本当に「失敗して悲惨な人」は発言することでさえ難しいという話 

NHK Eテレで放映されているぬいぐるみを使ったトークバラエティ『ねほりんぱほりん』は、各回ごとに訪れる「訳ありゲスト」の口から語られる衝撃の話のインパクトがかなりのもので、番組後の評判がネットで語られることも多いです。過去には「元薬物中毒者」や「ハイスペ婚の女」、「少年院に入っていた人」「ネトゲ廃人」などがありました。
そして去る2018年1月17日に「トップオタ」が放映され、話題となっていました。

togetter.com

しかし、考えてみると、この番組に出ている人というのはぬいぐるみであったとしても最低限は「マスメディアに出て、発言できる状態の人」なのですよね。

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 語られる「失敗」は過去の話

「トップオタ」の内容でも、その推しアイドルに費やした金や時間のことについてかなり衝撃的な内容が語られています。心理状態は「ガチ恋」だったとか、それに数千万単位で費やしたなど。
しかし、この人の場合結局は現在彼女がいて、結婚することが目標と、話としてかなりきれいなオチになっているように見えます(これはテレビでそれを見てであり、本人達がどうなのかはそれこそ本人達にしかわかりませんが)。
つまりこの人は、このような話も過去の話として語れるような状態になっていると言えます。

 

今でも「失敗」が響いている人はメディアにに出てくるのは難しい

しかし、このようにアイドルなりガチャなり金を費やした人で、完全に金がなくなってしまった人で、このようなテレビで語ることの出来る人というのはかなり少数ではないかとも思うのです。
例えば、完全に金が尽きている人であれば、今も金銭を獲得するためにそんな時間がない場合もありますし、ことによれば、たとえ匿名であったとしてもメディアに出て身分を明かすリスクを抱えられない身かもしれません。
いや、状況だけなら取材方法によってどうにかなるかもしれませんが、そもそもその人がとても話せる精神状態ではないという可能性のほうが高いでしょう。

よしんばそれが出来たとしても、話す内容がとてもその番組で使える内容のものを超えているということで、使えないという可能性もあるでしょう。それこそそれこそ「ねほりんぱほりん」ではなく「NHKドキュメント」になってしまうようなもの。
もしかししたら、それが理由で、トークはしたけど放映できない回とかあったりするかもしれません(むしろそういうのも見たい気もするけど)。

 

失敗という「恥」を晒せる人はそうそういない

しかし現状に影響がなくても、それを話す人は決して多くないでしょう。というのは、単純に「失敗という『恥』」を晒せない」という人も多いでしょうから。
前述のように、出て来られる人というのは、それを過去の話として割り切っている人が多いです。また、割り切れない人でも、何らかの利益がある(報酬など)ことでそれを話せる状態にしている場合も多いでしょう。
しかしそれらが克服できておらず、若しくは釣り合わなかった場合、失敗という「恥」を自ら公開する人は決して多くはいないのではないでしょうか。

 

「しくじり先生」は過去の失敗を話せる人の番組

「ねほりんぱほりん」と方向性が少し似ているものとしては、昨年終了した『しくじり先生』があります。あちらは芸能人の過去の失敗を振り返っておもしろおかしく語るようにするものでしたが、あれも出てきた人というのは「現在その話を過去の話として語っても、本人も大丈夫だし番組的にも引かないもの」なのですよね。恥もネタとして消化できるなど。
正直、こちらもアプローチしたけど断られたり、打ち合わせの段階でネタになる尺度を超えていてお蔵入りになったケースがあってもおかしくなかったと思っています。

ちなみにあの番組、末期は高橋名人とか、どう考えてもしくじってないだろという人が出ていましたが、あれは「過去に何かしぐじっていて、且つ現在出しても本人が承諾できて、さらにテレビ的に放映できる人」というかなり限られた条件である人が尽きていたのではないかとも思います。おそらく候補はもっと挙がっていたけど、本人に接触できなかった人、話がテレビ向きじゃなかった人、そしてそもそも接触自体その過去の失敗が原因で出来なかった人もけっこういるのではないかと思っています。

 

 ネットでも同じこと

このように、過去何らかで失敗した人やそれで悲惨になった人がテレビに出ていたとしても、それは幾つかの関門をクリアしている人でしょう。それは前述のような笑いを目的としたバラエティはもちろんのこと、ドキュメンタリーであったとしても、現在の状況がとてもテレビで話せないような人も相当数いるでしょう。特に犯罪絡みのものでは。

ただ、このようなものはテレビなどのメディアだけではありません。それはテレビよりも自由度が高い、さらに個人配信となるネットでも同じことです。
それを克服している、もしくは何らかの利益になる場合はともかく、自ら過去の失敗という「恥」を話そうとする人は多くないでしょう。YouTuberやブロガーの失敗談も、笑える範囲のものが多いですし(それ通り越してすごいものもたまにあるけど)。

 

過去、以下のような記事を書いたことがあります。

nakamorikzs.net

ネット上では昔から、「これで儲かった」という記事が度々流れますが、何故これが横行するのかというと、「失敗した人は発言が難しい」ということを挙げました。これも損したという「恥」を自ら語りたがらない人が多く、その結果成功例だけがネットに溢れることが大きいでしょう(本当に成功しているのか怪しいものも、アフィリエイト等利益に繋がるのでそうしている例も多いけど)。 

 

そもそも発言を出来ない人間もいる

このように、テレビもしくはネット上の失敗談の大半は「話せる人」が話している(話せる人しか話していない)、さらに発信にもフィルタがかかっている場合があるということは認識しておくべきでしょう。

しかし恥とか立場とか以前に、このネット社会全盛の時代においても、発信できる立場ではないという人も存在するのですよね。それこそ、発言が縛られている人間、そして何より子ども。総じて「立場の弱い人間」。そこがたとえ外部に訴えたかったとしても。
それもふまえて、テレビやネット上における発言は、実際のその立場にいる人の全部ではないという認識は強く持っていたほうがよいでしょう。テレビやネットの観測範囲のみで判断しないために。

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