春は、1年の中でも悪徳商法が盛んになる時期でもあると思われます。理由は4月が新生活の始まりで、新環境の中で無知につけ込んで悪徳商法を仕掛けてくる人が多いから。大学での友人作り(サークルなど)に紛れ込んで悪徳商法や宗教の勧誘が入り込むケースも多々ありますね。とりあえず上京した人、新生活を始めた人は特に気をつけて下さいということで。
さて、私は幸運なことにそういったものに引っかかったことはありません。ただ、それらしき人に声をかけられたり妙な誘いが来たことはあります。例えば「絵の展示会に〜」といってハガキを出されたりとか*1、○○の海外懸賞が当たったとかいうダイレクトメールが届いたりとか。最近は届いたかどうかでさえ見ていませんがスパムメールとかにも大量にそういったものが混じっているかもしれませんね。
ただ、そういったものは基本的に相手をしないので、そこで終わってしまうことが多いです。だってそんな暇じゃないので(ただ、DMとかはおもろいからとってあるけど。あと電波系のチラシとかも)。まあこの手のものにそれなりの知識があるほとんどの人はそうではないでしょうか。しかしそれが故に、悪徳商法の細部がどんなものか実際に知ることはあまりありません。だからインターネット上の悪徳商法体験談というのは、わりと読まれるのかなと。まあ関わった本人は多くの場合不幸でしかないのですが(特に身内がマルチに引っかかったとかで巻き込まれた場合は特に)。
ただ、それが故にこういった体験談をインターネット上で書くことは、対策のためのデータとして貴重だと思います。で、私も思い出してみると、引っかからなかったにしても1つだけ、それらしきものに遭遇した経験があったので、書いてみようかなと。
数年前、私はとある会社で仕事をしていましたが、そこを辞めて新しく求職活動をしていた時のことです。時期にして2003年くらいでしょうか。でも、多忙からいきなり暇になったのでこれ幸いとあちこちを遊び回っていました。
で、ある日秋葉原に行った時のこと。俺コンハウス(当時)があるあたりで、パーツを見て回っていたら、「ああ、久しぶり」と50くらいのオッサンに声をかけられました。で、本人が言うには鈴木だか佐藤だかのありふれた名前で、同じ会社(同じ業界かも。このあたり記憶曖昧)にいたと名乗ってきました。で、この時はちょうど会社をやめたばかり。で、それなりに多くの人に会っていたので、まあ忘れている中でちょっとかかわりのあった人にこんな人いたかもしれないと思って、適当にあいづちを打っていました。ただ、どうも仕事のこととは関係ない世間話であり、「ん?」と思ってはいたのですが。まあとにかくそんないたかいないかわからないような知り合いに長々つきあう義理もないので、適当に理由を付けて別れました。
しかし、その後クレバリー方面に歩いて買い物をしていると、また店内でその人に会いました。で、「また会ったね」ってことで、再び話しかけてきました。で、なれなれしさが先ほどよりアップ。こっちはウザイと思いながら適当にあしらっていたわけですが、店の外に出た瞬間、何故か「最近どう?」と言われ、「こっちは好調だよ」財布の中身を見せつけられました。そこにあったのは札束。
私はここで「怪しい」と確信しました。当然私は金が嫌いなわけではありませんが、街中で頼んでもいない札束を見せてくる人をたとえ知り合いでも信用できるでしょうか。
ただ、そうわかると、この当時前述の様に無職ですごく暇だったのもあり、どんな話が出てくるかと適当につきあうことにしてみようと思いました(たぶん今だったらやらない。若かったのかもなあ……)。こちらが乗ったらしいとわかると、色々話してきて「君もこれに乗らないか?」「君だから教えてあげるよ」「貯金いくらあるの>」系のことを話し始め、こっちの個人情報もそれとなく聞き出そうとします。で、この時点では怪しいとわかっていたのでいい加減に答えておきました(もっとも無職当時なんで、貯金なんてもともとほとんどないけどね)。
で、この後「じゃあ、ちょっとそこの喫茶店でも寄って話そうか」となりましたが、ここで切り上げ時だな、と思いました。何故ならそういった空間に連れ込まれたら、たとえ喫茶店などでも脱出できにくいケースがあるのを知っていたので。そこで今までのなあなあな表情から一転、いぶかしい顔をして睨み付けると、そのオッサンは「あ、いそがしそうだね、それじゃあ」とそのまま去っていきました。まあこれはおそらく私が怖いとかいうのではなく、「こいつは怪しいことに気づいたな」というのがわかったら時間を無駄にせず他のカモを探すために去っていったのでしょう。
ちなみに、この睨みがきかず、逆ギレされることも想定していましたが、ここは秋葉原の街中、いくらでも離脱する手段はありました。最悪末広町の交番か万世橋警察まで行けばいいわけですし、携帯だって持っていましたから(逆に喫茶店に入ったらそういったセーフティゾーンから出てしまう環境になる可能性があったからこそ、ここで切り上げだな、と思ったわけですが)。
で、残念ながら特にそのオッサンの目的が何も知ることが出来ず、しかも検索しても当時の秋葉原で同じような目にあった人が出てこなかったため、「悪徳商法系のものだな」ということだけはわかっていても、どんなものだったかは不明で、ずっと忘れていました。
しかし、先日ふとコンビニで買った『怪しい商品ぜんぶ買って試した Vol.2』ってコンビニ本を読んでいたら、途中までが同じ手口で、しかも引っかかってしまった人のレポートマンガが載っていたからなのですよね。
それによると、これは『コーチ屋』の一種で、手口は以下の通り。
1・まず路上で誰かに話しかける(ここでは勘違いで話しかけたということになっている)
2・札束を見せて自分も儲けさせてくれる様に言う。
3・この後喫茶店に誘い込み、ここでサクラを登場させる。
4・サクラに確実に当選するという「イカサマ競馬」のことをこっそり語らせ、「うっかり話したならしょうがない、君も黙っているなら乗らせてあげよう」と言う。
5・で、金をだまし取るが、馬券は実際には購入されていない。ちなみに馬券の実物を見せてもいない様子。
6・で、、次のチャンスを掴んで欲しいと言い、金がないというと金を貸し付ける。
7・しかしまた外す。正確には外したふりをするがそもそも馬券は買っていない。
8・で、後日その借金を振り込ませる。ただ、実際は損をしていないので、振り込んだ金がそのままコーチ屋のもとに。
つまり私の場合2までを実行され、3に失敗して離脱したというところでしょうか。ちなみに本に載っていた例は大宮ですが、パソコンショップに来た人をターゲットにしていることから、同一人物である可能性もあります。
しかし『コーチ屋』というもの自体はその当時から知っていましたが、てっきり競馬場やウインズなどに現れて、大穴馬券を教えて買わせ、万が一当たったら恐喝まがいで金を請求する手口かと思っていたので、秋葉原で誘うこんな方法もあったのかとちょっと驚きました。
■参考:コーチ屋 - Wikipedia
でも見てみれば引っかかった方がバカに見える詐欺ですが、これは「人間関係を構築して離脱しにくい」作りになっているみたいなのですよね。気が弱く断り切れない人で、且つそれなりの物欲がある人なら引っかかるかもしれません。私も第1段階の話しかけてなあなあで対応していた時点では気づかなかったわけですし。まあこれ以降は知らない相手に話しかけられた時は適当に流すのをやめて、ちゃんと「大変失礼ですがどちら様でしょうか」と聞こうと意識するようにはなりました(ただ、これ以降は記憶にない相手に話しかけられることがなかったですが)。
こう考えると新手の詐欺とか悪徳商法ってのは常に生まれているものだなあと。常日頃から警戒するのは難しいかもしれませんが、儲け話とかをもちかけてくる人には「じゃあ何でアンタが私の分儲けようとしないのか」というツッコミ心理を常に持っておいたほうがよいでしょうね。とりあえず、都市部でなれなれしくしてきた上、札束を頼んでもいないのに見せてくる人は怪しいと思えということで。
*1:最近は受け取らないし、ふと受け取ってしまって「絵の展示会に〜」と言われたら、そのままハガキを突っ返す様にしています。