空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

違法アップロードによる被害は、DL数と関係ないところにもあるのではないかと思う話

このようなエントリーが。

エロ漫画(同人)をアップロードしまくってる知人がいるんだが
「勘弁してください」と言っているのにやめない(情報元:駄文にゅうすさん)

もうね。なんだかね。
しかしつくづく思うのですが、こういう人たちって何のためにファイルをばらまくのでしょうね。よく言われているのは、これをアップロードすることによって「神」扱いされることで気分がよくなると言いますが、そのマインドは万引きをして勇者扱いされている小学生と大差ないような気がします。

さて、この手のもので、アップロードする側(もしくはその利益を享受する側)の言い分として、「これを広めることで、結果的に認知度のアップ、ひいては売り上げのアップに繋がっている」というものがあります。一見してみると、詭弁も甚だしく聞こえますが、真面目に考えてみましょう。これは本当か。答え、そんなの現在得られるデータでは証明しようがありません。たしかに盛り上がっているものもあるかもしれませんが、違法アップロードで話題になるようなコンテンツなら、それがなくても盛り上がる力はあったと思うので(ごく一部例外もあると思いますが)。ついでに違法アップロードをすることによって、ものによっては「広告のタイミング」というものを奪っているとも言えるのですが、それはまたの機会に。

しかし当然、そんな言い分とは逆にデメリットも存在します。それはもちろんダウンロードによって、買われる数が減る。これに対してはよく「違法ダウンロードをする人は、もともと購入する意思のない人だった」という反論がなされます。正直、私もダウンロードされた数=買われるはずだった数とは思いません(裁判では、しっかりその数で損害賠償されるでしょうが)。しかし、実はアップロードされたファイルのダウンロード数がゼロでも、そして本来買わない人だけがダウンロードをしたとしても、その著作権者や業界に対してダメージを与える可能性は大きいのです。それは「出資」という要素において。

たとえば貴方が金を持っていて、あるコンテンツに投資するとします。別にこれは株主とかではなく、制作会社の社長でも、極論同人の個人制作者でも同じでしょう。もし、その業界で違法ファイルが流通している場合、無条件で出資をしたいと思いますか? ということです。よく、中国などではコピーが日常茶飯事で、コピーしたソフトが町中でも平気で売られていると言います。さて、自分が出資者だとして、その市場に新しいソフトを投入したいと思いますか? つまりはそれと似たようなもので、今、P2Pでファイルが流れるものの業界が、そういう市場だと外部からは見なされはじめているのではないかと。

それに反論するには、違法ファイルの流通と売り上げの因果関係がない、もしくは薄いことを証明しなければいけないでしょうが、それが現在のデータで出来る人ははたしているでしょうか? そう、前述の違法ファイルで売り上げが増えているという言い分を証明できないように、こちらも証明できないのです。しかし、「違法ダウンロードが横行している」というのは、市場としてプラスファクターにはならないでしょう。つまり、ダウンロードの数にかかわらず、そうした資金を出す人(個人制作者)がその業界に対して「違法ファイルが蔓延しているために、儲けにならない」と判断されることにより、業界はその出資、ひいては製作機会を失っていると言えるのではないでしょうか。

もちろん、その業界への愛情で創作をしている人も大勢います。しかし人間、食えなければどうしようもありません。つまり出資する人がいなくなれば、そこで作り続けることは出来なくなります。故に、新たにおもしろいものが生まれる可能性を知らず知らずのうちに奪っているとも言えるのではないかと。

たしかに、上の言い分も証明は難しいでしょう。しかし、「違法アップロードで売り上げが広まる」よりはよほど説得力があると思うのですが。このへん、各コンテンツに出資している人に聞いてみたいですね。


つまり結論は、P2Pとかにそういった著作権違法ファイルを流すのはやめましょうということ。それは上のように、その産業を崩壊まではいかなくても縮小に追いやるか、自分がある日ある時先のリンク先のように賠償請求をされるか、もしくはいきなりこの状況を根拠にして、違法物ダウンロードだけで触法行為となるように法を変えられてしまうかのどれか、もしくは全部を引き起こす可能性があるので。違法にアップロードをしても、リスクばかりで特は何もないのですから。