空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

カルト的と言われる『愛知小型エレベーター』のCMを真面目に評価してみる

最近、コンビニで売っているような知識系の本の数項目を書くというお仕事をたまに頂いているために(←のとこ参照)、自分がコンビニ行ってもその手のものに注目が行くようになりました。で、近所のコンビニは何故か死刑囚実録とか日本犯罪史とかのばっかり入荷するのである意味親近感を覚えたりするようになりました。で、その中でこういうのを買ってきました。

で、内容は「コンビニでよく売れたなあ(まあ実話ナックルズとか売ってるしアリか)」などと思った感じ。パクリ映画からトラウマCM、放映禁止映画や放送事故、回収CDやゲーム、はては残酷映像(モザイクあり)などもある感じ(その手のが苦手な方は読まない方がいいかも)。今まで発行された同種の本のネタとの被りやネットで有名なネタも多いですが、私が知らなかったものも多いので、読みながら検索かけて動画があったらそれを見るという感じで楽しみました。
さて、この中の『トラウマ編』の項でCMがいくつか紹介してあったのですが、その中に『愛知小型エレベーター』のCMというのがありました。

愛知小型エレベーターCM
前にちらっと見たことがあったのですが、どうやら愛知では有名なもののようです。ちなみにTimestepsのほうでは東京近県のみで有名だったCMについて書きましたので。
timesteps.net

さてこのCM一見すごくシュールなものに見えますが、実はCMとしてかなりよく出来ているのではないかと思えるのです。ちょっとそのあたりのことをネタ混じりで語ってみようと思います。

強烈なインパクト

これは誰もが思う利点ですね。つまりシュールさを前面に出すことでインパクトを残すと。なんかこのCMで苦情の電話が会社にかかるらしいですが、それで許せないくらい不快、という人は少数ではないかと。

きちんと自社製品のアピールをしている

実は、このCMをよく見ていると、ちゃんと製品紹介をわかりやすくしているのですよね。仮装の人間があまりにシュールなのでそっちに目がいきがちですが、実は背後では自社製品と思われるエレベーターが動いています。それは段差ある小型のエレベータに乗って昇降するものですが、リフトだったり椅子が最上部で回転するなど、短い時間に4つの製品を紹介しています。これを見てそんな大会社ではないと思われる『愛知小型エレベーター製造(株)がどんなものを作っているかがわかります。

さらに後半のはその意味でさらによく出来ていて、階段らしきところをチンドン屋の老人に仮装した人が点滅しながら昇降しますが、これを見ると、小型エレベーターの用途がわかります。つまり老人など階段の昇降が難しい人がいる家庭に取り付けられる小型のエレベーターということが、全く会社概要を知らない人でもわかるという感じ。前述のインパクトとあわせて、事業内容が刷り込まれやすいと考えます。

会社名連呼

これ、後半のは「愛知小型エレベーター」を調子の外れた節で連呼していますが、これは実はCMとして効果的な手法と思われます。そして昔からこの「商品連呼」はCMで使われてきました。有名なのは現慶大教授の佐藤雅彦氏が電通時代に作成したコイケヤなどのCMですね。

コイケヤ「スコーン」

コイケヤ「ドンタコス」
余談ですが、2本目のドンタコスの後ろの人は、わざと下手な人を使って引っかかりを出したということを佐藤氏が前にテレビで言っていました。

まとめ

でも実際、商品連呼をCMに上手い形で使うというのは難しいのではないかと思います。それは下手をすると不自然で鼻につくものになってしまうので。そこで商品連呼を不自然ではない形で表現する必要があります。で、その方法として「リズムに乗せてしまう」という方法がありますが、それを調子の外れた音という変化球でやったのがこの『愛知小型エレベーター』なのではと思ったりするのです。

つか、誰がこのCMを考えたのか知りませんが、そういった意味ではかなりCMの制作センスのある人じゃないかと思ったりするのです。だけど会社として起用するのにはかなり勇気があったとは思いますが、調べてみたらその愛知小型エレベーター製造のホームページで、最初に書いた雑誌で掲載されたことが紹介されている辺り、そのあたりのノリがよいのかなと。

でも、東京ローカルのCMでも、地方の人に見せたらインパクトのあるものってのも何かあるかもしれませんね。最近見ていないけど十仁病院は関西ローカルのはぎや整形とバトルさせられそう。

十仁病院

はぎや整形CM