空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

サークルチケット転売問題とかコミケ出禁あたりについての話

 コミックマーケット公式において、サークルチケット転売によりサークルの名前が公表、そしていわゆる「出禁」扱いになったことが話題となっております。

出展サークル専用通行証のネットオークションへの出品を行ったサークルの参加お断りについて

f:id:nakakzs:20171013142259p:plain

 

滅多にないコミケ出禁

私の記憶にある以上、コミケの歴史上、いわゆる「出禁」扱いにされた人はほとんどないので、それだけ思い切った行為ということになります。

今まで公式に「出禁」と表明されたのは米沢代表時代に反コミケで犯罪予告をしたサークル(これはカタログのコメントでそうした旨を書いてあった)くらい。

※2015/8/16追記。あと沖縄リゾコミで成年誌を地元教育委員会に送りつけ妨害したというサークルが出禁になっているとはよく聞きますが、これは上の犯罪予告サークルと同じかな? 2000年当時の資料を調べないといけなさそうですが。

 

あとは問題行為が多発(遅延、準備会への搬入企業登録料未払い)した印刷会社くらいでしょうか。

有限会社木内印刷の搬入企業登録をお断りすることについての告知

ちなみにどうもここは倒産しているらしい。検索すると同名の印刷会社は出てくるけど、住所が全然違うので、おそらく別物と思われます(コミケから通達出てないし)。

 

そもそも出禁というのは先の例のように公表されない限りは、あるのかどうかわかりにくいのですよね。噂されているところでは、去年ニコニコ生放送界隈でいろいろあったそうで、その際にコミケから「頒布方法違反(認められていない販売方法の強行)」として警告が行ったサークルの例があり、その後のコミケで落選したようですが、本当に出禁なのかは少なくとも3回申し込まないとわかりません(抽選漏れで過去2回落選した場合、絶対ではないものの3回目の当選はいくらか優遇される。故に3連落選は理由がない限りはあまりないはず←追記)。

 

あと、かつてサークルに襲撃予告をし、盗聴をした人物がいた事例があります。

6・30アキハバラ解放デモ主催によるコミケテロ まとめ - トップページ

これも当日以降の動向は不明なので、よくわかりません。それ以前にコミケで放火騒動を起こした人もいるのですが、そっちも同じく。

※2015/8/16 C88帰りの補足。前者のアキハバラデモからの騒動においてはこんなの見つけたので一応。厳密な意味では出禁ではないようですが、あとは以下を。

アレのアレな話 - Togetterまとめ

 

ちなみに『黒子のバスケ』で脅迫をして、過去最大級の問題を起こした人も、出所後はどうなるのかというのは少し気になるところ。それ以前にこの事件においては損害賠償とかどうなるのかのほうが気になりますが。

あとちょっと違いますが、企業ブースであまりにも問題対応(主に混雑対策面)を起こしたことで、一定期間の当選漏れを起こしたというのも聞いたことはありますが(これれも公表されているわけではないので、あくまで噂レベルです)、頒布方法や混対ミスなどでの1~2回のペナ的な可能性まで入れると、無限に広がりそうなのでそこは割愛します(混在問題を過去最大級にやったサークルの人もその後出ていますし)。

 

※2015/8/16追記。この機会なので書いておきますが、2ちゃんなどで出てくる、某有名な同人アドベンチャーゲームの作家が出禁を喰らったというのがコピペで流れますが、これはその告知もなければ後に出ているわけで、デマと言い切ってよいでしょう。

 

つまるところ、何か問題が生じたとしても、「出禁」が公表される事ことは滅多になかったわけで、それがどれだけ重大かということがわかります。

 

何故サークルチケット転売に厳しい処分を科したのか

では何故、サークルチケット転売にここまで厳しい処分を科したのか、ということになります。

ここからは明確に公表されているわけではないので、一般的に言われていることのほかに私の推測が入りますのでご注意ください。

 

「ダミーサークル」の与える影響

まず、サークルチケット転売という行為が、コミケの秩序を大幅に崩す可能性があること。

サークルの参加費は約1万円ですが、サークルチケットはそれ以上になってしまっています。これはもちろんサークルチケット転売を禁止しているため、ほとんどのサークルがそれをしないために供給量に対して大幅に需要が上回り、値段が高騰するという皮肉な結果にもなっています。

となると、これを放置してしまうと、チケット販売のためにサークル参加申し込みをする、という事態が生まれかねません。そうするといわゆるチケット目当てで、当日何も販売しない、もしくは間に合わせのものしか用意しない「ダミーサークル」が当選してしまい、その分普通のサークルが落選してしまうことになりかねません。

現在でもジャンルによっては落選率が高まっている傾向があるので、チケットに価値を持たせてこのようなダミーサークルを急増させてしまうと、落選サークルの不満が溜まるだけにとどまらず、コミケがダミーサークルだらけの空洞化するという危険性があります。故にそれだけこのようなダミーサークルを生み出すようなものに対して厳しく当たっていますが、そのうち最も悪質で危険性の高いチケット転売には更に厳しい処置がなされたという可能性は高いです。

 

ちなみに「ダミーサークル」は、チケット転売目当ての他に、同人を一刻も早く買って、且つスペースを荷物置き場にするために、仲間内でそれを配るというものも存在します。まあそういうのに対しては露骨であれば周りのサークルにはすぐにわかって、アンケートで通報されることも多いようですが、普通に行われるサークルメンバー内での代理購入と見分けがつきにくいのでそれと混同されてしまう危険性もあり、対処が難しい例でもあります。

 

オークション・取引サイトが対応してくれないが故

以前から準備会はこういったチケット転売についてかなり危惧をして、カタログなどでの呼びかけや個別警告などを行ってきました。本来はヤフオクのほうで止めて違反物件として止めてもらいたいし、そう依頼しているけど、なかなか対応してくれないという愚痴も、毎回出されている警告で何度も目にしています。故にこちらで可能な限りの対処するしかない、ということでしょう。

コミックマーケット88出展サークル専用通行証・サークル駐車券のネットオークション等への出品・募集行為について

まあちょっと検索かけてみましたが、これでも出品したままになっている事例があるのは、神経図太いなあと(もしくはサークル申し込み自体使い捨てか)。

 

チケットが金銭的利益を持つことによる危険性

さて、ここからは自分の推測になりますが、もうひとつチケットが転売されることが横行することによる重大な問題があります。

昭和の時代、「ダフ屋問題」というものがありました。これは値上がりしそうなチケットを購入して、それを売れそうな会場の前で高額転売する行為「券ないか、券買うよ」のかけ声で有名で、主に野球場やコンサート会場のあたりで現われてしました。

これが問題になったのは、その資金がいわゆる暴力団などの資金源に繋がっていたということ。それにより警察の取り締まりが強化され、各会場には「ダフ行為禁止」の看板も掲げられたりしています。

今では各会場での取り締まりで数が減少しましたし、合ったものもほとんどネットに潜ってしまったのですが、どちらにも存在自体はするようです。

ポール・マッカートニーのチケット「転売」で逮捕・・・なぜ「ダフ屋」は違法なのか?|弁護士ドットコムニュース

ちなみに検挙事由は東京都迷惑防止条例違反。

 

おそらくは、これがサークルチケットにまで踏み込んでくることをかなり危惧しているのではないでしょうか。

もしこれらが広まってしまうと、コミックマーケットのチケットが迷惑行為になっていると見なされる可能性があるだけではなく、反社会組織の資金源と見なされた場合、会場の貸し出し問題にもつながりかねません。そして極論、偽造サークルチケットまで生まれかねません。まあサークルチケットが特殊印刷が混じり、それができるまともな印刷所はそんなものを引き受けないでしょうし、同じようなものを作るのはかなり困難でしょうが。ちなみにカラーコピーでも同じものは出来ない特殊印刷となっています。なんか他にも工夫が隠れてそうな気もしますが。

ともあれそんなことになると、コミケというイベント自体も開催が難しくなってしまう可能性も出てきます。おそらくこの危険性を察知し、前もってそうならないようにしているのでは、という可能性も高いでしょう。

 

これは別にコミケに限らず、入場券にプレミアがつくような人気イベント及びその会場では、同様の理由で転売行為に対してピリピリしており、厳しい転売対策がとられていると推測できます。

■参考:顔認証、チケットアプリ…「転売対策」最前線 | R25スマホ情報局

 

探られる対策

ではその防止のためにどうしたらいいのか、というのは今までかなり論じられてきました。一時期は1サークルに原則3枚配られているサークルチケットを2枚にするかというアンケートも採られていたようですが、本来「サークル」なので複数人数のところは珍しくなく、さらに売り子などの都合などで3枚要するという意見が多かったようで、見送られています(逆に自分のように毎回一枚しか使わないところもあるのだけど。残りのチケットは記念品としてストック)。

あと、昔はその例外でチケットを混雑対策などで手に入れるところから流れているという噂もありましたが(これもまた証明がないのであくまで都市伝説レベルを出ないのですが)、今そんなところから転売しても一発でバレると思います。

ともあれ、本来のサークルが使う使用方法と、そのイレギュラーとの間で問題が生じている感じですね。まあそれが金銭的対価となり得るほどの価値を持ってしまう以上、どうしてもどこからか漏れが出てきてしまい、いたちごっこになりかねないのでしょうが。

 

まとめ

ともあれ、前例がほとんどない公表に踏み切るくらいコミケ準備会がチケット転売については問題視していることがわかります。ともあれ、今回の好評でそれが著しく減るか、それともいろいろなリスクを背負ってまでそんなふうにチケットを売る人がまだ出るか(特に供給量が下がって価値が増してしまった場合などに)が今後の注目でしょう。

 

最後にそれでもチケットを買おうとしている人がいるとしたら。高値を出して購入しても売る方にはこのようなバレ&公表のリスクが大きいわけで(ちなみに現在のチケットはサークル名のみならず実名が書いてあります)、そうなると普通のチケットを送ってくる保証はあるでしょうか。これは他のチケットオークション取引にもありますが、送ってこないとか、ヤフオク文面を工夫して去年のを送ってくるとか、十分ありそうですし。そのようなリスクを大いに考えたほうがよいでしょう。

■参考:サークルチケット譲渡・代行トラブルについて - Togetterまとめ

 

追記

「コミケ サークルチケット」でググルと一番上に出てくるのがこれっていうので、もうなんだか最近のGoogleの検索表示能力を疑うレベル。こういういかにもアレなサイトに書いてある事に騙されちゃってる人もいるのかなあと。

同人誌とコミケの転売で稼ぐ | サークルチケットを使った裏技