この前、こんなのを書きました。
実は、ここでは長くなるので書かなかったのですが、もうひとつ「携帯電話にワンセグはいらない」と思っている理由があります。それはワンセグを持つことによって、受信料の徴収対象となる可能性が出てくるから。
受信料は言わずもがな、日本放送協会(NHK)がテレビの視聴契約者から徴収するものです。しかしこれについてはNHKを見ているか見ないかにかかわらず契約を結ぶと一定金額をとられること、またテレビを持っていてもその受信契約自体をしなくても特に罰則などなく、払う人と払わない人の間に不公平が生じていること、勧誘員が何かと迷惑と感じられる自宅訪問をすること等々、様々な疑問点や問題点が浮かび上がることが多いです。また徴収対象が個人やテレビごとではなく、世帯ごとということも、現代の様々な生活状況においては、かなり曖昧なものになってしまっています。
おそらくこれは、テレビ放送が始まった昭和初期の運営方法がそのまま続いてしまっていることによるのも問題だと思われます。つまり「家は3世代同居」「テレビは一家に一台、居間に存在」的な状況ですね。しかし現代においては核家族化や一人暮らしも多く、そしてテレビの視聴形態自体も自分に部屋に置いたりパソコンで見たりと様々な形態が考えられます。そんな状況において現在の受信料制度というのはかなり無理が生じているとは思いますが、それでもなんとかいろいろ調整してやってきたのではないかと。
しかし、もしかするとここ5年くらい後に、その制度について大きな騒ぎになるのではないかと、先のワンセグつきケータイを見て思ったわけです。
さて、今まで受信料制度が機能していたのは「テレビは誰もが見る」という前提があったからだと思えます。つまり、テレビは必ず一家に一台はあり、見られる状況にあると。しかし現代においてその前提が崩れつつあります。その大きなきっかけとなるのがアナログ放送の終了。2011年7月には現行のアナログ放送のみ対応したテレビのままでは視聴が不可能になります。ただ、現在安価なテレビやチューナーが発売され、エコポイント制度にもデジタル対応テレビが含まれているため、入手を強く望む人の多くにはそれ以後も視聴可能でしょう。しかし「見ることが可能か」よりもっと大きな問題は、「見る気があるか」ということ。
以前、こんなのを書きました。
■参考:
nakamorikzs.net
ここでは、ワンルームマンションに住むような社会人は忙しく、まず家に滞在してテレビを見る時間がない。よって最初からテレビを持たなくなるのではないか、という予想です。つまり、現代においてテレビは必ずしも必要なアイテムではなくなっているのではないかと思うのですね。今期、テレビ局の収益が大幅に低下したみたいですが、これは契機の影響が強いので全部ではありませんが、よく言われる「若者のテレビ離れ」も原因のひとつにあるのではないでしょうか。
受信料の話に戻りますと、もしテレビがないということになると、それは受信料が徴収できなくなるばかりではなく、受信料制度の根本にもかかわってくるのです。今まではテレビがあるのに受信料を払っていない人はいましたが、放送法の規定に受信料のそれがある以上、罰則はないけど払っていない視聴者が悪いと言うことが出来ました。しかし、実際固定テレビはなくなってくるとしたら、その根拠自体がなくなります。そして徴収できなくなるということは、当然NHKの収入にかかわります。
そしてもし、その収入問題が顕在化した場合にすでに出てきているのが「受信料義務化」。そしてもうひとつ出てくる可能性が高いのが「ワンセグ機能からの受信料課金」という問題ではないかと。
「受信料義務化」はすでに検討され、今でもたまにニュースで流れますね。しかし、これは国民側の大反発が予想されます。個人(主に払っていない人)から見れば増税みたいなものですから。実際見送られたのも、現状の値段で義務化をすると大反発を喰らうという判断からのようですし、決まるまでには時間がかかるでしょう。
■総務省、NHK番組アーカイブの配信は2008年から。受信料義務化も検討
ただ、たとえこの受信料義務化が決まったとしても、問題はもうひとつあります。というのはテレビを所有していないと受信料が取れないということ。さすがに法律でも、テレビを見ていない人から受信料を取ることになれば大反発を喰らうことになるでしょう。そうなると事実上の月1000円くらいの増税になりますから。となると、テレビを置かなくなる人も出てくるのではないでしょうか。
しかし、ここで出てくるのが携帯電話のワンセグ。現在の携帯電話には、ワンセグがほぼ標準でついています。そして現在の携帯電話の成人普及率は9割を超え、国民の多くが所有しています。となると、このまま携帯電話にワンセグ搭載が当たり前となると、携帯電話の所有イコール受信料徴収の対象となり、たとえテレビを見ていなくても受信料徴収の対象となってしまわないでしょうか。すなわちテレビを強制的に持たされているという状態になってしまうので。
ちなみに、NHKはワンセグにも受信料がかかると主張しています。コレに基づくと見るとすでに家で契約している場合は必要ないですが、契約しておらずワンセグ携帯を買った時には、必要ということになります。
ちなみに最近ワンセグがあるのは携帯だけではないので、そこでも問題が生じる可能性があります。
■参考:携帯ゲームのワンセグチューナーで受信料が取られることになるのか | ゲームミュージックなブログ
しかしこれらは事実上の携帯料金負担増となるので、大反発が起きることが想像できます。特にワンセグ機能を使用していない人は特に。そしてそれが顕在化するのが、アナログ放送が終了し、家のテレビを見なくなる人が増える、すなわち家での受信契約が減少する可能性がある5年後くらいではないかと。もしかしたら受信料義務化とセットで、携帯の契約時にそのまま受信料聴取体勢を整えて、電話料金に加算するという仕組みが形成される可能性も全くないとは言えません。
テレビがなくなることはないと思いますし、NHKも公共放送として必要だと思います。ただ、iモードのコンテンツが月額315円のものが多い昨今、月額実質1000円(衛星を加えるとそれ以上)は高いと感じますし、それ以前に見ていない人、見る意思のない人から選択権なくとるのはどうかと思えます。
個人的な考えとしては、現在の受信料とその徴収体制が根本から無理が来ているのではないかと思うのです。個人的に受信料制度や著作権制度というのは、情報技術媒体の発展において逐一変化するものなのに、その制度自体が法律の関係もあって明らかについていっていないと思うのですね。よって、このように生活や技術形態が変わったときにひずみが出来ると。なので大切なのは、未知の技術が普及しても、ちゃんと無理がなく双方が納得できる形で修正が出来るシステムを作ることではないかと。