先日、NHKほかニュースにおいて、『吉野家や牛角を装った偽キャンペーンに注意』とするニュースが流れました。
※(2017/2/18追記)NHKのニュース記事デシタが消えてしまったのでアーカイブとして置いておきます。
報道された内容によると、吉野家のロゴマークに似たデザインや牛丼の写真とともに、「牛丼15,000円分食べ放題キャンペーン」と書かれた偽の広告がインターネット上に出回っていて、そこで指定したサイトに行き空メールを送ると全く異なる広告メールが送られてきた、とのこと。
これについては報道前から牛角が注意喚起のリリースを出しています。さらに吉野家も公式でリリースを出しました(2017/9/23リンク切れ)。
【牛角と偽ったキャンペーン広告にご注意下さい!】
Twitterのタイムライン上に「牛角の食べ放題が無料」との謳い文句の広告が流れておりますが、それらのキャンペーンは弊社とは一切関係ございません。詳しくは下記にてご確認ください。https://t.co/YzNI9u2EEf — 牛角[公式アカウント] (@gyukaku29) 2017年2月4日
しかしこの偽広告におけるポイントサイト誘導については以前から主にTwitterで出回っておりました。それも吉野家や牛角だけではなく、任天堂のアプリ、スーパーマリオランなどでも。
その過程でちょっと調べていたので、ここに確認出来た限りの経緯などについて、報道などを交えて書いてゆこうと思います。
- Twitterでキャンペーンを装いポイントサイトに誘導
- Twitterのプロモーション広告として拡散
- 「スーパーマリオラン」でも似たようなプロモーション広告が出ていた
- このポイントサイトの問題
- Twitterでのリンク先にあった「asagaoniko.net」について
- 今後の注意事項と余談
Twitterでキャンペーンを装いポイントサイトに誘導
ニュースで報じられたのは牛角や吉野家でしたが、そのうち牛角におけるパターンについては、2月5日にすでにねとらぼが記事にしています。
これによると、牛角についてもすでに1月から出回っていた模様。
これの挙動については、Twitterで牛角のキャンペーン(「牛角の食べ放題が無料」「タダで食える」など)を装ったツイートに掲載されているリンクを踏むと、まずTwitterに表示されている「asagaoniko.net」というURLに行きます。
牛角のなりすましキャンペーン、ウチにも来ました。キャンペーンurlが非公式、先日大量発生したスマホゲーのコインタダでもらえますみたいな奴です。出くわしたら落ち着いて、右上メニューから「広告を報告」「違法な製品サービス」を選んでブロックしましょう。 @gyukaku29 pic.twitter.com/dBuITg9D7e
— PICTOMANCER (@pictomancer) 2017年2月4日
そこからリダイレクトでその企業を装った感じのキャンペーンページに移動、そこでスクラッチクジのようなものがあり、それに当たると受け取りのためとして空メールを送信させるようになっています。
しかし空メールを送信すると、際にメールを送ってしまうと、全く異なる広告メール(迷惑メール)が届くようになるということ。実際に食べ放題の何かが受け取れているかというのは試していないので不明ですが、公式ではなく且つそれだけの金額がかかるので、実際に受け取れているというのはかなり怪しいものでしょう。
ちなみに以下のサイトでは、実際に調べてみたところ「その後はなしのつぶて」だった模様。
そして他のポイントについて書いてあると「クレジットカードを申し込んだりしないともらえない」上、「※当該キャンペーンに参加し条件を満たされたお客様は厳選なる抽選の上、24時間以内に「20,000円受取通知」をお送りします」という注意書きがあったようです。
Twitterのプロモーション広告として拡散
さて、これらが大きな問題となったのは、これらを載せたTweetが、いわゆる「プロモーションツイート」で表示されていたことにあります。つまりTwitterを使っているとフォロワーにかかわらず表示される広告なわけで、これによりタイムラインに表示されたことにより、フォロワーの誰かの発言と誤認しかねないということになってしまうわけです。
そして実はこの広告、牛角や吉野家だけではありませんでした。
「スーパーマリオラン」でも似たようなプロモーション広告が出ていた
実は以前、スーパーマリオランで任天堂の『公式』を装うものについての警告をteiseiinfoのTwitterで書いていました。
現在Twitterのプロモーション枠(広告枠)で、「公式【スーパーマリオラン】」と称するアカウントがプレゼントで釣るような投稿をしているようですが、任天堂とは無関係である可能性が非常に高いです。付属のリンクを踏むと、これまたまとめサイトの偽装したようなサイトに入ります。 pic.twitter.com/bwDEodqi3H
— 訂正information (@teiseiinfo) 2017年1月8日
この時にこれについて調べたのですが、こちらも牛角などと同じくTwitterの公式プロモーションで、表示名は「asagaoniko.net」と、同じ表示URLになります。
そしてURLを踏むと、以下のような2chまとめページを装ったページに飛ばされました(現在は削除され、「this is test page of game-news.biz」という文字表示があるのみ)。
もちろん本当に該当スレがあったわけではなく、作られたまとめなのですが(まあ2chまとめ自体も2chを通して作っているものがあるといえばそうなのでしょうけど、そこは今日は割愛)。しかしその中にしれっと特定のURLが生きていて、文面もそこに誘導させるようになっています。
そしてそこのリンクを踏むと、以下のページに飛ばされました。
マリオランに変わっているものの、スクラッチの仕組みなどは牛角と一緒ですね。で、そこの利用規約というところから入ると、「kira2 warker」というポイントサイトのページに飛びました。
このポイントサイトの問題
さて、このポイントサイトですが、実は今回の件が話題となる前にもいろいろと問題が流れていました。それは、ポイントを溜めてもいざ使う段階になると使えない、ポイントを取得するために使った有料サイトから退会出来ない、そして迷惑メールが届き続けるといったもの。
国民生活センターからも注意喚起が出ております。
■ポイントサイトでためたポイントが換金できない(メールでよくある情報提供と回答)_国民生活センター
※ちなみにkira2 warkerで検索するとその手の問題を書いたサイトが出てくるのですが、たいていその最後に別のポイントサイトへのアフィリエイトリンクがあるので掲載はしません。
そしてその会社については「株式会社ヴィヴィット」とありますので、実際にそこの会社に飛んでみることにしたのですが、つい先日、ニュースリリースが出ておりました。
ただ現在のところは牛角についてのみで、吉野家や任天堂については書いてませんが。
Twitterでのリンク先にあった「asagaoniko.net」について
さて、これらに共通しているものとしては、Twitterのリンクで「asagaoniko.net」と表示されているところにあります。ここからあらゆるサイトにリダイレクトされるわけですが、ここが表示名となっていることが大半でした。
そこにダイレクトリンクをかけてみると、「バイラルメディアのまとめのまとめ」というサイトが出て来て、いくつかの2ch系まとめサイトのRSSアンテナにおける記事表示があります。さらにそのURLで検索をかけると、話題沸騰のニュースというFacebookページが出てきました。ちなみにやけにいいね!数が多いのですが、どうも同じURL内にある記事で、続きを読むためにはいいね!を押さないといけなかったからだった模様(ちなみにFacebookの規約ではいいね!の強制は違反だったはず)。
上に見えるプレイヤーのように見えるものは画像です。トップとは関係なくこのページがあるのですが、これがかつてあったサイトの残骸なのか、それとも他の目的があってトップとは別に作っていたのかは不明。ちなみにwhoisで検索をかけてみましたが、お名前.comの代理公開設定になっていました。このサイトと上記のサイトやポイントサイトなどとの繋がりについても現時点では不明です。このへんのまとめサイト(もしくはそれを装っているもの)やそのRSSアンテナからの広告的誘導は他でもよく見られるので注目すべきでしょう。
ともあれ直近では、今後このURL「asagaoniko」がTwitte広告で表示されていても、踏まない方が賢明でしょう(今後も使われるかどうかは非常に微妙ですが)。
ちなみに、前述の記事によるとほかにもかなり微妙なポイントサイトがある模様ですが、これらは同時にアフィリエイトによる誘導も激しいので、利用、登録する際は細心の注意が必要でしょう。
今後の注意事項と余談
今後ですが、ニュースで報道された以上同じようなのが出てくるのかは不明です。ただ、今後似たようなものも出ないとは限らないわけで、
・Twitterの公式プロモーションだからといって信用をしない(正直方向は違うけど、なんか微妙なのが表示される例がほかにもあるので)。
・ポイントサイトに安易に加入したり、空メールを送ったりしない(その売り文句が本当とは限らない)
ということは念頭に入れておいたほうがいいでしょう。
さて、これを調べるにあたって、副産物的にまた別の問題が出て来ました。それはTwitterにおける相互リンクにおける問題。しかし長くなったのでこれはまた日を改めて。
更に続報(2018/9/26)。逮捕。