空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

衆院選前の各メディア予測報道を今見返しての雑感

衆院選が終わって数日が経ち、各メディアも選挙シフトから通常に移り変わっている感じです。

さて、各選挙前にはいつも選挙シフトの中で、議席予想がなされますが、選挙が終わってしまうとそれらがいつも忘れられたようになってしまいます。数日前のことなのに。

ということで、ここでは各メディアが選挙前に出していた議席予想を、実際の結果と見比べつつ参照したいと思います。ただ、各メディアや個人がどれだけ当たったか外れたかを褒めたり非難しても馬券予想もどきになってしまうので、それらの予想全体を見てどのような注目すべき点があったかというのを書いてゆこうと思います。

主に自民、公明、民主、維新、共産、次世代の数に注目してみます(生活、社民などはほとんどどこも数字が似通っているので)。 f:id:nakakzs:20171015231143p:plain

 

2014年衆院選の各党獲得議席

今回の選挙ですが各党の獲得議席は以下の通り。

・自民 291(-2) ・公明 35(+4) ・民主 73(+11) ・維新 41(-1) ・共産 21(+13) ・次世代 2(-17) ・生活 2(-3) ・社民 2(0) ・その他・無所属 8(-9)

自民は無所属議員の追加公認が行われたので、その分+1されています。

 

各メディアの事前選挙予測

さて、今回も選挙前にマスコミなどが議席予測をしていたわけですが、各報道機関が事前の調査で報じた議席予想の記事が、Yahoo!でまとめられていましたので、そこからのリンクを参照します

■議席予測、一番近かったのは? - Yahoo!みんなの政治 ※リンク切れ

具体的な数字ではなく、大ざっぱな表現のところもあったので、一概には比較出来ませんが、主要なところを抽出しました

 

■読売:自民300議席うかがう、与党3分の2の勢い : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) ※リンク切れ

・自民、公明両党は序盤調査で300議席を超える勢い ・民主党は公示前の62議席は上回る情勢となっているが、大幅な上積みは難しい状況 ・維新の党は、公示前の42議席に届くかどうか微妙な情勢 ・共産党は、比例選で公示前の8議席から倍増

 

■朝日:自公3分の2超す勢い 民主70台、共産倍増も 衆院選中盤情勢・朝日新聞社調査:朝日新聞デジタル ※リンク切れ

・1)自民は単独で300議席を上回る勢いで、公明とあわせて定数の3分の2(317議席)を確保しそう ・(2)民主は100議席には届かないものの、70議席台に増やす公算が大きい ・(3)維新は30議 席を割り込む可能性が高く、共産は倍増する勢い

ちなみに図で各党の予想中央値を自民305、民主78、維新27、公明33、次世代2と予想。

 

■毎日:衆院選中盤情勢:与党、3分の2超す勢い…本社総合調査 - 毎日新聞 ※リンク切れ

・自民党は小選挙区、比例代表で計300議席を上回る勢い ・民主党は公示前の62議席を上回るが、小選挙区、比例ともに前回の2012年から小幅の伸びに ・維新の党は小選挙区で4〜5議席にとどまる見通しで、地盤の近畿を含めて劣勢を強いられている選挙区が多い。比例代表は20議席前後の見込み。次世代の党は小選挙区で平沼赳夫党首らの2議席にとどまり、比例代表は議席獲得のめどが立っていない。 ・共産党は四国以外の比例代表10ブロックで議席確保が見込まれるほか、沖縄で1議席を競り合うなど、公示前の8議席から一気に20議席まで躍進する可能性がある。

 

■産経:【衆院選2014】自民単独で3分の2うかがう 終盤情勢 過去最高議席上回る勢い。民主は低迷、共産躍進(1/2ページ) - 産経ニュース

・自民党は、平成21年に民主党が単独政党として獲得した現行憲法下での最高議席(308議席)を上回り、衆院の3分2に当たる317議席をうかがう勢い。 ・民主党は目標の100議席は難しい情勢だ。 ・共産党は前回(8議席)の倍増をうかがう勢い

ちなみに予想中央値は自民311、民主69、維新26、公明32、次世代2、共産15

 

■47News(共同通信):自公で3分の2超す勢い 民主伸び悩み、維新不振 - 47NEWS(よんななニュース) ※リンク切れ

自民単独での3分の2もうかがう。 ・民主党は伸び悩みが続き70議席前後、 ・維新の党は不振で公示前 議席から減少が予測される。 ・共産党は倍増に近づく状況

 

■ 日経:自民、300議席うかがう 衆院選序盤情勢  :日本経済新聞

・自民党は300議席をうかがう勢い ・公明党は公示前31議席の確保にめどをつけている ・維新は小選挙区で振るわず(中略)。比例代表では30議席弱を固めたが、小選挙区とあわせた議席数全体で公示前42議席の確保は微妙だ。 ・共産党は公示前8議席から倍増する可能性 ・次世代の党は小選挙区で2議席程度の獲得をうかがう。比例代表での議席確保の見通しは立たず、公示前20議席を割り込みそうだ。

 

■Yahoo!:ビッグデータが導き出した第47回衆院選の議席数予測 - ビッグデータレポート - ヤフー株式会社

(投票率50%台前半予測で)自民300、公明48、民主69、共産23、維新20

※追記:上記は第一回予測のものでした。12/12に出た最終予測は以下。

(投票率50%台前半予測で)自民316、公明28、民主49、共産31、維新42

 

■ニコニコ:衆院選 ニコニコ独自の予測獲得議席数を発表‐ニコニコインフォ

自民289、公明35、民主72、維新34、次世代10、共産18

 

以下個人名予想

自民党が圧勝する7つの要因~300議席超えも(児玉 克哉) - 個人 - Yahoo!ニュース

自民300、民主77、維新35、公明34、共産15、次世代4

 

自民、40議席減も 民主は100議席超うかがう 衆院選小林吉弥氏予測 (1/3ページ) - 政治・社会 - ZAKZAK

自民257、公明29、民主116、維新43、次世代10、共産9

 

あまりにも予想日が古いもの(みんなの党解党前の11月など)の分は除きました。

あと、週刊誌がまとめた予測もわかる限り書いておきます。

■週刊文春12月11日号

自民296、公明34、民主81、維新29、次世代6、共産17

■週刊朝日12/19号

自民295、公明32、民主90、維新24、次世代3、共産16

■週刊現代12/20号

自民313、公明31、民主75、維新27、次世代8、共産9

 

予想と実際との違いの傾向

完全的中メディアはなし。まあ当然と言えば当然ですが(そんなのできる人がいたら、各党の選挙対策に引っ張りだこになるわけで)。しかし数字を実際の議席数と比べるといろいろ見えるところ、考えるところあります。それを以下に箇条書きに。

 

・よく言われることだが、選挙前にどのメディアでも報じられた「自民圧勝、300議席超」という報道に比べると、291議席(それも追加公認で無所属から+1)というのはハズレ幅が大きい。おそらくこれから、この事前の有利報道が陣営の気の緩みや「勝たせすぎ」に対する警戒に。

・たぶん予想が一番難しかったのが民主。高めに出した週刊朝日、文春、小林氏以外は70代前後で似通っているが、それが当たった格好。

・維新の党がどこも大外し気味(yahoo最終が近似か)。二桁単位で外しているところも多い。ここをどう見るかというのが、無党派層、浮動票の行方の一つのポイントかも。

・公明は元来鉄板選挙(大きな賭に出ずに、議席をガチガチに固める戦略)なので、議席増予想も+1程度が多かったが、ニコニコが的中、文春、児玉氏が近似。この増加予想分の根拠が何だったかが、これからの公明党の票読みの大きな要因となりそう(あとなんでYahoo!があんな膨大な数字を出したかも)。

・共産はわりと多くのメディアが増加を予測していたが、21(2.5倍増強)まで伸ばすと当てたところは少ない。Yahoo!だけが大幅予測したが、伸ばしすぎた(1回目の法が近かった)。ここまで伸びた理由も、投票者心理の面から興味深い。それにより今回だけで勢いが終わるか、今後躍進傾向にあるか分かれるので。

・次世代だが、事前予測でも惨敗か、負けはするが二桁というので大きく分かれていたが、実際は2。事実上比例区0と予想したところが的中。正直10でも大外しになっているが、2はさすがに最低ラインだったので責めにくいところが大きい。前回までの社民党や保守党、生活、国民新党等と同じようなラインに乗っかっているのか。

・前回の選挙で的中率の正確さが話題になったYahoo!ビックデータだが、今回のハズレ気味。だが、共産を唯一強気で増加したのはここだけで、結果傾向は当たっている。人間の主観ではなくビックデータから出し、ほかではない強気な予想が出てくるの面白いので、これから精度を増すよう改良しつつ予想を続けてほしい。

 

ついでだから、選挙区予想(主に週刊誌記事から)と実際の違いについても少し。

・ぶっちゃけ擁立候補自体が少ない(主に民主党の擁立がないところが多い)せいか、あまり波乱がない予想通りの結果になってる感じのところが多数。というか自民が落ちたところ(栃木2区の西川農相や、神奈川16区の義家議員など)も比例復活しているので、さらに目立たない。

・栃木の3区の渡辺喜美元みんなの党代表は、どこも「やや優勢」気味だったのに落選。今までは地盤◎だった野党議員も完全安泰ではなくなっているし、この傾向は非自民党だけなのか、それとも自民党の地盤有力議員でも、時勢でそうなるのか注目。

・選挙前注目のひとつであった東京12区だが、多くが公明太田氏の本命としつつ、対抗に次世代田母神氏、生活青木氏を挙げていたが、唯一無印の共産池内氏が時点で、且つ比例当選というまた予想外な展開になっている。

・維新といえば大阪だが、予想でも列静が多い中そこは優勢とされているところが多いのに、わりと落としている(が、多くは比例復活している)。大阪2区など比例復活もできていない。 維新は大阪主導的な図式が今後崩れる、すなわち橋下市長の影響力がどうなるかが注目。

・沖縄1区、共産赤嶺氏が小選挙区をとったが、事前予想では下地氏と票を食い合うというものも出ていたが実際はあの通り。つか野党的な方向から見れば、選挙協力がいちばんうまくいってたのって、沖縄選挙区かもしれない。

 

事前選挙予測はあくまで予測

まあこんなところで。

ただ、これらの事前予想が実際にどれだけ本投票を動かしたのでしょうね。でもあとからならどの政党も「事前報道は我が党に不利に働いた」と言うことも出来ますし。

ともあれ、事前の予想なんてたとえメディアだろうとあくまで人間がするもので(ビッグデータもあるにはあるけど)、このように外れることが多いわけで、個人個人がそんなものに影響されない姿勢を通すことが大切なのでしょう。

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