今回の著作権法改正(ダウンロード違法化)についてちょっとまとめてみた

このようなニュースが。

著作権改正法案が衆議院で可決、「ダウンロード違法化」など

つまり上のリンク先で書いてあるように「ダウンロード違法化」を含む著作権改正法案が衆院で通過し、参院でも通過の見通し、そして来年に施行されそうだということです。

さて、この、「ダウンロード違法化」、ことあるごとにネット上でいろいろ話題とはなっていましたが、どうも部分的なところばかりだったので、全体像がよくわからなかったのですよね。というわけでこの機会にちょっと検索していろいろ調べてみました。

ただ、自分でも細かい部分がわからなかったのを自力で調べてまとめたのでいろいろアラがあるかもしれません(というか確実にあると思う)。その点はご容赦下さい。本当は津田大介さんあたりが詳細解説でもしてくれたほうが詳しく確実なのでしょうが、今のところまとまったものがみつからなかったのでそれ待ちということで。

今回改正されるのはどういうもの?

これは「ダウンロード違法化」含め主に3つあります。

違法な著作物の流通阻止

これがいわゆるダウンロード違法化。著作権法では著作権法第30条に「私的使用のための複製」という項目があり、自分の範囲内で利用するのはOKとなっています。テレビの録画やCDからの音楽取り込みもその範囲内ですね。ここによると現在では他人の著作物を無許諾でアップロードするのは違法ですが、ダウンロードするのは違法ではなく、ここの範囲に含まれています。よってここの除外項目に、「違法配信されている音楽・映像を違法と知りつつダウンロードする行為」というのを追加するということ。するとその違法配信されている音楽・映像を違法と知っていて音楽、映像をダウンロードした場合、違法となります。ただし罰則はありません(これについては後述)。
あと、海賊版DVDなどを違法複製物であると知りつつネットオークションなどに出品する行為が禁止されました。こちらは罰則有りで5年以下の懲役もくしは500万円以下の罰金となります。

今一番話題となっているのはこのダウンロード違法化だと思うので、以下ではこれについて詳しく書くことにします。

インターネット等を活用した著作物利用の円滑化を図るための処置

ストリーミング配信におけるキャッシュや、検索エンジンが行うコンテンツの複製などについて、必要と認められる限度においては、権利者の許諾を必要としないことを明文化。たとえば著作権者がわからない時のネットでの利用についても円滑化できることとなるようです。さらに、今までグレーだった検索エンジンでのキャッシュを合法として、検索エンジン事業者が国内にサーバを置くことを可能とするということです。
あと、国立国会図書館での所蔵資料の電子化も規定されています。

障害者の情報利用の機会の確保

障害者のために無許諾で行える著作物の利用範囲を拡大する。録音図書や映像に対する字幕・手話の付加などについても、権利者の許諾なしに行えるなど。今回目立ってませんが、個人的にはわりと画期的なものだと思います。つまり家から出られない障害者の人のために、パソコン上で電子図書館とかできるようになるかもしれませんし。

施行時期は?

2010年の1月1日から。

法律制定の経緯は?

これは長くなるので、以下のところを。

津田大介さんに聞く(前編):「ダウンロード違法化」のなぜ ユーザーへの影響は (1/3) – ITmedia News

津田大介さんに聞く(後編):「ダウンロード違法」の動き、反対の声を届けるには (1/4) – ITmedia News

ASCII.jp:ダウンロード違法化が「延期」していたワケ

ダウンロード違法化 とは:ITpro

これらによると、主な要因としてはレコード業界などの著作権者が文化庁に強く要請したためと思われます。理由はこれから軸になる着うたなどの音楽配信ビジネスにおいて、違法アップロードされたものをダウンロードされると、収益に大きなダメージが与えられるからだと考えられます。

罰則は?

さて、違法化とは書いてありますが、罰則に関する規定はありません。つまり刑事的には現状では罰則はないです。今回の制定範囲での一番の目的は、「ダウンロードは違法」とユーザーにアピールすることと言われています。しかし、民事的にはどうなるかは不明です。「違法化」を根拠として民事訴訟を権利者から申し立てられるケースがあるかもしれません。海外では権利者団体のRIAAがユーザーに訴訟を起こす事件が事件が何度も起きています。

■参考:『なぜRIAAは非難されるのか』:RIAAとP2Pファイル共有訴訟のこれまで :P2Pとかその辺のお話

現実的には「違法と知りつつ」の立証義務が権利者側にあるので、訴訟は難しいのではとも言われてますが、これは実際の経過を見るしかありません。

ただ、海賊版DVDなどを違法複製物であると知りつつネットオークションなどに出品する行為のほうには前述の様に罰則があります(5年以下の懲役もくしは500万円以下の罰金または併科)。

YouTubeなどストリーミングはどうなるの?

現行では、YouTubeやニコニコ動画などのストリーミングで形成される「キャッシュファイル」は一時的複製として違法対象から外れるということ。しかし、これもキャッシュフォルダにDLしているわけで、そこだけ違法とならないならそれを利用したものが出てくる可能性も現れるわけでザルになるとも言えます。逆にストリーミングしたデータをそのまま変換してローカルにおけるものというのは各動画サービスに非公認ながら存在していますが、それを使ったときにはどうなるのかは不明です(キャッシュを変換しているのでダウンロード時点では違法ではないとも言えるし、)。

問題点&これからの争点は?

実効性は?

あちこちの文章を読んでいると、今回の規定だけでは罰則がないので、「違法だ!」と権利者がプロパガンダするだけの効力しかないとあります。あと、民事訴訟でも「違法と知って」のところの立証が難しいかもしれませんし(そうなるとP2Pの使用=違法と知っていたかどうかが争点となるかも)。個人的な予想としてはもうワンアクションかける感じがします。それは違法アップロード者を逮捕して、そこから「違法DLも調査中&訴訟を検討」という感じで警告をかけるとか(あくまで予想ですが)。もしかしたら訴訟を実際に行う可能性もあるかもしれません。

どこからが「違法と知りつつ」と認められる範囲なのか。

これが一番言われていたこと。現代の科学では個人の意思を他のものが明確にわかることはできません。つまりどこからどこまでが「違法と知りつつ」なのかというのが曖昧で、慎重すぎると実効性がなくなる、拡大すると本当に知らなかった人まで違法対象となってしまうということになりかねません。
これに対して判別のための「適法マーク」を推進するとのことですが、それならインディースや同人のオリジナル配布音楽などはどうするのか、また適法マークが偽装されたらどうするのかなどが問題として出てきます。

架空請求

これは現在でもすでに起きています。すなわち「私は権利者団体です。あなたは著作権違反をしたので訴訟を起こします。起こされたくない場合は○○に金を振り込んで下さい」という詐欺。アダルトサイト閲覧の著作権版ですね。この手の詐欺では実際にはそういう行為をしていなくても、被害妄想的に判断して、つい金を振り込むケースが多いようです(1万とか少額の場合はなおさら)。しかし一度ひっかかると「詐欺のカモリスト」に入って次の被害を生み出す可能性も考えられます。これについては警戒しなければなりません。

そのうち適用範囲が広がらないか

そして最大の問題とされているのが、これが画像や動画、さらに「違法と知りつつ」を有無を問わずに変わっていくのではという可能性ですね。さらに前述した様に、ストリーミングでの対応も変わってくる可能性は否定できません。この場合大幅な表現規制にもつながり、表現の自由を大きく侵害する可能性もあります。

■参考:違法コンテンツのダウンロードが“罪”になる

疑問点

自分でもよくわからないところをひとつ。対象は音楽と動画ということですが、では、これの形態が変化したもの、すなわちアーカイブされた動画や音楽、RAR分割ファイルなどひと昔前にあったような分離されたデータ、偽装データなどは違法の対象になるのかということ。これが認められれば、すなわちアーカイブした音楽や動画を含んでいるゲームなども対象になる可能性があります。反面認められないと、アーカイブして配信できてしまうわけですから、事実上この法律自体がザルになるでしょう。
このあたり、どこまで適用になるのかが謎です。

ほか、気になるところ

最初のリンク先でこのような文章がありました。

また、改正本案には、違法と知らずにダウンロードした利用者に不利益が生じないよう留意することや、合法サイトを示す「識別マーク」の普及を促進すること、私的録音録画補償金制度や著作権保護期間の見直しなどについて早期に適切な結論を得ることなど7項目の附帯決議が付され、12日の衆議院本会議で全会一致で可決された。

ここの附帯決議が付された「私的録音録画補償金制度や著作権保護期間の見直し」というところが気になります。私的録音録画補償金制度はおそらくHDDやiPod課金ですね。現行の著作権保護期間の50年が、アメリカの様に延長される可能性などがあるのでしょうか。今後も注目してゆきたいと思います。

おまけ・著作権法違反の非親告罪化

今回は対象になっていませんが、この手の著作権法で改正問題では「著作権法違反の非親告罪化」というのがあります。これは簡単に言うと、現在親告罪、すなわち著作権者が告訴をしない限り公訴できないという規定(親告罪)を告訴がなくても公訴できるようにするというものですが、これには反対意見が相次いでいるため、現在では見送られています。ただ、状況の推移次第で変化があるので今後も注目です。

■参考:著作権法 – Wikipedia
■参考:親告罪 – Wikipedia

まとめ

まあこんなところでしょうか。でもこれも予測でしかなく、実際に始まってみないとわからない点が多いのですよね(だからこそ危険視されていたのでしょうが)。たしかに権利者の権利を大きく侵害するような行為、たとえばその製品(動画や音楽だけではなく、ゲームや本のスキャンも)をそのままP2Pやサイトにあげてしまう行為等はなくなるべきだとは思いますが、ここと前述の様な問題、主に表現の自由やユーザーの利便性とのバランス調整がこれから大切になってくると思います。

おそらくは急激に変わるものではないとは思いますが、経緯は見守っていかなければいけないでしょう。

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