振り込め詐欺対策「だまされたふり作戦」について自分なりまとめ

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以下のようなニュースが最近多いです。

■時事ドットコム:振り込め詐欺未遂、男逮捕=受け渡し場所、機捜隊投入−神奈川県警 ※リンク切れ

このニュースを見てネットではいろいろな感想が出てきています。これはおとり捜査ではないのかとか、何でこのことを犯人に知らせるように発表するんだ、犯人が警戒して捕まえられなくなるじゃないか等。それについてちょいといろいろまとめてみました。ただし法律のプロでもない自分が自分で調べ、考えたものですので、間違っている可能性は多分にありますので、あくまで参考程度に(修正がありましたらコメントでもしていただけるとありがたいです)。

この「だまされたふり作戦」ってどういうもの?

■振り込め詐欺:「騙されたふり作戦」実施へ 神奈川県警 – 毎日jp(毎日新聞) ※リンク切れ

ここによると、

県警によると、県警職員約1万7000人や家族のほか、県警OB、防犯ボランティア団体にも協力を呼びかける。不審な電話を受けた際、相手の電話番号や現金の送り先、接触する日時、場所などを聞き出し、通報してもらう。捜査員が「お金が用意できた」などと容疑者側に電話をかけ、振込先の口座などを聞き出し、凍結することも想定している。

と書いてあります。つまり、大勢の県警関係者に協力を依頼する。で、その人達は当然普通の生活をするわけですが、もし万が一「振り込め詐欺」とおぼしきものに遭遇した時、相手の電話番号や現金の送り先、接触する日時、場所などを聞き出して通報。で、それによって捜査員が動くということみたいです。

で、実際に行われたのを見て見ると、
・犯人*1がその協力者である男性に「会社の金を使い込んだ。150万円を用意してくれ」と電話をかける。

・男性は通報、犯人の指示で現金をバイク便で運ぶよう指示。捜査員はバイク便のドライバーになりすますと同時に、受け取り現場で捜査員20人が待機。

・そこで待っていた受け取り人を逮捕。
ということみたいです。

これの効果は? そして何でわざわざ発表したの?

これの効果ですが、まず見ての通り実行役の一人を逮捕することが出来ました。ただし、この手の詐欺のパターンでは中心となる人物は表に出ず、関連性の薄い人を受け取り役、もしくは口座からの引き出し役といった実行役にすることが多いです。実際、逮捕された人のコメントを見ても「○○(知人ではない人)に頼まれてやった」というのがよく出てきていま。すつまりそれが逮捕されても逃げられるという「蜥蜴の尻尾切り」ですね(『クロサギ』で振り込め詐欺を扱った時もこのパターンでしたね)。ただ、それはおそらく織り込み済みで、ここからイモヅル式に中心人物にたどりつけるようにするのを狙っているのでは、と思われます。あと、少なくともこの実行役が使っていた電話番号や手法、振り込ませる場合は口座が使用不可能になるため、犯行側に損害を与えることが出来る可能性はあります。

そしてよく出てくる疑問「犯人を逮捕するためにはこの方法を黙っていた方がいいのに、何で発表したか」ですが、犯人逮捕の他に、「振り込め詐欺自体を起こさせない」というのが目的と思われます。つまりは「振り込め詐欺を行うと、中には警察がトラップを仕掛けている=逮捕される可能性がある」という心理を犯行側に働かせて、県下で振り込め詐欺の電話をかけさせないことが目的かと。つまりこの犯人逮捕の報道を大々的にしているのも、それが目的と思われます。で、振り込め詐欺の件数が減ればそれで効果があったことが実証されるという考えでしょう。

おとり捜査じゃないの?

よく、これは日本の場合一部を除いて禁止されているおとり捜査じゃないの?という疑問が出てきますが、ちょっと調べてみました。

おとり捜査 – Wikipedia

日本の判例において、おとり捜査は、捜査機関又はその依頼を受けた捜査協力者が、その身分や意図を相手方に秘して犯罪を実行するように働き掛け、相手方がこれに応じて犯罪の実行に出たところで現行犯逮捕等により検挙するもの、と定義される(最高裁判所平成16年7月12日決定刑集58巻5号333頁)

今回の場合、相手から犯罪意思のある電話をかけてきたということで、これの「犯罪を実行するように働き掛け」がないので、おとり捜査ではない、という見解が出来ると思われます。つまり警察や関係者が「振込詐欺やれ」と犯人をそそのかすような行動をしたらおとり捜査ですが、今回の場合はそれに該当しないという考え方ではないかと。ただ、もしかしたらこの点において今後裁判で争点になるかもしれませんが。

問題点

まず一番の問題点は、これが神奈川でしか行われていないということ。つまり「神奈川での振り込め詐欺を減らす」ということは出来るかもしれませんが、単純にほかの都道府県に振り込め詐欺グループが移動する可能性があります。まあ、それについては他の都道府県が同じ方法をとるかなど検討することになるでしょう。

さらに前述のように、逮捕される者は蜥蜴の尻尾切り的な人が多そうということ。受け取りだけ任された場合、犯行を知らない可能性もあります(これはすべての振り込め詐欺というか受け取り系の犯罪に言えますが)。このへん、高齢者に振り込め詐欺に引っかからないアピールをするだけではなく、こういった犯罪幇助の可能性があることを公知すべきかと(それでも仕事がない場合、やらざるを得ない状況は多いでしょうが)。
あとは法律的見地からなら、知らず知らずのうちに適用が拡大して「おとり捜査」になる危険性について警戒しなければいけないってこともあるかも。

とりあえず、これで多少なりとも効果があって、お金をだまし取られる被害者が減ればいいとは思います。まあおそらく詐欺をする人は次の手を考えてくるでしょうが、まあこういった犯罪ってのは昔からいたちごっこであり、その時には次の防犯手段を考えるしか手はないのかなあと。誰も我納得する上での完全な防犯対策なんてものがあれば、この世からその犯罪はなくなっているでしょうし。

■参考:振り込め詐欺のシステムを停滞させる方法をちょっと考えてみた – 空気を読まない中杜カズサ

*1:逮捕された人と同一人物とは限りませんし、一人とも限りません。

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