日本の秘境とも言える場所「交通困難地」

昔、国内で郵便物が配達出来ないほどの秘境である「交通困難地」についてまとめたのですが、しばらく消したままストックしていました。整理してたらそれを見つけたので、もったいないからここで。ちなみに作成したのは2015年くらいでしたが、大きくは変わってないと思います。

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交通困難地とは?

内国郵便約款第79条に定められた項目で、交通困難で郵便を配達出来ない場所。そこ宛に出された郵便物は、郵便局に一定期間留め置かれ、受取人の来局を待つことになります。ただし、人がいない場所(つまり郵便を届ける必要がないところ)が交通困難地には含まれません。

(交通困難地にあてた郵便物の取扱い)
第79条 特に交通困難であるため周年又は一定期間内通常の方法により郵便物を配達することができない地域として当社が別に定めるものにあてた郵便物は、その地域にあてた郵便物の交付事務を取り扱う事業所に当社が別に定める期間(以下この項及び次項において「留置期間」といいます。)留め置き(その地域の指定が一定期間についてなされている場合において、留置期間内にその一定期間が満了するときは、その満了の日までの期間留め置きます。)、受取人の来局を待って交付します。

出典:内国郵便約款(PDF)

■参考:交通困難地・速達取扱地域外一覧(PDF)

■参考:交通困難地 - Wikipedia

 

定められた交通困難地の一例

交通困難地に指定されているもののうち、一年中指定(冬期解除されないところ)の中から主なところを抜き出してみました。

 

船泊村メシクニ、メシコタイ (北海道礼文郡礼文町)

北海道利尻島の北西にある礼文島のさらの北西部の村。道路がなく車で行くことが不可能。途中からは徒歩しかない。なお、一年を通しての定住者はおらず、夏の間だけほんの数人がコンブ(利尻昆布)やウニ漁のために人が住むということ。

4travel.jp

 

化石浜・知床岬・滝ノ下・船泊 (北海道目梨郡羅臼町)

国後島にも近い北海道北部の知床半島でも最北部の地区。
道路がない。それ以前に国立公園内の特別保護地区なので、一般人の自由な立ち入りも難しい。そもそも人は住んでおらず、漁師の建屋がある程度。

 

神岩・小島・大黒島・登喜岱 (北海道厚岸郡厚岸町)

自然のままの地域で、他では目にすることのないような動植物が生息している。また史跡も存在する。大黒島には漁師の建屋があるようだ。陸路はないに等しく、船(漁船)をレンタルしなければまず行けない。

■参考:大黒島 (厚岸町) - Wikipedia

 

三斗小屋温泉(栃木県那須塩原市)

ロープウェイで山頂から、もしくはバスの停留所からさらに山道を2時間歩いて辿り着ける温泉小屋。電力も供給されておらず自家発電。

三斗小屋温泉 煙草屋旅館

大黒屋 三斗小屋温泉[公式ページ]

 

硫黄島(東京都小笠原村)

有名な太平洋戦争の激戦地。
現在は自衛隊の施設があるため、一般人の入場は不可(遺族や元住人が慰霊祭や遺骨捜索などで立ち入ることだけ許可される)。物資は基本自衛隊が輸送している。

 

南鳥島(東京都小笠原村)

日本の最東端に位置する島。
ここも一般人の立ち入りは通常できず、常駐する自衛隊員や気象庁職員などのみがいる。
近年、この付近の海域に埋没しているとされる資源が注目を浴びている。

 

雲取小屋・雲取ヒュッテ(埼玉県秩父市)

秩父雲取山にある小屋。
登山者用にあるもので、付近の駅から数時間歩かないと到達不可。
東京からは比較的近いが、あくまでも山中であり、軽い気持ちでは絶対に行けないところ。

雲取小屋自体は10年程度前に改築されている。
なお雲取ヒュッテは跡はあるが、ネットで確認する限りでは宿泊施設としては機能していない模様。

 

徳山ダム 門入(岐阜県揖斐郡揖斐川町)

元々村が存在したが、徳山ダム建設時に大半が水没したという土地。
しかし水没を免れた部分があり、もとの一部の住民が夏の時期だけそこで生活をしているという。
ゴムボートなどで行き来するという。当然車が通れる道路は存在せず。

blog.goo.ne.jp

 

八ヶ岳 赤岳温泉、オーレン小屋、夏沢鉱泉(長野県芽野市)

八ヶ岳の標高2000mクラスの山中にある、標高が高い温泉。
宿も山小屋で、登山者のための秘湯といったところ。

www.yatsu-honzawaonsen.com

7つの魅力 八ヶ岳オーレン小屋

 

富士山本八合目(静岡県駿東郡小山町須走字)

いわゆる富士本八合目。標高3,400m。あと約1時間歩けば富士山山頂というところ。当然冬期は営業していない。

tomoekan.com

 

黒部市宇奈月町の各所(富山県)

黒部ダムの黒部市、というだけでその交通の困難さがわかる。
阿曽原、黒薙温泉、欅平、小黒部、小屋平、仙人谷、出平、西鐘釣、猫又、祖母谷など。

www.kuronagi.jp

 

白馬村の一部(長野県北安曇郡)

長野県白馬村の北城字唐松小屋、黒菱、天狗小屋、白馬山頂、白馬尻、八方池、鑓温泉。標高2000m以上。

www.hakuba-sanso.co.jp

 

余島(香川県小豆郡土庄町)

瀬戸内海に浮かぶこのあたりの島を総称しての名前。
観光地で、干潮時だけに現れるエンジェルロードという砂の道は、縁結びの観光スポットとなっている。

 

木曽御岳山頂(長野県王滝村)

2014年9月27日に噴火により多数の死者を出した御嶽山。ここも周辺を含めて交通困難地となっている(これは噴火が起きたからではなく、それ以前から)。他、三岳黒沢字の石室、御岳山山頂、覚明堂、行場小屋、金剛堂、二ノ池小屋、湯川温泉といった登山ルートにあるところも交通困難地。
景観は絶景であり、それが故に人気の登山地であったようだ。

救助活動は困難を極めたことが報道されたが、直後冬期に入った際には、自衛隊や地元の警察でさえも中断せざるを得なかったほどこの場所が過酷であるということを物語っている。

2017年8月には噴火警戒レベル1への引き下げがなされたが、河口付近は今も入場制限がなされている。

■参考:2014年の御嶽山噴火 - Wikipedia


まとめ

だいたい交通困難地は以下のようなものに分類されるようだ。

・政治的事情などにより、一般人が行くのが原則不可能なところ(硫黄島など)

・行けなくはないが、交通が全くなく、かなり危険が高いところ(北海道地区など)。ただし環境保全のためにわざと交通を整備していない場合も含む(むしろ人がいるのが特殊事情的なところ)。

・時間と気合いさえあれば行けるところ(主に山荘や温泉。当然それなりの用意をする必要がある)。

・季節さえずらせば(つまり夏場に行けば)交通困難地ではなくなるようなところ。

がある。

しかし郵便が届かずとも多くのところで固定電話どころか携帯電話までつながるようになっていて、ホームページもあってこのような情報がいくらでも出てくるというのも時代だなと思う。