今日は昨日途中まで書いていたのに、寝オチしてしまったものを。
■<ヤングサンデー>小学館「休刊を検討」 Dr.コトー、クロサギが人気(毎日新聞) ※リンク切れ
創刊20年と、歴史はあるものの、ヤングマンガ誌では昔から『ヤングジャンプ』、『ヤングマガジン』に比べてどうも一歩遅れていた感じでしたので、ある意味不思議ではないかもしれません。とはいえ、初期は遊人マンガや原秀則恋愛もの、中期は山本英夫作品*1や佐藤秀峰作品、そして最近では『クロサギ』『Dr.コトー』など、数点目立つ作品が必ず載っている雑誌ではありました。ちなみに初期から不定期連載され、今(ドラマとして)まで影響している『1ポンドの福音』は、けっこうすごいのかも。
さて、ヤング誌というのは、よく「少年誌を卒業した若者の受け皿」みたいに言われていますが、そうなると少なくともこのヤング誌という分野には読者が流れてきやすいはずです。では何故、ヤングサンデーはそこまで部数が下がってしまったのか。
ここで、引き継ぎ元である『少年サンデー』の部数低下故の移行する人数の低さが原因のように思われる方もいるでしょうが、私はそうは思いません。というのは、個人的には『少年サンデー』と『ヤングサンデー』では、文化が全然違うように思えるからです。
少年サンデーは、『名探偵コナン』が主力になっているのもあるのか、少年誌の中ではほかの2誌と比べるとやや子ども向け、どちらかというと『コロコロコミック』に近いようにも感じます。そして、私の世代では実際、『コロコロコミック』から少年サンデーへ移った読者も多数いました(もっともジャンプの黄金期でしたから、2誌、もしくはマガジン含めて3誌読むって人が多かったですが。実際私もサンマガを交換してた)。まあ、児童誌では圧倒的な100万部雑誌ですからその市場を生かすのは当然と言えば当然ですが。故に、その巨大な『コロコロコミック』の引き継ぎがしやすいよう、『少年サンデー』は、やや低年齢向けのマンガも多かったのではないか、と考えます。
しかし、それ故にその上の存在、『ヤングサンデー』とは、年齢的隔離が出来てしまったのではないでしょうか。あくまで私の印象ですが、『少年マガジン』の不良、ギャグ、(ライト)エロが強い路線(近年だと萌えも混じる)は、『ヤングマガジン』にもかなり強く引き継がれているような気がします。特に不良ものが載る点では、昔の『ビーバップ・ハイスクール』から今の『エリートヤンキー三郎』まで引き継がれているような。そして『ヤングジャンプ』も、なんとなく少年ジャンプ的雰囲気をヤング誌向けにしたようなものが多く載ることがあります。実際、少年ジャンプでの作家がそのまま移ってくることも、また『東大一直線』→『東大快進撃』のように、そのまま続編が載ることさえあります。しかし、『ヤングサンデー』は、見る限り文化が全然別のものになってしまっているような気がするのですよね。それは前述のように年齢差が『コロコロコミック』と『少年サンデー』の間で狭くなったことにより、『少年サンデー』と『ヤングサンデー』の間で隔離ができてしまったため。たしかに『少年サンデー』での作家が『ヤングジャンプ』に載ることもあるのですが、雰囲気がすっかり変わっていることも多いのですよね。前述の原秀則氏とかもそうですし。
ちなみに他社の場合ですが、『Vジャンプ』は『少年ジャンプ』が出来たずっと後の創刊で、『Vジャンプ』のほうが隔離しているように思えます。(まあ連動を考えているとは思いますが、どっちかというと直でジャンプ(のコミック)入る読者のほうが今のところは多そう)。それに講談社は『コミックボンボン』低迷&休刊で、その枠自体がなくなってしまいましたね。ということは、すでにこの2誌はヤング誌寄りになる(ヤング誌が近づいている場合も含む)のはある意味当然とも言えるかも。
ついでに言えば、小学館雑誌の場合、『ヤングサンデー』のほかに『ビックコミックスピリッツ』という、年齢層が重なってしまいそうな雑誌があるのですよね(下手をすれば他のビックコミックシリーズも)。私も学生当時は『ビックコミックスピリッツ』の黄金期で、ヤンサンではなくそっち買ってましたし。故に、『ヤングサンデー』が休刊対象とならない場合は、『ビックコミックスピリッツ』が休刊となる恐れもあります。ただ、『ビックコミックスピリッツ』のほうが部数が多く、且つ、小学館の名物編集長で、現在役員の白井勝也氏(『サルまん』で、コピペで顔が出てくる編集長です)が創刊、黄金期を築いた雑誌ですので、こちらが休刊されることはないように思います。
さて、ここまで書いているときに、実はこの考えともうひとつ、『ヤングサンデー』が低迷してしまった理由というのを思いつきました。しかも今度はヤンサンのみに当てはまることではなく、マンガ誌全体にあてはまることとして。それにより、今日の文章を部分的に否定してしまうかもしれませんが。
◆追記
今回、段階が下がると思っていた『ヤングチャンピオン』『ヤングガンガン』『ヤングアニマル』は抜かしましたが、今のヤンサンって、これらと部数そんな変わりないのですな。まあそれは休刊検討になるか。
ちなみに『ヤングガンガン』のガンガン寄りなような、そうでもないようなバランスはうまいと思います。それに(メディアミックスもあれど)マンガ雑誌として、数少ない上向きなものかもしれません。
*1:あまり知られていませんが、氏の『のぞき屋』の前に連載していた『おカマ白書』という作品は、絵柄は明るいのに終盤の展開がなんともいえぬ気分になり、ある意味後の『殺し屋イチ』につながるかもと思ったりしました。ちなみにこれも、90年代の有害コミック騒動の巻き添えを食ってしまった作品。