『GA 芸術科アートデザインクラス』というマンガをご存じでしょうか。
これは『まんがタイムきららキャラット』に連載されている4コママンガで、タイトルのように高校芸術科を舞台にして、そこに通う生徒達の楽しそうな学園生活を描いているものです。同じように美術科(もしくは美術部)を舞台にした4コマといえば、同じ雑誌に連載している『ひだまりスケッチ』や、アニメ放映中の『スケッチブック』がありますが、美術的な要素はスケッチブック方面、コミカル的要素はひだまりスケッチに近く、それぞれを別の雰囲気で楽しめます。
しかし、今日の本題はこれではなくて、先日の『コミックガンボ』の敗因を考えてみると絡めてのお話。
この作品には、実は美術知識を解説している外伝的なものが存在します。それは『GA材置き場』という1ページマンガ。単行本をお持ちの方は、話の間に出てくる色知識解説のロングバージョンと思っていただければよいでしょう。
さて、これの掲載誌ですが、本屋には置いてありません。いや、ある特定の本屋のみに置いてある、と言ったほうがよいでしょうか。その本屋の名前は「とらのあな」。本来は同人誌専門店だった書店です。そしてこれが連載されているのは、そのとらのあなの月イチ情報誌『とらだよ。』。要はフリーペーパー内のマンガなんですよね。
さて、この『とらだよ。』。すでにvol.80を超えているので、7年近く発行しています。さて、この前は『コミック・ガンボ』は1年で廃刊となりましたが、これは何で無料でも成立しているのでしょうか。でもこれはそれほど考えるまでもないですね。要は「(この本のみで)採算を取る必要が全くない」ということ。これはあくまで一番の目的は広報であり、読んでもらえることが重要なのです。そこで興味を持ってもらい、店舗での購入につながれば、その目的は達せられたと言えますので(でも若干数広告も入っているみたいですが、それで収益を得ているかどうかは不明です)。
その雑誌自体が重要ではなく、それによって購買意欲が喚起されるものの売り上げに繋がらせるコトが重要という意味では、進研ゼミで勝手に送られてくるダイレクトメールのマンガつきの本も似たようなものかもしれません。あと駅で置かれている物件情報雑誌なども(ある意味アルバイト雑誌も)。
これらはたしかに多くの人に読んでもらわないと、広告的側面が果たせませんが、すぐに死活問題にはなりません。反面『R25』や『コミック・ガンボ』は、そこに載せられている広告を見てもらう(そしてその効果により、広告を取るって広告費をもらう)ことで成り立つものですから、絶対に読んでもらわないと困るわけです。故に、話題があまり広がらなかった『コミック・ガンボ』は広告が成り立たなくなったのでしょう。*1
あと、配布方法もいいのですね。というのはまず、自社の店舗のみだから設置のための新規人件費やスペース台がほとんどかからないという点。さらに、置く場所はその情報に興味のある人が集まる場所なので、購買候補層にピンポイントに行き渡ると。例えるとハローワークに就職情報雑誌が置いてあったり、不動産屋に物件情報雑誌が置いてあるようなものかと。これは最大の強みだと思います。そう考えると『コミック・ガンボ』も不特定多数に配るより、ラーメン屋や食堂(社員食堂)、床屋に無料配布すると、微妙に違ってきたかもなんてことを思ったり。
そんなわけで、ただの情報誌なのに「内部的にも外部的にも条件満たしてるなあ」と思ったのがこの『とらだよ。』なわけです。ちなみに内容にも触れると、情報誌のわりにこの『とらだよ。』かなりデキがいいのですよね。マンガも『GA材置き場』の他に2〜3本載っているし、コミック発売予定表とかは役に立つし。これなら行ったついでにもらってしまうなあと。ちなみに自分は『GA材置き場』目当てで、月末は近くに来ただけの時も寄っていきますね。つか、Web閲覧出来るようにすれば面白いのになあとか思うのですけどね。せめてGA材置き場だけでも(文字の細かさで無理かなあ)。
ただ、『GA材置き場』が載っているので今回は『とらだよ。』をとりあげましたが、別にアニメイトでもゲーマーズでも同じようなのを発行していたはずですので、そららも同じような条件である以上、良い情報誌モデルだと思います(最近そっちは読んでないので判断できないですが、『らき★すた』出張版とか載ってたんだっけ?)。
しかし最近の『とらだよ。』、月末過ぎるとなくなっていることが多いですので、それがないようにして欲しいなあ。1号抜かしたときのマイナスはやっぱりあるので。*2
※追記 2014/12/11
『とらだよ。』は現在では冊子形態はなくなり、Webに移行しています。
※さらに追記 2017/10/11
現在ではWebのほうも休止してしまいました。