少年ガンガンにおける面白い分析がありました。
■路線変更後のガンガンの少年マンガについて考える(前編)(情報元:ゴルゴ31さん) ※2014/12/11 リンク切れ確認
このサイトの中に、「少年ガンガンの歴史」というコンテンツがあったのですが、これを見ていると私がエニックス系の雑誌を熱心に買っていた時代を思い出しました。
それはまだ『鋼の錬金術師』が連載の陰もない、おそらく荒川氏が衛藤ヒロユキ氏のアシスタントをしていた時代、『少年ガンガン』が月に2回刊行されていた時です。そして他にも今でも続く『Gファンタジー』、それに『ギャク王』なんてものも買っていました。そして今思うと、どれもがかなりのクオリティを保っていたのですね。
でもって、今日は『ぱにぽに』の10巻が発売されたってこともあるので、『Gファンタジー』約10年前、1990年代半ばのころについて語ってみましょう。
私が1990年代に『Gファンタジー』を読み始めたのは、なんとなく買いあさっていた雑誌のうちで面白いものが載っていたのと、当時『ドラゴンマガジン』の『スレイヤーズ』などに代表されるファンタジー系が隆盛を誇っていたことがあるでしょう。ちなみに読み始めた時期の主力は『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』(箱田真紀)、『レヴァリアース』(夜麻みゆき)、『ドラゴンクエスト 精霊ルビス伝説』(久美沙織+阿部ゆたか)、『聖戦記エルナサーガ』(堤抄子)など。エニックス系ということもあり、ゲームとのメディアミックス作品も多かったですが、名前通りファンタジー雑誌としてかなり良質の作品が揃っていました。ほかにも『ゼルダの伝説〜夢を見る島〜』(かぢばあたる)や、高河ゆん、久保聡美、松沢夏樹(破壊的ギャグ)、上田信舟メガテン系RPGのマンガならこの人)などの作品もなかなか面白かったです。
そして1995年〜1996年には『神さまのつくりかた』(高田慎一郎)『ミスティックアーク』(岩佐あきらこ)なども始まり、かなりのクオリティを誇ります。しかし、やはりFE以上の看板作品はなく、以前マイナーマンガ誌のままでした。まあ私はそれが好きだったんですけど。
ちなみにこの当時は、男女どちらでも読める、というかやや男性よりの、前述の『ドラゴンマガジン』に近い雰囲気でした。
しかし、この後混迷期に入ります。いや、面白い作品が出てこなかったわけではないんです。だけど何故か「これからおもしろくなるかも〜」という作品が、見切りを付けたように中途半端な状態で終わるのですね。特にそれを感じたのは『天地創造』(八坂麻美子)と、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』(まりお金田)←後の『ガールズ・ブラボー』の作者。
『天地創造』のゲームはとてつもなく感動し、今でも私の歴代ゲームベスト5に入る名作のコミカライズでしたのでそれはもう期待しました。しかし、ゲームでもどんでん返しがあって一番面白くなる後半をすっとばしての打ち切りという結末。本当にゲームではあそこからが面白く、感動的になるのに……と嘆きました。しかし、もっとひどかったのは『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』。この作品、原作では最後に■■■(ネタバレ防止)から帰ってきて、それから全ての話が収束、そして感動的なラストにつながるのですが、雑誌でも単行本でもその■■■に行って最後の敵を倒したところで終了、という尻切れトンボもいいところ。これには泣いた原作ファンも多いでしょう。あと、オリジナル作品でも『エラガバルス』(かぢばあたる)ってのがあって、期待していたのですが終わって単行本もなしでしたね。残念。
つか、どうもエニックス系の漫画雑誌って、もう少し様子を見たい作品が急に終わるってことが昔から多いんですよね。いつも「もう少し続ければいいのに」って思っていました。まあこの頃は後から出てくる人材が豊富だったからまだよかったのですけどね。
そして『レヴァリアース』が衝撃の最終回を迎えた頃、ヒット作『最遊記』が登場します。ただ、この作品自体はいいのですが、これがヒットしてしまったために雑誌の傾向が露骨に変わっていくのがわかりました。それは(言わなくても分かると思いますが)「女性誌化」。今までは男女どちらでもOKみたいな感じの漫画誌だったGFが、だんだん女性化してくるのが感じられてきました。前述のYU−NO終了後は特に『E’S』などがそういう展開になっていましたし、『破天荒遊戯』(遠藤海成)が始まったりね。
ただ、これは編集部や作者の意図するところではなかったらしく、後に18禁ゲーム原作の『まじかる☆アンティーク』とかまで連載してたみたいですね(YU-NOはサターン版って名目が立つけど、こっちは完全にアレだし)。
そのうち、『ファイアーエムブレム』も(やや中途半端に)終了し、この雑誌を読まなくなり今に至ります。でも調べると、当時同時発行してた『ステンシル』との掛け持ちが多く、それにより人気作家の仕事量の増加となり、休載も多かったみたいです。
この後、ガンガン本誌方針変更の煽りで移籍(『刻の大地』『ツインシグナル』)が増えたり、ガンガンでエニックスお家騒動があって大騒ぎになったりします。そしてGFでも独立→一賽社設立(『コミックゼロサム』)の余波で作家が移籍したりしつつ、今に至ります。
ですがどうやら最近は男女半々という傾向みたいですね。まあこれは前述のように、一度女性向けに傾いたものを男性向けにも出したってところがあると思いますが。これはある意味、10年前のファンタジー路線に戻ったとも言えるのかも。(でも『ぱにぽに』がファンタジーかと言われると?と一瞬思いますが)
まあ、とにかくスクエニ系雑誌にはここにも見られて、そしてガンガン本誌でも指摘されているような「いきなり見切り」をもうちょっと改善してほしいなと思います。とはいえ最近ガンガンパワード(GMCDがついてくるのでつい買う)以外買わない人間が言えた筋ではないですが。