみに現在は『利用者が著作したブログとそれに付随するコメント及びトラックバックは当該ブログを著作した利用者に著作権が発生するものとします』の条文が付け加えられています。

■参考:削除事件と規約改定 – ライブドア社の良識を信用できるかどうか 

2ちゃんねる規約改定問題?

これは当時騒動になったかどうかはよくわからないのですが、2006年に2ちゃんねるでもその書き込みに対しての規約が改定されています。ただ騒ぎの方向は現在、2ちゃんねるに対してというよりも、それを引用する場合に対して起こっている気がします。

■参考:2ちゃんねるの書き込み規約変更

あと規約改定ではないですけど、ニコニコ動画もそのユーザー投稿物の利用について最近ちょっと騒ぎがありましたね。

このように、その時に一番流行している、無料でユーザーが何かを発信する媒体においては、このような騒動が必ずついてくるような気がします。そう考えると、今回の件も来るべくして来た、という感じがします。総じて言えるのは、悪意があったにせよなかったにせよ、文章の書き方がまずかったってことかなと思います。特に著作権、著作者人格権までもユーザーになく、それをサービス側が取ってしまうと感じさせる文章にはかなり敏感になるのも自然でしょう。ある日いきなり自分の文章が無断で本屋で売られてて、金が入ってこないのにもめ事だけが入ってくるなんて最悪の事態も想定してしまいますから。たしかはてなでも、この文章を「本サービスの提供、利用促進及び本サービスの広告・宣伝の目的のために」使うということを規約で定めておりますが、「本サイトおよびインターネットを用いたクライアントソフト」に限るとしているので、いきなり書籍化されているということはないでしょう。

しかし、今回の騒動では今までとは違う問題が浮上しています。それはmixiがソーシャルネットワーキングサイトだという従来とは変わった形式だというもの。

SNSで文章を引用されることに対しての恐れ

mixiでいきなり引用されると困ることは著作権の問題以外でも思いつくので、それを挙げてみました。

対象者(マイミク)以外に向けて書かれたものではないものが存在する

mixiなどのSNSの日記では、認証したメンバー(マイミク)やその友達限定で見せる仕様が存在します。これは、完全に内輪向けで、外に発信されたら困るものを描いている人もいるでしょう*1。それがいきなり外部で引用されたらどうでしょう。困るだけではすまない場合も出てくるでしょう。
印象としてはブログの引用ってよりは、メッセンジャーの通話をいきなりMSとかが「公表するよ〜」って言っているのに似たものがあるように感じます。

実名、及びそれに近いものを公表している場合が存在する

最近ではそうでもありませんが、最初はmixiでは実名の使用を推奨していました。そして今でも実名、そうではなくても実名に近いもの(例えば作家のペンネームとか)を利用している方は多数います。そうなると、それらの人の発言が「発信元がはっきりしている状態で」使われてしまう可能性は高いです。そして万が一、それらの発言が広がったことに対して問題が起こるという可能性も危惧されます。しかしそれに対しての保障はないみたいです。

第17条 日記等の情報に関する権利
本サービスを利用して日記等の情報を投稿するユーザーは、弊社に対し、当該日記等の情報が第三者の権利を侵害していないことを保証するものとします。万一、第三者との間で何らかの紛争が発生した場合には、当該ユーザーの費用と責任において問題を解決するとともに、弊社に何等の迷惑又は損害を与えないものとします。

遡及適用

付則に『本利用規約の施行前にユーザーによって行われた行為についても本利用規約が適用されます。』とあります。つまり、今から書く日記やコメントではなくて、これまでに書いたものに対しても遡及適用されるわけです。法律的には「法律不遡及の原則」があるので無効だとは思いますが、そんなことよりもこれにより過去に書いたものを利用されてしまう”つもりがある”ということが危険なのです。

外部日記に対しての対処

mixi日記には一部ブログサービスを日記として使うことのできるサービスというのも存在するのですが(はてな、ドリコム、ヤプログなど)、それについても触れられていません。極論そこではふたつの規約がぶつかりあってしまうことにもなります(まあ普通に考えれば、あくまでブログの日記にリンクしているだけなので、mixiの権利は及ばないとは思いますが)。

規約の有効性

第21条 本利用規約及びその他の利用規約等の有効性
1 本利用規約及びその他の利用規約等の規定の一部が法令に基づいて無効と判断されても、本利用規約及びその他の利用規約等のその他の規定は有効とします。

ここちょっとわかりにくいのですが(まさか単純に法令無視ではないと思うし)そのままストレートに解釈すると問題になる可能性もあるか?

まとめ

今ざっと思いつくだけでもこんなに問題があるのです。実はmixiの規約改訂も規約文自体は今までのジオシティーズやライブドアの規約改訂などと似たようなものでしたが、普通のHPやブログと比べてSNSでは、前述のように問題が増えてしまうと考えられます。

やはり一番の問題は、「閉鎖性」を売りにして延びてきたmixiが、この規約によりその最大の利点をなくしてしまうという点ではないかと思うのです。

とはいえ今の時点では必ずしもmixi側に、ユーザーが危惧しているようなことを行うつもりがあったのかはわかりません。とてつもなく善意的に解釈をすれば、mixi側から能動的に何かを行うのではなく、ただちょっと引用したかった時に、あとからクレームをつけられないようにする防御策のつもり以上のものはなかったかもしれません(それでもネット著作権に対して認識が甘かったのは明らかですし、条文の作り方が下手すぎのような)。しかし、問題が露呈し、指摘されている以上は、その危惧されている部分を早急に解決する必要があるのではないでしょうか。そうしないと、書き込みを萎縮させ、はてはmixiコミュニティ全体を縮小、そして衰退させてしまう恐れが高いですので。

*1:それでたまに犯罪自慢して祭りが起きることがありますね

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