空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

これからの娯楽は金をどう使わせるかではなくて時間をどう使わせるかの方が問題だと思う話

今、現在のアニメ市場が好況なのかそれとも不況なのかというのに疑問を持ったのでいろいろ調べています。これはまとめるのに時間がかかりそうなのでまた後日。
しかし、アニメの本数増えたなあ……ってのが正直なところ。これ、全部全話チェック出来ている人ってどのくらいいるのだろうか……
しかしこれって、何もアニメだけじゃなくてゲームにも言えることなんですよね。すなわち、ファミコンの時代にはかなり多くのソフトをひとつひとつチェック出来ていたのに、最近ではプレイするソフ閉じたいが限られたものになってしまったという感じで。ライトノベルとかもそうかも。昔は富士見ファンタジアとスニーカーしかなかったのに、最近ではあらゆる所から出ていたりとか。

つか、現代の人はオタクであるにせよそうでないにせよ、金銭的に出来ることはけっこうあるのに、それを追い切れないと感じている人は多いのではないでしょうか。それは、人間に与えられた1日24時間の中で、娯楽に割ける時間はまたその中の一部、さらにそこで多用なコンテンツの中から見るものを選ばなくてはいけないと。
例えば、買ったはいいけど手をつけずに部屋に置きっぱなしになっているもの、つまり積みゲー、積ん読、積みDVDになっているものを、金銭よりも時間の不足している状態としてみると、金銭よりも時間の不足の方がはるかに膨れあがっているのではないでしょうか。(まあ買うのが楽しみってところもありますけどね)

昔ならばこんなことはあまりなかったですよね。どちらかというと数少ないものを集めて楽しむという感じで。その中で無料で放映されるテレビ番組というのは、無条件で見られる数少ない娯楽だったわけです。それはアニメを含むテレビ番組でも同じです。しかし今はテレビ番組の増加、というより娯楽全体が増えすぎてしまい、それに割ける時間が減ってきたと。よく、年齢を重ねる毎に仕事などで時間が無くなるという現象はよく聞きますが、こういうふうに金はあるけどそれを消費する時間がないというのは、何も年齢だけの問題じゃなくて、時代がそうなってきたのもあるのではないかと。

昔は日本人の生活というのはわりと似ていて(いわゆる一億総中流時代)、土日の夜は家族みんなで食卓の前にいるなんてことも多かったでしょう。そして娯楽といえばテレビかラジオくらい。マンガも少なかったですし、インターネットはもちろんありません。故に『8時だよ!全員集合』の視聴率が化け物的だったのも頷けます。しかし現代はテレビのために8時にテレビの前にいるとは限りません。それは生活的都合もありますし、他の娯楽を消費するのに充てている場合もあるでしょう。


要は「娯楽過多」なわけですな。故にテーブルに置かれている料理が増えて食いきれなくなった時のように、それらを消化できないと。

さて、そこで思ったのですが、現在の娯楽というのはすでに「どうやって金を得るか」ではなくて、「どうやってそれに対して時間を使ってもらうか」というほうが重要になってきているのではないでしょうか。
昔はアニメに限らずテレビというのは「見るのは無料」というアドバンテージによって栄えてきましたが、これからはそうはいかないと思います。だって無料のコンテンツなら(もちろん合法で)、インターネットに大量にあったりするのですから。おまけにテレビの場合、見る時間を(録画という一手間を挟まない限り)指定できないというデメリットがあるのです。

「最近のテレビはつまらない」という声をわりと聞きますし、私もそれに同意ですけど、それはコンテンツの力が落ちてきた、もしくはネタが出尽くしたというものの他に、生活の面においてテレビの求心力がなくなっていることから視聴者がテレビを神格化しなくなった影響もあるのではないかと。すなわち自分の時間とそのテレビを楽しむ時間を秤にかけたときの重さが、同じ力を持つコンテンツだとしても昔とは違うのだと思います。

そうなるとテレビ番組でもアニメでも、ただ昔のように放映するだけではダメで、それを見てもらうための努力ということがこれからは必要なのではないでしょうか。それは視聴率で他の番組に負けないためだけではなくて、他のコンテンツよりもこっちを見た方が楽しいと知らせるために。視聴率の傾向が昔に比べてどうなっているのかってのは資料がないのでわかりませんが、おそらく今って、テレビつけっぱなしでインターネットやっている人とか多いんだろうなあ……それに録画もあるし。となると、昔ほどアテになるのかなあ……


さて、無料のテレビでダメなら有料のものはもっとダメかというとそんなことはないと思います。金がかかるものでもその時間を有効に使わせてくれるものであれば、ユーザーはお金を払ってくれるってことなんですよね。携帯電話なんてまさにそれですし、マンガだって読みたいのがあればまとめて買いますし。

ま、これからはこんなふうに有料無料問わず(まあ値段が高くなる毎に有料が背負うハンデは大きくなると思いますが)、時間をどれだけ有効に使わせてくれるかという点での奪い合いが起きると思います。
そう考えるとマンガは1冊当たりに使う時間が短いものが多く、消費スピードが速いので結構安定しているような気はします。ただ、これもやはりマンガ内だけではなくて他の娯楽との競争に晒されている分、絶対安全な領域とまでは言えないでしょうね。
そして時間もかかる上に金もかかるゲーム……ここはハンデを背負っているかもしれませんが、その分出来て表に出てくるものが他を超える上質なものになることを願っています。