空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

『Trap-TV』それは隠れた名番組

私の年齢くらいならば、80年代後半から90年代前半で面白かった番組は?と聞かれると、フジテレビの深夜帯番組と答える人もそれなりにいる気がします。

今でこそ普通にある深夜番組ですが、私が子供の頃は24時間テレビや大晦日くらいにしか深夜1時を過ぎてもやっている番組というのはなかったのですね。有名なところでは大橋巨泉等が出ていた11PMなど。今では信じられませんが、11時台に女性の裸体(もしくはそれに準ずるもの)が放映されていたのですよ。しかし80年代後半になってからだんたんと深夜帯に番組を放映する時間も増えてきました。

そして、フジテレビはその時間帯を『JOCX-TV2』(後にJOCX-TV+)と銘打ち、制作費はそんなにかからないであろうものの、実験的な番組を多く作りだしてゆきました。

 ■参考:Wikipedia-JOCX-TV2

代表的なところでは、深夜にライトエロアニメをやってしまったという伝説の『レモンエンジェル』、この後三谷幸喜がテレビで活躍し始めるきっかけとなる『やっぱり猫が好き』、『世にも奇妙な物語』の前身となる『奇妙な出来事』、今復活させたら金がいくらかかるんだろうと思うダウンタウン&ウッチャンナンチャン&清水ミチコ&野沢尚子のコント番組『夢で逢えたら』、後に『ウゴウゴルーガ』につながる『アインシュタイン』(スタッフが同じ)、未来の出来事に仮想の賭を行う『TVブックメーカー』、電気グルーヴ(当時)のまりんをYMOキングにした『カルトQ』、最近もアニメリメイクされた『NIGHT HEAD』、当時としては異例の深夜アニメでしかもギャンブルな『スーパーヅガン』、そして今でも伝説として残っている現代流行を歴史パロとする『カノッサの屈辱』、他『征服王』『たほいや』『とぶくすり』等々。これらの中に思い入れのある番組が入っている方も多いでしょう。

しかし私がそんな中でも一番と推すのが『Trap-TV』。

これ、説明は非常に難しいのですが、基本は1話完結型のミステリー。ただ、この番組ならではの特色があります。
まず、二人の男がオープンカフェで話し始めるところから番組は始まり、片方の男が手元の写真を使ってもう片方の男にミステリーを聞かせる、そしてそれの展開を推理させるというものです。そして基本このミステリーシーンでも動画ではなく写真の静止画で話が進みますが、それがかえっておどろおどろしい雰囲気をかもし出しています。
さらにこの番組では、それらの写真の背後にパズル制作集団ニコリの作ったパズルがさりげなく置かれており、それを解くことでミステリーのもうひとつの疑問、例えば殺人事件ならばその人物が殺害に至った動機などの答えが隠されております。そしてその答えを書いて送れば、プレゼントが当たるというもの(故にこの番組ではビデオ録画が推奨されていました)。
このミステリーは深夜の30分番組とは思えないほどの魅せるストーリーであり、且つパズルも高難度で、当時学生だった自分もビデオを撮って何度も見返しました(おそらく今でも探せばあるでしょう)。
当然今でそれを見る手段はほとんどありませんが、その概要を記述されているサイトさんはあります。

■参考:Trap-TV 研究室

放映が1993年ですから、今から15年も前のものですが、これを越すミステリー系番組はなかなかお目にかかれません。数年前にフジテレビ739で再放送されていたみたいですが、それ以後はDVD化もなく、沈黙しています。

でも、このパズル+上質ミステリーという組み合わせのもの、また見たいのですよね。ゲームでも何でもいいので、誰かこういうの作ってくれないかなあと思います(あ、でもこれもライト版がもしかしたら『レイトン教授』シリーズなのかも?)

何処でお目にかかれるかはわかりませんが、機会があったら是非見てください。ミステリー好きなら、きっと今でも驚きの連続になると思うので。そして最終回の話は……衝撃的。


◆余談
この年のフジ深夜のキャッチには「JUNGLE」というのが使われており(参考:Wikipedia-JUNGLE)、これがとても怖いと話題になりました。このキャッチのあとにカルトなミステリーですので、この時間帯は異様な雰囲気がありました。ニコニコにあったので置いておきます。

怖いCM 「JUNGLE ハート編」 
怖いCM 「JUNGLE 人形編」
 人によってはかなり不快な印象を受けると思うので、耐性がない人は行かないでください。

でもその後のクールに『ストレイシープ』が生まれるんだよなあ……まさになんでもあり。それがフジ深夜の魅力でした。